オアシス
オアシス(英語:Oasis)とは砂漠・ステップなど乾燥地域における緑地。英語読みはオウエイスィス。
概要
直接的な語源は古代ギリシア語にあり(ὄασις Oasis)、ヘロドトスの「歴史」(第3巻 26節)に見られる。ここでは、リビア砂漠に存在した諸都市(オアシス都市)の名とされている。この語は、さらに溯って、恐らくは古代エジプト語(wḥʾt 「オアシス」「オアシス地域」)が転訛したものと考えられている[1]。
オアシスには、泉性(地下水によるもの)だけでなく、河川や雪解け水を水源とするオアシスもあり、後者の方が大規模なオアシスを形成する。さらに井戸などによる人工的なオアシスも存在する。農業が可能となり、集落が形成されることがあるほか、通商路の経由地ともなる。
隊商は水と食料を補給するためにオアシスを経由しなければならない。オアシスの政治的、軍事的支配は、多くの場合商業の支配をも意味してきた。例えば、現在のリビアに位置するガダミス、クフラなどのオアシス都市は、サハラ砂漠の南北および東西交易(サハラ交易)において重要であったし、中国とヨーロッパを結んだシルクロードのルート上にも多くのオアシス都市国家が存在し覇を競った。
世界最大のオアシスはナイル川の河谷およびナイル川デルタ地帯であり、22,000平方キロメートルある。
転じて「憩いの場所」を意味する。
クールアイランド
地下水は地表面からの蒸発と、植物体からの蒸散によって大気中へ放出され、同時に蒸発の潜熱が失われる[2]。熱源は気温および地表の温度であることから、蒸発量が多ければ多いほど気温と地表温度は低下することになる[3]。すなわち、オアシスの水量が豊富なところほど、オアシス周辺は涼しくなる[4]。ここで等温線を引けば、中心部を最も低温とし、オアシス周辺を同心円状に取り巻く形をとることから、高温の乾燥地帯に島のように涼しい地帯が浮かんで見える[4]。これをクールアイランドという[4]。クールアイランドの効果は、天然のものでも人工のものでも同じである[4]。
オアシス都市
脚注
参考文献
- 関口武『気象と文化』東洋経済新報社、1983年.