ヒュペルボレイオス
提供: miniwiki
ヒュペルボレオイ(Hyperboreoi)、ヒュペルボレイオス(Hyperboreios)は「北風(ボレアス、Boreas)の彼方(ヒュペル、hyper)に住む人々」の意味で、ギリシア神話に登場する伝説上の民族。
アポローンを篤く崇拝する民族として知られ、彼らの住む地(国)は一種の理想郷と捉えられていた。
ギリシャ人は極北の地を「トゥーレ」と呼んで人は住めないと考えていたが、一方では緑の楽園を夢見ていた。
概要
極北の、一年中が春であり、穏和な気候に恵まれ、一日中が夜の無い昼である、永遠の光、光明、に包まれた、幸福に満ち溢れた地(国)で、彼らは自由に空を飛び、病気・労働・心配も知らず、至福の生を送り、平和に暮らしているという。土地は肥沃で実りは豊か、山は蝶、川は魚、森は一角獣に溢れる。
しかし、この地(国)に通じる海峡は、絶壁がそそり立ち、夜になると生命が宿って、通りがかる船を全て破壊する。
アポローンは誕生の際に、ゼウスの命令に背き、デルフォイに赴く前に、先ず、白鳥の引く車に乗り、ヒュペルボレオイ(ヒュペルボレイオス)の住む地(国)にやって来て、逗留した、とされる。
以後、毎年冬の間は、白鳥の引く車に乗り、デルフォイを離れ、この地(国)へ行って暮すと信じられた。
前5世紀の歴史家ヘロドトスが、アポローン誕生の聖地デロス島の住民の話として伝えるところによれば、「かつてヒュペルボレオイ(ヒュペルボレイオス)は、2人の乙女にアポローンへの供物を持たせて、デロス島へ送り出したが、乙女たちが帰国しなかったため、以後は、麦わらに包んだ供物を国境まで運んで隣国人に渡し、それをまた次の隣国人に転送してくれるように、と頼んだ」とされる。
登場する物語
- デルポイの神託
- デルポイのアポロン神託を始めたのはヒュペルボレイオスのオーレーンという人物であったとされる。
- ペルセウスのゴルゴン退治
- ペルセウスがゴルゴン退治に赴いた際にこの地に立ち寄ったとされる。
- ヘラクレス
関連項目
参考文献
- 『ことばへの旅』- 森本哲郎(2003年,ISBN 978-4-569-57869-9)