金草岳
金草岳(かなくさだけ)は、両白山地南部の越美山地の岐阜県揖斐郡揖斐川町[注釈 1]、福井県今立郡池田町と南条郡南越前町にまたがる標高1,227 mの山[1][2]。別名が「金糞ヶ岳」(かなくそがだけ)と「塚奥山」[1]。塚奥山は、徳山村塚の奥にある山であることに由来する[3]。
Contents
概要
山名は福井県側によるものとみられていて[2]、山名の由来は北山麓にある芋ヶ平(鋳物師の集落跡)があるとこらから金[3]鉱山に関連する説や、「金糞岳」が訛ったとする説がある[1]。1685年(貞享2年)の『絵図記』で「金糞ヶ岳」と書かれ、美濃の山と明記されていた[3]。1815年(文化12年)の『越前名蹟考』では「金糞ヶ嶽」と記されていた[3]。幕末の頃に「金草岳」となったとみられている[3]。
山頂付近にはチャートが分布している[4]。山域に集落などの居住地はない[5]。林道冠山線が敷設される以前は[6]訪問者は稀で、イヌワシの生息地とみられていた[2]。山頂には狭く、二等三角点が設置されている[7][3]。冠山峠から桧尾峠までの北側の福井県側の山域は「楢俣ブナ植物群落保護林」として保護されている[3][6]。山頂付近の東側の小ピークである白倉山にはニッコウキスゲの群落が広がっていて[8]、初夏にニッコウキスゲやシモツケソウなどの花が見られる[6]。桧尾峠から北側の稜線上にはホンシャクナゲ、ミツバツツジなどが自生している[3]。
- Mount Kanakusa (peak).jpg
切り開かれた笹原の狭い山頂に三角点が設置されている
- Hemerocallis dumortieri var. esculenta (Mount Shirakura).jpg
北東斜面に自生するニッコウキスゲの群落
登山
登山の対象となる山で[1][8]、冠山峠からの登山ルート(無雪期・天候良好時)が、岐阜県による「岐阜県 山のグレーディング」で、技術的難易度が「ランクA/(A-E)」(低い)、体力度が「2/1-10」(小程度、日帰りが可能)とされている[9]。冠山峠から冠山とセットで日帰り登山されることがある[10]。岐阜県山岳連盟により、ぎふ百山の一つに選定されている[11]。以下の登山道が開設されている。桧尾峠付近の東側の登山道から10 m程下った添又谷の源流部には流水がある[6]。稜線部の所々や山頂からは、展望が開ける[6]。
地理
岐阜県と福井県の県境にある山で、山頂部は揖斐郡揖斐川町と福井県今立郡池田町にまたがり、北西側の山域が南条郡南越前町に属する[5]。山頂の東北東約500 mには、白倉谷の源流の山である白倉山[8](白倉岳[3]、標高約1,200m)の小ピークがある[5]。冠山峠と桧尾峠の間にあるピーク(標高1,046.6 m)は「布滝ノ頭」と呼ばれている[3][10]。
周辺の山
周辺の主な山を下表に示す[5]。
山容 | 山名 | 標高(m) [7][12] |
三角点等級 基準点名[7] |
金草岳からの 方角と距離(km) |
備考 |
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王子保駅から望む日野山(2011年9月11日) | 日野山 | 794.42 | 二等 「日野山」 |
30px西北西 16.0 | 越前富士 |
能郷白山から望む部子山(2013年3月12日) | 部子山 | 1,464.25 | 二等 「部子山」 |
北北東 13.1 | |
冠山から望む金草岳(2008年11月13日) | 金草岳 | 1,227.09 | 二等 「塚奥山」 |
30px 0 | ぎふ百山 |
西側の冠山林道から望む冠山(2008年11月13日) | 冠山 | 1,256.57 | 三等 「冠山」 |
東 4.5 | 日本三百名山 ぎふ百山 |
夜叉ヶ池山から望む三周ヶ岳と夜叉ヶ池(2017年7月6日) | 三周ヶ岳 | 1,292.01 | 一等 「三周岳」 |
30px南南西 12.7 | ぎふ百山 |
金草岳から望む能郷白山と冠山(2008年11月13日) | 能郷白山 | 1,617.37 | 一等 「能郷白山」 |
東 14.2 | 日本二百名山 ぎふ百山 |
- Western View from Mount Nogohaku (with note).jpg
東側の能郷白山から望む金草岳周辺の山並み
源流の河川
揖斐川と日野川の以下支流の河川の源流となる山で、伊勢湾と日本海へ流れる[2][5]。太平洋側と日本海側との分水嶺となる山のひとつである[2]。徳山ダムの北西18 kmに位置する[5]。
周辺の峠
- 冠山峠 - 山頂の東3.0 kmに位置する。標高1,050 m。林道冠山線が通る。
- 桧尾峠[8] - 山頂の東北東1.8 kmに位置する。
- 高倉峠 - 山頂の西南西3.5 kmに位置する。標高約960m。林道塚線が通る。
交通・アクセス
JR西日本今庄駅の東15 kmに位置し[2]、養老鉄道養老線揖斐駅の北北西40 kmに位置する[5]。北陸自動車道今庄インターチェンジの東15 kmに位置し、名神高速道路大垣インターチェンジの北北西57 kmに位置する[5]。東側の山域に林道冠山線が通る。南側の道谷沿いに林道が通り、高倉峠を経由して、西側の藤倉谷川沿いに林道塚線が通る[5]。周辺は特別豪雪地帯であり[13]、林道は積雪期に閉鎖される[8]。
金草岳の風景と展望
金草岳の風景
根張りの大きな山容の山である[1]。
- Mount Kanakusa from Mount Shirakura s2.jpg
北側の小ピークの白倉岳から望む金草岳
- Mount Kanakusa from Mount Mount Nōgōhaku.jpg
東側の能郷白山から望む積雪期の金草岳
金草岳からの展望
山頂からは白山、冠山、北アルプス、御嶽山などが望める[3]。
- Mount kanmuri from Mount Kanakusa.jpg
稜線部から望む東側の展望
冠山、その奥に能郷白山、右端に徳山湖
脚注
注釈
出典
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 日本山岳会 (2005)、1211-1212頁
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 徳山 (1992)、131頁
- ↑ 3.00 3.01 3.02 3.03 3.04 3.05 3.06 3.07 3.08 3.09 3.10 3.11 宮本 (2010)、24-25頁
- ↑ “金草岳地域のチャートと平坦面”. 福井県自然保護課. . 2017閲覧.
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8 5.9 “地理院地図(電子国土Web)・「金草岳」”. 国土地理院. . 2017閲覧.
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 西山 (2015)、154-155頁
- ↑ 7.0 7.1 7.2 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「kijyun
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 8.0 8.1 8.2 8.3 8.4 8.5 8.6 島田 (2009)、100-101頁
- ↑ “岐阜県 山のグレーディング~無雪期・天候良好時の「登山ルート別難易度評価」~ (PDF)”. 岐阜県. pp. 1. . 2017閲覧.
- ↑ 10.0 10.1 10.2 吉川 (2005)、103-104頁
- ↑ 岐阜県山岳連盟 (1987)
- ↑ “日本の主な山岳標高”. 国土地理院. . 2017閲覧.
- ↑ 荒井 (1997)、232頁
参考文献
- 岐阜県山岳連盟 『ぎふ百山』 岐阜新聞社、1987年7月。ISBN 4905958474。
- 『コンサイス日本山名辞典』 徳久球雄(編集)、三省堂、1992-10、修訂版。ISBN 4-385-15403-1。
- 島田靖、堀井啓介 『改訂版 岐阜県の山』 山と溪谷社〈新・分県登山ガイド・改訂版〉、2009年12月。ISBN 9784635023702。
- 西山秀夫 『東海周辺 週末の山登り ベスト120』 山と溪谷社〈ヤマケイアルペンガイドNEXT〉、2015-02-05。ISBN 978-4635014540。
- 『日本三百名山』 荒井魏、毎日新聞社、1997-03。ISBN 4620605247。
- 日本山岳会 『新日本山岳誌』 ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1。
- 宮本数男 『改訂版 福井県の山』 山と溪谷社〈新・分県登山ガイド〉、2010-03-15。ISBN 978-4-635-02369-6。
- 吉川幸一 『こんなに楽しい岐阜の山旅100コース 美濃〈上〉』 風媒社、2005年3月。ISBN 4833101149。