内閣法

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内閣法
日本の法令
法令番号 昭和22年1月16日法律第5号
効力 現行法
種類 憲法附属法行政法
所管 内閣官房
主な内容 内閣の職権、組織など
関連法令 日本国憲法内閣官制内閣府設置法など
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内閣法(ないかくほう、昭和22年1月16日法律第5号)は、内閣の職権、組織、行政事務管理の分担及び行政各部に対する指揮監督の大綱を規定した日本法律日本国憲法第66条の規定に基づき1947年昭和22年)1月16日に制定された。

大日本帝国憲法下における内閣官制に代わるものと位置づけられている。

構成

内閣法は25の条文で構成されている。その概要は以下の通りである。

  • 第1条(職権について)
    • 内閣は日本国憲法第73条やその他の日本国憲法に定める職権を行う。
    • 内閣が行政権を行使するにあたっては、国会に対して連帯してその責任を負う。
  • 第2条(構成について)
  • 第4条(閣議について)
    • 内閣は閣議によって職権を行う。
    • 閣議は内閣総理大臣が主宰する。
    • 内閣総理大臣は、重要政策に関する基本的な方針やその他の案件を閣議で発議することができる。
    • 各大臣は内閣総理大臣に対して閣議を求めることができる。
  • 第5条(内閣総理大臣の任務について)
    • 内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣の提出する法律案・予算・その他の議案を国会に提出し、一般国務や外交関係について国会に報告する。
  • 第6条(内閣総理大臣の指揮監督権について)
    • 内閣総理大臣は、閣議決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。
  • 第8条(内閣総理大臣の指揮監督権について)
    • 内閣総理大臣は、行政各部の処分や命令を中止させて、内閣の処置を待つことができる。
  • 第9条(内閣総理大臣の代理について)
    • 内閣総理大臣に事故がある時、または欠けた時には、内閣総理大臣があらかじめ指定した国務大臣が臨時にその職務を行う。
  • 第10条(国務大臣の代理について)
    • 主任の大臣に事故のある時、または欠けたときは、内閣総理大臣か、または内閣総理大臣が指定した国務大臣が臨時にその職務を行う。
  • 第11条(政令への委任について)
    • 政令には、法律の委任がなければ、義務を課したり権利を制限する規定を設けることができない。
  • 第12条(内閣官房について)
    • 内閣に内閣官房を設置する。
    • 内閣官房のつかさどる事務。
  • 第13条(内閣官房長官について)
    • 内閣官房に内閣官房長官1人を置き、国務大臣をこれに充てる。
    • 内閣官房長官の職掌。
  • 第14条(内閣官房副長官について)
  • 第15条(内閣危機管理監について)
    • 内閣官房に内閣危機管理監1人を置き、内閣総理大臣の申出により内閣において任免する。
    • 内閣危機管理監の職掌・任免・禁止に関する事項。
  • 第16条(内閣情報通信政策監について)
    • 内閣官房に内閣情報通信政策監1人を置き、内閣総理大臣の申出により内閣において任免する。
    • 内閣情報通信政策監の職掌・任免・禁止に関する事項。
  • 第17条(内閣官房副長官補について)
    • 内閣官房に内閣官房副長官補3人を置く。
    • 内閣官房副長官補の職掌・任免・禁止に関する事項。
  • 第18条(内閣広報官について)
    • 内閣官房に内閣広報官1人を置く。
    • 内閣広報官の職掌・任免・禁止に関する事項。
  • 第19条(内閣情報官について)
    • 内閣官房に内閣情報官1人を置く。
    • 内閣情報官の職掌・任免・禁止に関する事項。
  • 第20条(内閣総理大臣補佐官について)
    • 内閣官房に内閣総理大臣補佐官5人までを置くことができる。
    • 内閣総理大臣補佐官の職掌・任免・禁止に関する事項。
  • 第21条(秘書官について)
    • 内閣官房に内閣総理大臣や各国務大臣に附属する秘書官を置くことができる。その定数は政令で定める。
    • 秘書官の職掌。
  • 第23条(内閣官房の内部組織)
  • 第24条(内閣官房の主任大臣について)
    • 内閣官房の主任の大臣は内閣総理大臣とする。

指揮監督権の範囲

ロッキード事件とその一連の裁判においては、内閣総理大臣の指揮監督権を巡って、これを根拠に田中角栄元総理に対する賄賂罪が成立するがどうかが焦点の一つとなった。すなわち、ロッキード社からその販売代理店の丸紅や複数の「裏の代理人」を介して田中に渡った5億円と、田中が運輸大臣に対して全日空にロッキード社製のL1011トライスター機の購入を勧奨するよう働き掛けた行為の間には、賄賂罪における「職務行為」が成立するとして一審の東京地裁は田中に対し受託収賄外為法違反の有罪判決を下したのに対し、被告側はその因果関係を否定して真っ向から対立した。裁判は二審の東京高裁控訴を棄却した後最高裁で争われたが、その最中に田中が死去したことにより公訴棄却となった。

しかし最高裁は田中の秘書官・榎本敏夫と丸紅社長・檜山広の上告審において、内閣法第4条・6条・8条の規定から「内閣総理大臣は、少なくとも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当である」として、一審の原判決は正当であるとの判断を示した(最高裁判所平成7年2月22日大法廷判決[2])。

脚注

関連項目