南北首脳会談
南北首脳会談(なんぼくしゅのうかいだん)は、大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の両首脳による首脳会談である。
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第1回南北首脳会談(2000年6月)
2000年6月13日から15日まで韓国の金大中大統領と北朝鮮の金正日国防委員長が朝鮮民主主義人民共和国の首都平壌で会談を行った。1948年に朝鮮半島が南北を二分して以来、両国の首脳が会すのは史上初であった[1]。会談の結果、6.15南北共同宣言が発表された。金大中による対北宥和政策、太陽政策の結実と言える。金大中はこの功績により2000年にノーベル平和賞を与えられた。
金正日国防委員長は直前の2000年5月に最高指導者就任後の初外遊で中国を訪れており、中国共産党総書記の江沢民と南北首脳会談の事前協議を行っていたとされる[2][3]。
以後、離散家族の再会事業、大韓民国主催のスポーツ行事へ北朝鮮が参加するなど、民間レベルでの交流事業が本格化した。2000年の秋夕(中秋)には金正日から韓国へ3トンのマツタケが贈られた[4]。また、朝鮮統一を見据えた南北交渉が進展し、分断されていた京義線、東海線の鉄道と道路の再連結事業なども進められた。日本やアメリカも雪解けムードに乗じて国交正常化交渉へ乗り出した。特に米朝関係は一挙に進展し、当時のマデレーン・オルブライト国務長官が訪朝、大統領訪朝による首脳会談の可能性すら囁かれた。
しかし2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件、アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領による「悪の枢軸発言」以降、アメリカによる北朝鮮敵視が明らかになると、南北首脳会談で生まれた協調ムードは再び緊張した。金正日国防委員長の早期ソウル訪問も計画されていたが無期延期となった。このような圧力政策に押される中、北朝鮮は日本との関係改善に活路を見出し、2002年9月には日朝首脳会談 (2002年)が実現した。
また2003年2月には、南北首脳会談の直前に現代グループの手によって、5億ドルや4億ドルとも言われる違法な巨額の送金が北朝鮮に対してなされていた事実が判明した。中国の北京・マカオ・香港を経由[5]して金正日国防委員長とその長男の金正男[6][7]や側近の張成沢[8]に渡ったとされる。これは送金の時期的に南北首脳会談の対価として北朝鮮側に渡された可能性が高く、特別検察官による捜査が開始されたが、捜査期限延長を盧武鉉大統領が許可しなかったことにより真相解明は中途半端なものになった。
第2回南北首脳会談(2007年10月)
2007年10月2日から4日まで太陽政策を継承した韓国の盧武鉉大統領が北朝鮮の平壌を訪問して北朝鮮の金正日総書記と会談を行った。「10・4宣言」が採択され、当時の文在寅推進委員長によって第4項に朝鮮戦争休戦協定の署名国である米国・中国・北朝鮮の3カ国、または朝鮮戦争の交戦国の韓国・北朝鮮・米国・中国の4カ国で終戦宣言と平和協定を目指すことが盛り込まれた[9]。金正日総書記から韓国側が第1回で合意した開城工業地区事業を「北朝鮮の改革開放」と位置付けてることに強い不快感を示され[10]、廬武鉉は帰国後に開城工業地区事業に関連する統一部(省に相当)のホームページから「改革開放」の語を削除させた[11]。一般の世論の関心は2000年の第1回の時と比べると低かった。
第3回南北首脳会談(2018年4月)
2018年4月27日に韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は板門店の韓国側施設「平和の家」で第3回南北首脳会談を行った。北朝鮮の首脳が軍事境界線を超えて韓国側入りしたことは史上初である。
第4回南北首脳会談(2018年5月)
2018年5月26日に韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は板門店の北朝鮮側施設「統一閣」で第4回南北首脳会談を行った。
脱北外交官による評価
北朝鮮側は首脳会談時に統一戦線部長一人だけを同席させている[12]。これについて外交官出身の脱北者は「嘘をつく様子を(北朝鮮側の)複数の人間に見せたくなかったから」として嘘をついているからだと指摘している。北欧の某国と首脳との単独会談に同席したことのある脱北外交官は金正日総書記が会談で北欧の首脳に「改革・開放」を求められた際に、「その通りだ。われわれには改革が必要だ」と素直に受け入れる振りをしていたのを見ていたと明らかにした[13]。
脚注
- ↑ 1994年には、韓国の金泳三大統領と北朝鮮の金日成主席(肩書はいずれも当時)による首脳会談が予定されていたが、金日成の死去に伴って中止された。
- ↑ “金正日総書記訪中日誌”. 中央日報. (2010年4月1日) . 2018閲覧.
- ↑ “金正日の訪中の目的が以前とは正反対”. デイリーNK. (2010年4月1日) . 2018閲覧.
- ↑ 【社説】北朝鮮から贈られたマツタケに隠された涙 - 朝鮮日報 2007年10月11日(2007年10月11日時点のアーカイブ)
- ↑ “「南北首脳会談の際、北に4億ドル送金」波紋呼ぶ疑惑”. 東亜日報 (2002年9月26日). . 2018閲覧.
- ↑ 『激動!!北朝鮮・韓国そして日本 歴史的必然と日本の選択』第5章 実業之日本社、2013年5月。ISBN 978-4-408-10994-7
- ↑ “【取材日記】マカオの金正男に注目する理由”. 中央日報 (2011年12月30日). . 2018閲覧.
- ↑ “金大中政権が北へ送った秘密資金は核開発などに使われた!”. 統一日報 (2009年3月6日). . 2018閲覧.
- ↑ “[ニュース分析]文統領、南北・朝米会談が順調に進めば「終戦宣言」も推進”. ハンギョレ. (2018年3月22日) . 2018閲覧.
- ↑ “[オピニオン 統一部のタブー語]”. 東亜日報 (2007年10月11日). . 2018閲覧.
- ↑ “統一部、ホームページから‘改革・開放’の言葉を削除”. 中央日報 (2007年10月11日). . 2018閲覧.
- ↑ なお、2018年4月の南北首脳会談では、金正恩の実妹・金与正(肩書は朝鮮労働党中央委員会宣伝扇動部第一副部長)も同席している。
- ↑ 【萬物相】韓国政府の金正恩礼賛
関連項目
外部リンク
- The official website of Korea (英語)
- Two Koreas to hold summit(CNN,Aug 7, 2007(2008年3月9日時点のアーカイブ)
- New hope of inter-Korean detente(UPI,Aug 10, 2007) (2007年9月28日時点のアーカイブ)
- Inter-Korean summit(chinaview,Aug 8, 2007) (英語)
- Korean summit postponed by floods(CNN,Aug 18, 2007)(2007年8月18日時点のアーカイブ)
- The Inter-Korean Summit:Evaluation and Tasks Ahead
- The Inter-Korean Summit and Unification Formulae
- Landmark inter-Korean summit begins with unification pledge(2007年10月13日時点のアーカイブ)
- The Second Inter-Korean Summit: Four Arguments Against and Why They Could Be Wrong(quoted by nautilus.org)(2007年9月27日時点のアーカイブ)
- Ban Ki-moon welcomes forthcoming inter-Korean summit
- Inter-Korean Summit welcome(2011年7月8日時点のアーカイブ)
- Looking forward to new aspect of inter-Korean summit(2007年9月30日時点のアーカイブ)
- 南北朝鮮 首脳会談実現 - NHKニュース(動画・静止画) NHKアーカイブス
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