日田彦山線
日田彦山線(ひたひこさんせん)は、福岡県北九州市小倉南区の城野駅から大分県日田市の夜明駅に至る九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線(地方交通線)である。
Contents
概要
平尾台・香春などから産出される石灰石や添田地区の石炭を運ぶために敷設された。筑豊東部の田川市を経て日田市と北九州市を直結している。JR九州主催のイベントである「JR九州ウォーキング」の一環として同線が所属する7自治体の協力によるイベント「ひたひこウォーキング」が毎年春と秋に開催されている。
城野駅 - 今山駅間は旅客営業規則の定める「福岡近郊区間」に含まれている。また、城野駅を除いてSUGOCAでの乗降はできないが、全区間でSUGOCAでの乗車で通過すること(途中下車なしにSUGOCAエリアまで通り抜けること)はできる[1]。
リアルタイム列車位置情報システム「どれどれ」対応路線(小倉駅 - 日田駅間)であり、スマートフォンアプリ「JR九州アプリ」により、リアルタイムの列車位置情報が閲覧できる[2]。
路線データ
- 管轄(事業種別):九州旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):68.7km
- 軌間:1067mm
- 道床:全線バラスト軌道
- 駅数:24(起終点駅含む)
- 日田彦山線所属駅に限定した場合、起終点駅(城野駅は日豊本線、夜明駅は久大本線の所属[3])が除外され、22駅となる。
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
- 運転指令所:博多総合指令センター[4]
- 最高速度:85km/h
全線が本社鉄道事業本部直轄となっている。
運行形態
停車場・施設・接続路線 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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特急・急行列車などの優等列車はなく[5]、普通および快速列車のみである。また、添田駅 - 夜明駅間は平成29年7月九州北部豪雨により不通となっておりバス代行が行われている。
大半の列車がワンマン運転である。
城野駅 - 添田駅間
路線の起点は城野駅だが、城野駅発着の列車はなく、城野駅を通る日田彦山線のすべての列車が基本的に鹿児島本線の小倉駅を始発・終着としている[注 1]。おおむね1時間あたり1 - 2本程度運行されている。
不通区間を除く小倉駅 - 添田駅間の全区間を通して運転される列車と、小倉駅 - 田川後藤寺駅間の列車、田川後藤寺駅 - 添田駅間の列車がある。ほかに、田川伊田駅 - 田川後藤寺駅間の1駅間を運行する列車が早朝1往復、香春駅 - 添田駅間に平日朝1往復、後藤寺線との直通列車が夜間2本運行される。
2007年3月18日のダイヤ改正以降は、毎朝通勤時間帯に添田発小倉行きの快速列車が上りのみ1本運行されている。この快速列車は石原町駅で田川後藤寺駅を先発する上り普通列車と緩急接続していた。この運行形態は2017年3月4日のダイヤ改正で廃止され、緩急接続・追越し共に無くなり、先発の普通列車が小倉駅に先着するダイヤとなった。そのため、快速列車は石原町駅から小倉駅まで各駅に停車するように変更され、石原町駅以北では車内放送や駅での放送も普通列車として案内されている。これは、JR九州には2017年度まで区間快速という列車種別が存在せず「快速区間」として表示していたため。先頭車の方向幕を石原町駅で「普通」に変更する運転士はほとんどいない。また、サボは2017年のダイヤ改正前から使用していた物をそのまま使用しており、快速区間の記載はされてない。2018年からは鹿児島本線などで実際に区間快速が列車種別として制定されたが、本路線についてはこの列車が唯一の快速のため、区間快速への改称は行われていない。西小倉駅では折尾・博多方面への快速列車と対面乗換が図られている(通常は朝夕の数本以外は西小倉駅での鹿児島本線との乗り換え・接続については考慮されていない)。
添田駅 - 夜明駅間
この区間は上記のように九州北部豪雨で被災したためバス代行輸送となっている。代行バスの運行系統は概ね添田駅 - 彦山駅間と筑前岩屋駅 - 日田駅間にわかれており、添田駅 - 日田駅間を直通するのは4往復のみである。添田駅 - 彦山駅間と筑前岩屋駅 - 日田駅間では概ね1-2時間に1本の運行となっている。添田駅 - 日田駅間を直通する便は朝の1本を除き筑前岩屋駅を通過する。
路線の終点は夜明駅だが、被災前は彦山駅 - 夜明駅間を通るすべての列車が基本的に久大本線の日田駅を始発・終着としていた。代行バスも被災前と同様、日田駅を始発・終着としている。
使用車両
いずれも気動車
- キハ140形・キハ147形・キハ40形・キハ47形(筑豊篠栗鉄道事業部直方車両センター所属)
- キハ125形(田川伊田駅 - 日田駅間、大分鉄道事業部大分車両センター所属。2017年7月の九州北部豪雨による添田駅 - 夜明駅間不通により日田彦山線運用は無くなっている)
- キハ31形(田川後藤寺駅 - 彦山駅間、筑豊篠栗鉄道事業部直方車両センター所属。2017年4月末より小倉駅 - 田川後藤寺駅間の運用は無くなり、後藤寺線の運用のみとなっている。)
勾配線区であることを考慮して、旧型車両(キハ40形・47形)はエンジン換装車が使われている。
過去にはキハ66・67形・キハ58形が使用されていた。また、臨時列車として特急「ゆふいんの森」用のキハ72系、「あそぼーい!」用のキハ183系1000番台、「SL人吉」の50系客車(DE10形ディーゼル機関車が牽引)、蒸気機関車58654(無火状態でDE10形ディーゼル機関車が牽引)や香椎線用のアクアライナー、「A列車で行こう」用のキハ185系が入線した実績がある。
- キハ147 彦山駅構内にて.JPG
キハ147 彦山駅構内にて
- キハ125 彦山駅構内にて.JPG
キハ125 彦山駅構内にて
代行バスは添田-日田便が藤山観光のマイクロバス、添田-彦山便が田川構内自動車のジャンボタクシー、筑前岩屋-日田便が西鉄バス久留米の中型バス、藤山観光のマイクロバスで運行されている。[6]
歴史
石田駅(水町信号場) - 香春駅間は、小倉鉄道(こくらてつどう)が1915年に開業した区間である。小倉鉄道は、東小倉駅 - 上香春駅(現在の香春駅) - 大任駅 - 上添田駅(現在の添田駅)間を開業していたが、この路線は1943年に戦時買収により国有化され添田線(初代)となった。
田川伊田駅 - 田川後藤寺駅 - 西添田駅間は、豊州鉄道および同社を合併した九州鉄道が1903年までに開業させた。1907年の国有化後は、田川線の一部となった。
西添田駅 - 夜明駅間は1937年から1956年にかけて延伸開業した区間である。西添田側は田川線の延伸、日田側からは彦山線(ひこさんせん)として開業し、全通後は東小倉駅 - 大任駅 - 夜明駅間が日田線(ひたせん)となった。
1956年11月には、起点側(城野付近)で線路の付け替えが行なわれた。小倉鉄道が敷設した線路は、日豊本線の城野駅 - 曽根駅間を乗り越し、東小倉駅へ直行する形であったが、石田駅(水町信号場) - 城野駅間に短絡線を敷設し、日田線列車は城野駅から日豊本線に乗り入れ、小倉駅に向かうようになった。同時に東小倉駅 - 石田駅間は貨物線となり、1962年に廃止された。
1957年10月には、香春駅 - 伊田駅(現在の田川伊田駅)間の支線が開業し、現在のルートが完成した。1960年に田川線の伊田駅 - 後藤寺駅 - 添田駅間を編入すると同時に香春駅 - 大任駅 - 添田駅間を添田線(2代)として分離し、城野駅・東小倉駅 - 伊田駅 - 夜明駅間が日田彦山線となった。なお、この時に分離された添田線は、第1次特定地方交通線に指定され、1985年に廃止された。
この路線は門司港駅・小倉駅から久大本線由布院駅方面への短絡線となっていたことから、1960年代より1980年代まで、「あさぎり」「あきよし」「はんだ」「日田」「ひこさん」といった準急列車・急行列車が運行されていた。しかし、北九州工業地帯の衰退に伴う北九州市の地位低下や、日田市など大分県西部の福岡市との結びつきの強まりなどによって大分県西部と北九州市の間の旅客流動が減少したこと、さらには大分自動車道の開通で高速バスや自家用車への旅客転移が進んだことから、1980年に急行列車は快速に格下げされ、さらに各駅停車化という形で順次廃止された。
小倉鉄道→添田線(初代)(東小倉駅 - 香春駅 - 大任駅 - 添田駅間)
- 1915年(大正4年)4月1日:小倉鉄道が東小倉駅 - 上香春駅 - 今任駅 - 上添田駅間 (24.5M) を開業、東小倉・石田・石原町・呼野・採銅所・上香春・上伊田(停留場)・今任・梅田・伊原・上添田の各駅を開業。
- 1916年(大正5年)4月1日:湯川仮停留場を新設。(安部山観桜時期に開設)。
- 1918年(大正7年)4月21日:富野連絡所 - 東小倉駅間にマイルを設定 (0.4M)。
- 1922年(大正11年)
- 4月1日:富野連絡所を信号場に改める。
- 12月1日:上伊田停留場を駅に改める。
- 1931年(昭和6年) - 1934年(昭和9年)頃:上添田駅を彦山口駅に改称。
- 1933年(昭和8年)
- 1934年(昭和9年)5月2日:湯川仮停留場を新設。(5月4日まで招魂祭参拝客取扱のため)。
- 1935年(昭和10年)4月1日:一本松停留場を新設[注 2]。
- 1936年(昭和11年)12月30日:豆塚停留場を新設。
- 1937年(昭和12年)4月25日:上呼野停留場を新設。
- 1940年(昭和15年)2月6日:丸山信号場を新設。
- 1942年(昭和17年)
- 1943年(昭和18年)
- 1945年(昭和20年)5月1日:川崎駅を豊前川崎駅に改称。
- 1948年(昭和23年)7月1日:丸山信号場を廃止。
豊州鉄道→九州鉄道→田川線(香春駅 - 後藤寺駅 - 添田駅間)
- 1896年(明治29年)2月5日:豊州鉄道が伊田駅 - 後藤寺駅間 (1M70C) を延伸開業、西身内谷(貨物)・後藤寺の各駅を新設。
- 1899年(明治32年)7月10日:後藤寺駅 - 川崎駅間 (2M67C) を延伸開業、後藤寺原(貨物)・池尻・川崎の各駅を新設、川崎駅 - 第一大任駅間(マイル設定なし)の貨物支線を開業し第一大任駅(貨物)を新設。
- 1901年(明治34年)9月3日:豊州鉄道が九州鉄道に合併。
- 1903年(明治36年)12月21日:川崎駅 - 添田駅間 (2.2M) を延伸開業、添田駅(初代)を新設。
- 1904年(明治37年)10月25日:西添田駅 - 庄間駅 (0.6M) の貨物支線を開業。
- 1906年(明治39年)1月12日:川崎駅 - 第二大任駅間 (1.2M) の貨物支線を開業。
- 1907年(明治40年)7月1日:鉄道国有法により九州鉄道を買収・国有化。
- 1908年(明治41年)3月28日:川崎駅 - 第一大任駅間にマイル設定 (0.5M)。
- 1909年(明治42年)
- 1913年(大正2年)3月1日:後藤寺原駅(貨物)を廃止。
- 1914年(大正3年)9月3日:後藤寺駅 - 東身内谷駅間の貨物支線を廃止、東身内谷駅(貨物)を廃止。
- 1942年(昭和17年)
- 1943年(昭和18年)7月1日:西添田駅 - 庄駅間 (1.0km) の貨物支線を休止、庄駅(貨物)を廃止。
- 1945年(昭和20年)6月10日:後藤寺駅 - 南駅間 (0.4km) の貨物支線を休止し後藤寺駅構内に併合、南駅(貨物)を廃止。
彦山線(夜明駅 - 大行司駅間)
- 1937年(昭和12年)8月22日:彦山線として夜明駅 - 宝珠山駅間 (7.4km) を開業、今山・大鶴・宝珠山の各駅を新設。
- 1946年(昭和21年)9月20日:宝珠山駅 - 大行司駅間 (2.0km) を延伸開業、大行司駅を新設。
日田線
- 1956年(昭和31年)
- 1957年(昭和32年)10月1日:香春駅 - 伊田駅間(4.0km。現在のルートが完成)を開業。なお、香春駅から現在の一本松駅南方までは大任方面(のちの2代目添田線、現在廃止)と、伊田駅から現在の平成筑豊鉄道上伊田駅西方までは勾金方面と、それぞれ線路を共有しており、実際に新設された線路は数百m程度である。城野駅 - 石田駅間 (3.3km) で貨物営業を開始。
- 1959年(昭和34年)5月1日:門司駅 - 天ケ瀬駅間で準急「あさぎり」運行開始。
日田彦山線
- 1960年(昭和35年)
- 1962年(昭和37年)10月1日:東小倉駅 - 石田駅間 (6.5km) の貨物支線を廃止、妙見駅(貨物)・水町信号場を廃止。
- 1963年(昭和38年)10月1日:臨時列車として門司港駅・直方駅 - 由布院駅間で準急「はんだ」、門司港駅・直方駅 - 豊後中村駅間で「日田」運行開始。
- 運行区間としては「はんだ」は門司港駅→由布院駅→小倉駅→直方駅、「日田」は直方駅→小倉駅→豊後中村駅→門司港駅という形態を採用した。
- 1964年(昭和39年)
- 3月20日:「はんだ」「日田」定期列車化。
- 10月1日:「日田」運行区間を門司港駅・直方駅 - 由布院駅間に変更。
- 1965年(昭和40年)10月1日:「はんだ」「日田」の運行区間を変更し、それぞれ以下の通りとなる。また、山陰本線浜田駅 - 博多駅間を運行していた準急「あきよし」が編成の一部を小倉駅で分割し当線経由で天ケ瀬駅まで乗り入れ開始。
- 「はんだ」:門司港駅 - 黒崎駅 - 直方駅 - 由布院駅間
- 「日田」:直方駅 - 黒崎駅 - 小倉駅 - 由布院駅間
- 1966年(昭和41年)3月5日:準急制度廃止に伴い、「あさぎり」「あきよし」「はんだ」「日田」「ひこさん」を急行列車に格上げ。
- 1970年(昭和45年)2月1日:豊前川崎駅 - 第二大任駅間 (1.9km) の貨物支線を廃止、第二大任駅(貨物)を廃止。
- 1971年(昭和46年)10月 小森信号場を廃止。
- 1974年(昭和49年)12月10日:豊前川崎駅 - 第一大任駅間 (0.9km) の貨物支線を廃止、第一大任駅(貨物)を廃止。
- 1980年(昭和55年)10月1日:ダイヤ改正に伴い、「ひこさん」廃止。「あさぎり」「はんだ」「日田」については快速列車に格下げ。「あきよし」については下関駅以西普通列車化。
- 1982年(昭和57年)11月3日:伊田駅を田川伊田駅に、後藤寺駅を田川後藤寺駅に改称。
- 1984年(昭和59年)2月15日:全線CTC化、指令所は田川伊田指令[4]。
- 1985年(昭和60年)
- 3月14日:快速「あきよし」廃止。快速「ひこさん」名称復活。
- 4月1日:添田線 香春駅 - 今任駅 - 添田駅間が廃止
- 1986年(昭和61年)11月1日:田川後藤寺駅 - 夜明駅間 (38.7km) の貨物営業を廃止、快速「あさぎり」「はんだ」「ひこさん」の列車名称廃止。快速「日田」は下りが小倉発日田行き、上りが天ケ瀬発門司港行き[8]。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により九州旅客鉄道(第1種・全線)、日本貨物鉄道(第2種・城野駅 - 石原町駅間)が承継、石原町駅 - 田川後藤寺駅間 (21.0km) の貨物営業を廃止。
- 1988年(昭和63年)3月13日:快速「日田」の運行区間が上下とも門司港駅 - 天ケ瀬駅間に[9]。
- 1989年(平成元年)3月11日:志井公園駅を新設。
- 1997年(平成9年)3月22日:一本松駅を新設。
- 1999年(平成11年)4月1日:日本貨物鉄道が城野駅 - 石原町駅間 (9.0km) の第二種鉄道事業を廃止。
- 2000年(平成12年)3月11日:下り快速「日田」を廃止、上り快速「日田」を添田駅 - 小倉駅間の運転に変更[10]。
- 2001年(平成13年)3月1日:快速「日田」を廃止。
- 2007年(平成19年)3月18日:朝の通勤時間帯の添田発小倉行き快速を新設 。列車名は無い。停車駅は、添田・豊前川崎・田川後藤寺・田川伊田・香春・石原町・城野・西小倉・小倉。
- 2008年(平成20年)3月15日:歓遊舎ひこさん駅を新設。
- 2013年(平成25年)
- 2016年(平成28年)12月22日:スマートフォンアプリ「JR九州アプリ」内のリアルタイム列車位置情報システム「どれどれ」提供開始[2]。
- 2017年(平成29年)
- 3月4日:快速列車の停車駅及び一部列車の時刻の変更。石原町駅での緩急接続・追越しを廃止の上、石原町駅 - 小倉駅間を各駅停車に変更。平日の快速列車もワンマン化し、これにて年間を通して快速列車はワンマン運転という形態に変更。
- 7月5日:平成29年7月九州北部豪雨により添田駅 - 夜明駅間で63箇所にわたり線路被災が確認され、終日運転見合わせ[11][12][13][14]。
- 7月31日:JR九州が大行司駅 - 日田駅間で1日4往復のバス代行輸送を開始[15][注 3]。
- 8月16日:添田駅 - 大行司駅間でもバス代行輸送を開始。既設の大行司駅 - 日田駅間4往復に加え、添田駅 - 日田駅間に直通便2往復、添田駅 - 彦山駅間に下り5本・上り6本を運行[18][19]。
- 10月25日:九州北部豪雨により不通区間に取り残された車両(キハ147系2両、保線車両1両)を撤去[20]。
- 2018年(平成30年)
- 7月14日:ダイヤ修正予定。西添田・池尻・一本松に快速が停車開始予定[21]。(通過駅は採銅所・呼野のみ)
九州北部豪雨に伴う不通
2017年(平成29年)7月5日から6日にかけて発生した九州北部豪雨により、彦山川沿いを走る添田駅以南で甚大な被害を受ける。第二彦山川橋梁(添田駅 - 歓遊舎ひこさん駅間)は橋脚が傾き、第三彦山川橋梁(豊前桝田駅 - 彦山駅間)も変形した。また、筑前岩屋駅構内や釈迦岳トンネル(彦山駅 - 筑前岩屋駅間)では土砂流入が発生し、大行司駅では駅舎の倒壊や構内の路盤崩壊、大行司駅 - 大鶴駅間では盛土の流出なども生じた[22][23]。また、直通運転先の久大本線でも光岡駅 - 日田駅間で花月川橋梁が流失するなどの被害を受けたこともあり、添田駅 - 夜明駅( - 日田駅)間が全面運休となった。
並行する国道211号や県道八女香春線も被害を受けたことから代行輸送も行われない状態がしばらく続いたが、国道の啓開作業の完了した7月31日より(東峰村役場前 - )大行司駅 - 夜明駅 - 日田駅間で代行バスの運行を開始、8月16日には添田駅 - 彦山駅間でもバス代行輸送が開始された。その後も道路事情から筑前岩屋には代行バスが立ち寄らない状況が続いていたが、2018年3月17日からは添田‐彦山、筑前岩屋‐日田、添田‐日田の3系統で代行バスが運転されている(ただし上述の通り、添田‐日田を直通するバスは下り1便を除き筑前岩屋には寄らない)。
なお、JR九州社長の青柳俊彦は10月2日から4日にかけて行われた複数の報道機関とのインタビューの中で、不通区間の復旧に関し「今回のような大きな災害があった場合、ゼロから鉄道を造るようなもの」「復旧まで年単位、もしくはそれ以上の期間になるのでは」とした上で、JR九州単独での復旧は難しいという方針を前提にした上で、国や沿線自治体が一定の費用を負担したうえでの鉄道による復旧や、バスやタクシーなどの鉄道以外での交通手段確保も選択肢に含めた上で、関係機関との協議を進める方針を示している[24][25][26]。この方針を示した背景として、各報道機関では同区間の輸送密度が299人と、同社内で5番目に少ない区間となっている[注 4]ことを指摘しているほか、毎日新聞はJR九州が2016年10月に完全民営化を果たしたことで、株主から赤字路線対策の要求があると報じている[26]。
その後開催された「日田彦山線復旧会議検討会」の中で、復旧費については災害復旧事業と合併施行することなどにより費用の一部を国や沿線自治体が負担することでおおむね合意が得られているものの、その後の維持管理費用についてJR九州は線路などの鉄道設備も自治体側が買い取り、設備管理の負担を軽減しながらJR側が運営を担う「上下分離方式」を提示[28]。沿線自治体は鉄道での復旧を希望するものの、大幅な費用負担に強い難色を示しており、これを受けてJR九州の青柳社長は8月27日、「きちんと維持していく方策が確認できれば、鉄道でやりたい。だが、鉄道を安全に維持するにはコストがかかる。真っ向から『一銭たりとも出さない』と言われるのは厳しい」「話が進まないようであれば、『鉄道維持は難しい』と地元の皆さんがおっしゃったという認識になる」「交通ネットワークの維持を考えれば、輸送モード(手段)の変更は案としてある」と述べ、沿線自治体の費用負担協議が決裂した場合には鉄道による復旧を断念し、バス・ラピッド・トランジット (BRT) による復旧方法を提示する意向を示唆した[29]。具体的には、彦山‐筑前岩屋間の釈迦岳トンネル内の線路を舗装し、バス専用道路にした上でバスによる交通確保を図る計画であるという[30]。
駅一覧
便宜上、末端部で全列車が乗り入れる日豊本線小倉駅 - 城野駅間、久大本線夜明駅 - 日田駅間もあわせて記載する。
- 九:特定都区市内制度における「北九州市内」エリアの駅
- 停車駅
- 普通…すべての駅に停車
- 快速…●印の駅は停車、○印の駅は7月14日から停車(7月13日までは通過)、↑印の駅は通過(矢印の方向のみ運転)
- 線路(日田彦山線内は全線単線) … ◇・∨:列車交換可能、|:列車交換不可、 ∥:複線区間(日豊本線内)
- 欄の背景色が■である駅(歓遊舎ひこさん駅 - 今山駅の各駅)は、平成29年7月九州北部豪雨の影響による不通区間の駅を示している[13](2018年7月14日現在)。
路線名 | 駅名 | 駅間営業キロ | 城野からの営業キロ | 快速 | 接続路線 | 線路 | 所在地 | |
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日豊本線 | 九 小倉駅 | - | 6.1 | ● | 九州旅客鉄道:鹿児島本線 西日本旅客鉄道:山陽新幹線 北九州高速鉄道:小倉線(モノレール) |
∥ | 福岡県 | 北九州市 小倉北区 |
九 西小倉駅 | 0.8 | 5.3 | ● | 九州旅客鉄道:鹿児島本線 | ∥ | |||
九 南小倉駅 | 2.7 | 2.6 | ● | ∥ | ||||
九 城野駅 | 2.6 | 0.0 | ● | 九州旅客鉄道:日豊本線(大分方面) | ∨ | 北九州市 小倉南区 | ||
日田彦山線 | ||||||||
九 石田駅 | 3.3 | 3.3 | ● | ◇ | ||||
九 志井公園駅 | 1.8 | 5.1 | ● | 北九州高速鉄道:小倉線(モノレール) (企救丘駅) | | | |||
九 志井駅 | 1.7 | 6.8 | ● | ◇ | ||||
九 石原町駅 | 2.2 | 9.0 | ● | ◇ | ||||
九 呼野駅 | 3.3 | 12.3 | ↑ | | | ||||
採銅所駅 | 5.8 | 18.1 | ↑ | ◇ | 田川郡 香春町 | |||
香春駅 | 5.3 | 23.4 | ● | ◇ | ||||
一本松駅 | 1.6 | 25.0 | ○ | | | ||||
田川伊田駅 | 2.4 | 27.4 | ● | 平成筑豊鉄道:伊田線・田川線 | ◇ | 田川市 | ||
田川後藤寺駅 | 2.6 | 30.0 | ● | 九州旅客鉄道:後藤寺線 平成筑豊鉄道:糸田線 |
◇ | |||
池尻駅 | 2.2 | 32.2 | ○ | ◇ | 田川郡 川崎町 | |||
豊前川崎駅 | 2.5 | 34.7 | ● | | | ||||
西添田駅 | 3.6 | 38.3 | ○ | | | 田川郡 添田町 | |||
添田駅 | 1.2 | 39.5 | ● | ◇ | ||||
歓遊舎ひこさん駅 | 2.1 | 41.6 | | | |||||
豊前桝田駅 | 1.6 | 43.2 | | | |||||
彦山駅 | 4.0 | 47.2 | ◇ | |||||
筑前岩屋駅 | 7.9 | 55.1 | | | 朝倉郡 東峰村 | ||||
大行司駅 | 4.2 | 59.3 | ◇ | |||||
宝珠山駅 | 2.0 | 61.3 | | | |||||
大鶴駅 | 1.6 | 62.9 | | | 大分県 日田市 | ||||
今山駅 | 2.5 | 65.4 | | | |||||
夜明駅 | 3.3 | 68.7 | 九州旅客鉄道:久大本線(ゆふ高原線)(久留米方面) | | | ||||
久大本線 | ||||||||
光岡駅 | 6.1 | 74.8 | ◇ | |||||
日田駅 | 2.4 | 77.2 | 九州旅客鉄道:久大本線(ゆふ高原線)(大分方面) | ◇ |
廃止区間
*印を付した停車場・信号場は路線廃止前に廃止されたもの。(貨)は貨物駅を表す。
- 田川線貨物支線:後藤寺駅 - (貨)東身内谷駅
- 田川線貨物支線:後藤寺駅 - (貨)南駅
- 日田彦山線貨物支線:豊前川崎駅 - (貨)第一大任駅
- 日田彦山線貨物支線:豊前川崎駅 - (貨)第二大任駅
- 田川線貨物支線:西添田駅 - (貨)庄駅
廃止停車場・信号場
- 水町信号場(城野 - 石田・妙見間。単線分岐型)
- 母原停留場(志井 - 石原町間)
- 木下停留場(石原 - 呼野間)
- 小森信号場(同上)
- 下呼野停留場(同上)
- 上呼野停留場(呼野 - 採銅所間)
- 丸山信号場(同上)
- 宮原停留場(採銅所 - 香春間)
- 鏡山停留場(同上)
- (貨)西身内谷駅(田川伊田 - 田川後藤寺間)
- (貨)後藤寺原駅(田川後藤寺 - 池尻間)
過去の接続路線
輸送実績
2017年7月31日に公表された「路線別利用状況」(区間別の平均通過人員〈輸送密度〉)、旅客運輸収入は以下の通り[31][27]。
区間 | 営業キロ | 平均通過人員 (人/日) |
旅客運輸収入 (百万円/年) | |
---|---|---|---|---|
1987年度 | 2016年度 | 2016年度 | ||
城野 - 夜明(全線) | 68.7 | 2,057 | 1,302 | 330 |
城野 - 田川後藤寺 | 30.0 | 3,287 | 2,595 | |
田川後藤寺 - 夜明 | 38.7 | 1,103 | 299 |
脚注
注釈
- ↑ 天候や日豊本線のダイヤ乱れなどの都合で城野駅での折り返し運転となる場合がある。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 2.7 後の添田線(2代)に関する記述。
- ↑ 7月12日から7月28日までは大分県教育委員会が学生の通学のために大行司駅 - 夜明駅間でジャンボタクシーによる代行輸送を行った[16][17]。
- ↑ 平成28年度の1日あたり平均通過人員[27]。同区間より少ないのは、熊本地震により長期部分運休中の豊肥本線(宮地駅 - 豊後竹田駅間・154人)を別にすると、肥薩線(人吉駅 - 吉松駅間・108人)、日南線(油津駅 - 志布志駅間・222人)、筑肥線(伊万里駅 - 唐津駅間・236人)の3区間のみ[27]。
出典
- ↑ SUGOCAは、エリア内のご乗車であれば最も安い運賃で減額します - SUGOCA公式サイト内
- ↑ 2.0 2.1 〜 運行情報のご案内を充実 〜 「JR九州アプリ」で列車位置情報を表示します! (PDF) - 九州旅客鉄道、2016年12月20日
- ↑ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
- ↑ 4.0 4.1 4.2 交通新聞2013年2月5日
- ↑ JTBパブリッシング『JTB時刻表』2017年3月号。なお国鉄時代の1980年10月1日ダイヤ改正まで急行が運行されていた。
- ↑ JR九州HP「日田彦山線復旧会議について」-会議資料4・鉄道や代行バスのご利用状況等について(JR九州)PDF
- ↑ 「鉄道省告示第85号」『官報』1943年4月26日 - 国立国会図書館デジタルコレクション
- ↑ 『交通公社の時刻表』日本交通公社、1986年12月号、p.315
- ↑ 『交通公社の時刻表』日本交通公社、1988年3月号、pp.333-335
- ↑ 『JTB時刻表』JTB、1999年12月号 pp.454-456、同2000年3月号 pp.454-456
- ↑ 日田彦山線・久大線、大雨で運転見合わせ - 朝日新聞デジタル、2017年7月5日18時46分
- ↑ 6月30日からの梅雨前線に伴う大雨及び台風第3号による被害状況等について(第7報) (PDF) - 国土交通省 災害情報、2017年7月6日 12:00現在
- ↑ 13.0 13.1 7月5日からの大雨による日田彦山線・久大本線の被災状況について (PDF) - 九州旅客鉄道株式会社(2017年7月11日)
- ↑ 平成 29 年 7 月九州北部豪雨による久大本線・日田彦山線の状況について (PDF) -九州旅客鉄道(2017年7月31日)
- ↑ 久大本線・日田彦山線の運転計画について(お知らせ) (PDF) - 九州旅客鉄道株式会社(2017年7月27日)
- ↑ JR代行輸送なし 日田彦山線復旧見通せず - 大分合同新聞、2017年7月20日
- ↑ 九州北部豪雨 「小鹿田焼の里」完全復旧1年以上 JR日田彦山線、一部不通 あすまで代行輸送 県教委報告/大分 - 毎日新聞、2017年7月27日
- ↑ 全不通区間で代行バス運行 JR日田彦山線 - 交通新聞社、2017年8月15日
- ↑ 日田彦山線代行輸送実施区間の拡大について (PDF) - 九州旅客鉄道、2017年8月18日閲覧
- ↑ 日田彦山線の車両撤去、九州豪雨で立ち往生 - 読売新聞(2017年10月25日、同日閲覧)
- ↑ “2018 年 7 月 14 日にダイヤを一部、変更します (PDF)”. 九州旅客鉄道. 2018年6月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 20186-18閲覧.
- ↑ “日田彦山線は約30kmに渡り被害…JR九州「復旧かなりの時間」”. Response.. (2017年7月11日) . 2017閲覧.
- ↑ 壊れ、流され 東峰村・築70年以上の駅舎無残 憩いの場「何とか元に」 九州豪雨1週間 - 西日本新聞(2017年7月12日配信)
- ↑ “日田彦山線復旧 鉄道以外も視野 九州豪雨でJR九州”. 西日本新聞. (2017年10月3日) . 2017閲覧.
- ↑ “復旧、鉄道以外も視野 豪雨被害の日田彦山線”. 日本経済新聞. (2017年10月3日) . 2017閲覧.
- ↑ 26.0 26.1 “日田彦山線「自前復旧困難」 地元と代案協議へ”. 毎日新聞. (2017年10月5日) . 2017閲覧.
- ↑ 27.0 27.1 27.2 “交通・営業データ(平成28年度)”. 九州旅客鉄道. . 2017-8-18閲覧.
- ↑ “日田彦山線BRT化 復旧難しい赤字路線 自治体反発か”. 毎日新聞. (2018年8月28日) . 2018閲覧.
- ↑ “JR九州社長、バス転換を示唆 日田彦山線「方式見直しも」”. 産経ニュース. (2018年8月28日) . 2018閲覧.
- ↑ “九州北部豪雨 JR日田彦山線の復旧にBRTを検討”. 毎日新聞. (2018年8月28日) . 2018閲覧.
- ↑ JR九州、区間別の利用状況を初公表 路線維持へ地元議論促す - 日本経済新聞(2017年7月31日 23:30配信)
参考文献
- 鉄道省 『昭和12年10月1日現在鉄道停車場一覧』 鉄道省(覆刻:鉄道史資料保存会)、東京(覆刻:大阪)、1937年(覆刻:1986年)、pp. 144, 431, 432。ISBN 4-88540-048-1。
- 今尾恵介監修『日本鉄道旅行地図帳 - 全線・全駅・全廃線』12 九州沖縄、新潮社、2009年。ISBN 978-4-10-790030-2。
- 川島令三編著『四国・九州ライン - 全線・全駅・全配線』3 北九州・筑豊エリア、講談社、2013年。ISBN 978-4-06-295162-3。
- 川島令三編著『四国・九州ライン - 全線・全駅・全配線』4 福岡エリア、講談社、2013年。ISBN 978-4-06-295163-0。