「酢酸エチル」の版間の差分

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'''酢酸エチル'''(さくさんエチル、ethyl acetate)とは、[[示性式 ]]CH<sub>3</sub>COOCH<sub>2</sub>CH<sub>3</sub> で表される[[有機化合物]]である。[[酢酸]]と[[エタノール]]が脱水[[縮合反応|縮合]]した[[エステル]]。[[引火点]] −2 ℃の、[[パイナップル]]に似た果実臭のする無色で[[揮発性]]の[[液体]]で<ref>[https://kotobank.jp/word/%E9%85%A2%E9%85%B8%E3%82%A8%E3%83%81%E3%83%AB-68696 デジタル大辞泉、日本大百科全書]
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'''酢酸エチル'''(さくさんエチル、ethyl acetate)
</ref>、有機溶媒として用いられる。
 
  
[[極性]]が高く、最大で 3重量% ほど酢酸エチルに水が溶解する。逆に水に対しては 10体積%(25℃)ほど溶解し温度が低いほど増大する。また、[[エタノール]]、[[エーテル (化学)|エーテル]]、[[ベンゼン]]、[[ヘキサン]]などのほとんどの[[溶媒|有機溶媒]]と任意の割合で混ざり合う。
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[[示性式 ]]CH<sub>3</sub>COOCH<sub>2</sub>CH<sub>3</sub> で表される[[有機化合物]]である。
  
== 反応性 ==
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パイナップル中に存在し,またワイン,日本酒にも存在する。硫酸の存在で酢酸とエチルアルコールの反応によって得られる。
湿気(水分)を含むものは徐々に[[加水分解]]し、酸が存在すると加速する。アルカリ水溶液中では[[けん化]]により加水分解する。酸触媒の場合は平衡反応であるため可逆であるが、アルカリ触媒の場合は加水分解のみが進行する。
 
: <ce>CH3COOCH2CH3 + OH^- -> CH_3COO^- + CH3CH2OH</ce>
 
 
 
== 合成法 ==
 
工業的な合成法としては以下の3つの方法が挙げられる。
 
;[[フィッシャーエステル合成反応|Fisherエステル化]]
 
: 酢酸エチルは低沸点であることから、[[硫酸]]を酸触媒として[[酢酸]]と[[エタノール]](=エチルアルコール)とを加熱して脱水縮合させ、生成する酢酸エチルを連続的に[[蒸留]]で取り出すことで効率よく合成することができる。
 
: <math>\rm CH_3COOH + CH_3CH_2OH \begin{matrix} \rm cat.H^{+} \\ \ ^{\longrightarrow}_{\longleftarrow} \\ \ \end{matrix} CH_3COOCH_2CH_3+H_2O</math>
 
; [[ティシチェンコ反応]]
 
: [[アセトアルデヒド]]を塩基触媒により酢酸エチルに転換する。形式的には、アセトアルデヒドが[[不均化]]し、エタノールと酢酸として反応しているように見える。本法はエタノールに対して課税する国では原料コストの高いエタノールを利用せずにすむ為、日本では主流のプロセスである。しかしながら世界的な主流プロセスはエタノールを利用した方法であり、日本でも[[ダイセル]]が実用化している。
 
; エチレンと酢酸からの直接合成
 
: 最近、[[昭和電工]]により、[[シリカ]]担持[[ヘテロポリ酸]]触媒による[[エチレン]]と酢酸からの合成法が開発された。本プロセスでは、原料価格に応じて、エチレンの代わりにエタノールを用いることもできる。56回[[日本化学会]]化学技術賞を受賞した。
 
 
 
酢酸エチルの2008年度日本国内生産量は 186,682 t、工業消費量は 2,377 t である<ref name="seidou">[http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/result/ichiran/08_seidou.html#menu5 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編]</ref>。
 
 
 
[[無水酢酸]]、[[塩化アセチル]]、[[ケテン]]などとエタノールが反応しても酢酸エチルを与えるが、合成法としての価値はない(下図)。
 
 
 
[[ファイル:説明図 酢酸エチル 1.png|酢酸誘導体とエタノールとの反応]]
 
 
 
== 利用 ==
 
酢酸エチルは[[シンナー]]・[[ラッカー]]など[[塗料]]の[[溶剤]]として利用される。[[マニキュア]]の除光液として、[[アセトン]]などと並び多用されている。また[[パイナップル]]・[[バナナ]]等天然の果実油の中にも広く含まれる果実臭成分の一つであり、エッセンスなど[[食品添加物]]の成分としても利用される。[[日本酒]]に香気成分として含まれるが、[[セメダイン]]臭として否定的なとらえ方をされる場合がある。また[[ワイン]]に含まれる酢酸エチルは味を落とす原因とも言われている。
 
 
 
有機化学実験では、[[アミン]]、[[ヒドリド還元]]試薬など広く求核試剤(試薬)と反応したり[[エステル交換反応]]することがあるので、反応溶媒としての利用は限定的である。したがって実験室での利用は[[抽出]]溶媒あるいは[[クロマトグラフィー]]法の展開溶媒としての利用が主である。クロマトグラフィーでは、低極性溶媒である[[ヘキサン]]との混合溶媒が最も頻繁に用いられる。
 
 
 
また、昆虫の標本を作製する際には、殺虫するときや軟化するときに虫体が硬くなりにくく防腐効果のある殺虫剤として、必需品とされている。
 
ただし、色彩が鮮やかな甲虫や甲虫以外の虫に使用すると変色などを招くことがあるため、現在では[[二酸化硫黄|亜硫酸ガス]]や冷凍庫などを使う殺虫法も併用されることが多い。
 
 
 
== 主な製造者と輸入者 ==
 
{{出典の明記|date=2015年8月|section=1}}
 
日本においては、[[昭和電工]]、協和発酵、[[ダイセル]]、[[チッソ]]、日本合成化学など多数の製造業者が存在していたが、2010年現在では昭和電工とダイセルにほぼ集約された。また、価格の安い[[バイオエタノール]]を利用した酢酸エチルの輸入が2006年以降顕著となり、2009年度では輸入品のシェアが40%近くとなっている。シノケムジャパン(中国中化集団公司)(SINOCHEM)が輸入する中国製品が2006年以降増大している。その影響をうけて2010年6月には日本最大級の昭和電工徳山工場の15万tプラントが停止に追い込まれている。
 
 
 
== 市場規模 ==
 
日本国内の市場規模は22~26万tと言われている。脱[[トルエン]](脱BTX)(脱トル)の影響で[[トルエン]]から代替が進めばその市場規模はさらに拡大すると予想される。また2011年3月に発生した東日本大震災の影響により日本国内の[[メチルエチルケトン]]の供給能力が低下したことにともない、[[メチルエチルケトン]]から酢酸エチルへの代替も進んでいる。
 
 
 
1) 日本国内生産実績(生産動態統計)
 
 
 
  2007年 260,854MT、2008年 186,719MT、2009年 156,528MT、2010年 110,532MT、 
 
 
 
  ちなみに2010年に日本国内の製造業者が2社以下になったことにともない、2011年1月以降[[経済産業省]]では酢酸エチルの生産動態統計の発表を見合わせている
 
  <ref name="seidou"/>。
 
 
 
2) 日本への輸入量
 
 
 
  2007年 47,884MT、2008年 74,309MT、2009年 77,268MT、2010年 105,205MT
 
 
 
  そのうち中国からの輸入量
 
 
 
  2007年 22,007MT、2008年 50,099MT、2009年 53,432MT、2010年 82,275MT
 
 
 
== 法規制 ==
 
日本では[[消防法]]により[[危険物]]第4類引火性液体(第一石油類 非水溶性液体)に指定されている。
 
 
 
単品は[[毒物及び劇物取締法]]、[[毒物及び劇物指定令]]により[[劇物]]に指定されている。ただし、これを含む製剤([[シンナー]]の一部など)は劇物とならない。
 
 
 
他に、[[労働安全衛生法]]、[[労働基準法]]、[[家内労働法]]、[[船舶輸送法]]、[[海洋汚染防止法]]、[[悪臭防止法]]、[[食品衛生法]]に関連規定がある。
 
  
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沸点 77.15℃。水に可溶,またほとんどの有機溶媒に溶解する。香料,溶剤に用いられる。
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== 脚注 ==
 
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2018/9/27/ (木) 07:36時点における最新版


酢酸エチル(さくさんエチル、ethyl acetate)

示性式 CH3COOCH2CH3 で表される有機化合物である。

パイナップル中に存在し,またワイン,日本酒にも存在する。硫酸の存在で酢酸とエチルアルコールの反応によって得られる。

沸点 77.15℃。水に可溶,またほとんどの有機溶媒に溶解する。香料,溶剤に用いられる。

脚注

関連項目



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