大阪広域水道企業団
大阪広域水道企業団(おおさかこういきすいどうきぎょうだん、英語: Osaka Water Supply Authority)とは、大阪市を除く大阪府内の42市町村で構成される一部事務組合であり、水道用水供給事業、水道事業及び工業用水道事業を行う地方公営企業である[1]。
事業
水道用水供給事業
大阪府内の42市町村に対して、年間約5億2千万m3の水道用水の供給(いわゆる水道水の卸売り)を行っている。この水量は、大阪市を除く大阪府民に供給されている水道水の約7割を占め、多くの市町村にとってなくてはならない水道水源としての役割を果たしている。
前身にあたる大阪府水道部の水道用水供給事業は、1951年(昭和26年)2月に庭窪浄水場から沈澱水の供給を開始し、その後拡張事業を重ねて給水区域を拡大するとともに、1963年(昭和38年)7月には村野浄水場、1967年(昭和42年)12月には三島浄水場から給水を開始した。
1998年(平成10年)7月からは、すべての浄水場からオゾン処理や粒状活性炭処理などを施した「高度浄水処理水」を供給している。
- 給水対象市町村:能勢町、豊能町、池田市、箕面市、豊中市、吹田市、茨木市、高槻市、摂津市、島本町、枚方市、守口市、門真市、交野市、寝屋川市、四條畷市、大東市、東大阪市、八尾市、柏原市、藤井寺市、羽曳野市、大阪狭山市、富田林市、松原市、河内長野市、太子町、河南町、千早赤阪村、堺市、高石市、和泉市、泉大津市、忠岡町、岸和田市、貝塚市、泉佐野市、熊取町、田尻町、泉南市、阪南市、岬町
- 年間給水量:515,834,500m3/年(平成28年度)[2]
- 1日最大給水量:1,572,800m3/日(平成28年度)[2]
- 導・送水管管路延長:約570km(平成28年度末現在)[2]
- 水道料金単価(市町村水道への供給料金単価):72円/m3(税抜)
- 水源参画施設:琵琶湖開発、日吉ダム、高山ダム、青蓮寺ダム、淀川大堰、正蓮寺川利水
水道事業
2017年(平成29年)4月1日から、それまで四條畷市、太子町、千早赤阪村が行っていた水道事業を大阪広域水道企業団に統合し、3市町村域については各戸向けの給水までを企業団が担っている。 水道料金については、継承時の各水道事業の料金体系をそのまま引き継いでおり、予算編成や決算も事業毎に独立して行っている。
- 四條畷水道事業
- 太子水道事業
- 千早赤阪水道事業
工業用水道事業
大阪府内の4市1町の全域及び21市1町の一部を給水区域とし、年間約1億m3の工業用水を約430社の事業所に対して供給している。
前身にあたる大阪府水道部の工業用水道事業は、1962年(昭和37年)5月に供給を開始し、1959年(昭和34年)度から1969年(昭和44年)度にかけて産業基盤整備として堺・泉北臨海工業地域における工業用水の需要に対応するための施設整備を行い、1964年(昭和39年)度から1979年(昭和54年)度にかけて地盤沈下対策として北摂、東大阪、泉州地域における施設整備を行ってきた。また、1987年(昭和62年)度から1990年(平成2年)度にかけて関西国際空港の対岸に位置する「りんくうタウン」や食品コンビナートに対して工業用水を供給する施設を整備した。
なお、大阪広域水道企業団の工業用水道の配管は淀川を横断していないため、淀川以北の地域への供給は三島浄水場が、淀川以南の地域への供給は大庭浄水場がそれぞれ担っている。
- 給水区域:泉大津市、守口市、門真市、摂津市及び忠岡町の各全域並びに大阪市、堺市、岸和田市、豊中市、吹田市、高槻市、貝塚市、茨木市、八尾市、泉佐野市、寝屋川市、松原市、大東市、和泉市、柏原市、羽曳野市、高石市、藤井寺市、東大阪市、泉南市、四條畷市及び田尻町の各一部
- 受水事業所数:425社(平成28年度末現在)[2]
- 年間配水量:96,186,400m3/年(平成28年度)[2]
- 1日最大配水量:333,500m3/日(平成28年度)[2]
- 導・配水管管路延長:約524km(平成28年度末現在)[2]
- 工業用水道料金単価
- 基本料金単価(申込水量(基本使用水量)にかかる料金単価):32.4円/m3(税抜)
- 使用料金単価(実際にその月に使用した水量から超過水量を除いた水量(使用水量)にかかる料金単価):10.4円/m3(税抜)
- 超過料金単価(単位時間当たりの基本使用水量を超えて使用した水量(超過水量)にかかる料金単価):85.6円/m3(税抜)
- 水源参画施設:琵琶湖開発、淀川大堰、正蓮寺川利水
沿革
- 2010年11月2日 - 大阪府知事による設立許可。(構成団体:37市町村)
- 2011年1月20日 - 構成団体の追加及び規約の変更許可。(構成団体:37市町村から42市町村に変更)
- 2011年4月1日 - 大阪府水道部が行っていた事業を引き継ぎ、水道用水供給事業及び工業用水道事業を開始[4]。
- 2017年4月1日 - 四條畷市、太子町、千早赤阪村の水道事業を企業団に統合。
組織
企業長を代表者とし、副企業長以下、経営管理部、事業管理部の2部で構成される。浄水場や事業所などの出先機関は事業管理部に含まれている。
- 経営管理部
- 本部:総務課、企画課、財務課、広域連携課
- 事業管理部
- 本部:計画課、事業推進課、契約検査課、管財課
- 出先機関:村野浄水場、庭窪浄水場、送水管理センター、北部水道事業所、東部水道事業所、南部水道事業所、水質管理センター、四條畷水道センター、太子水道センター、千早赤阪水道センター
主要施設
- 水道用水供給事業
- 取水場
- 磯島取水場(枚方市)
- 一津屋取水場(摂津市)
- 浄水場
- 村野浄水場(枚方市) - 給水能力 1,797,000m3/日
- 庭窪浄水場(守口市) - 給水能力 203,000m3/日
- 三島浄水場(摂津市) - 給水能力 330,000m3/日
- 万博公園浄水施設(吹田市)
- 浄水池
- 千里浄水池(箕面市)
- 奈佐原浄水池(高槻市)
- 多留見浄水池(豊能町)
- 泉北浄水池(堺市)
- 和泉浄水池(和泉市)
- 泉南浄水池(阪南市)
- 中継ポンプ場
- 郡家ポンプ場(高槻市)
- 小野原ポンプ場(箕面市)
- 高槻ポンプ場(高槻市)
- 北部第一(彩都)ポンプ場(茨木市)
- 北部第二(佐保)ポンプ場(茨木市)
- 北部第三(泉原)ポンプ場(茨木市)
- 北部第四(野間口)加圧ポンプ場(豊能町)
- 四條畷ポンプ場(四條畷市)
- 枚岡ポンプ場(東大阪市)
- 藤井寺ポンプ場(藤井寺市)
- 美陵ポンプ場(藤井寺市)
- 狭山ポンプ場(大阪狭山市)
- 富田林ポンプ場(富田林市)
- 河南加圧ポンプ場(河南町)
- 泉佐野ポンプ場(泉佐野市)
- 水道事業
- 四條畷水道事業
- 浄水場
- 田原浄水場
- 中継ポンプ場
- 中野ポンプ場
- 岡部ポンプ場
- 中央ポンプ場
- 第1中継ポンプ場
- 第2中継ポンプ場
- 受水池・配水池
- 岡山低区配水池
- 中区配水池
- 逢阪配水池
- 逢阪高区配水池
- 田原低区配水池
- 田原中区配水池
- 田原高区配水池
- さつきヶ丘配水池
- 浄水場
- 太子水道事業
- 浄水場
- 板屋橋浄水場
- 梅川浄水場
- 中継ポンプ場
- 山田加圧ポンプ場
- 畑加圧ポンプ場
- 受水池・配水池
- 磯長台配水池
- 中央配水池
- 山田配水池
- 畑配水池
- 聖和台配水池
- いわき台配水池
- 浄水場
- 千早赤阪水道事業
- 浄水場
- 千早浄水場
- 岩井谷浄水場
- 中継ポンプ場
- 中津原第1加圧ポンプ場
- 中津原第3加圧ポンプ場
- 中津原加圧ポンプ場
- 受水池・配水池
- 甘南備受水池
- 川野辺受水池
- 千早配水池
- 上東阪配水池
- 下東阪配水池
- 二河原辺低区配水池
- 二河原辺高区配水池
- 小吹台低区配水池
- 小吹台高区配水池
- 水分低区配水池
- 水分高区配水池
- 浄水場
- 工業用水道事業
- 取水場
- 一津屋取水場(摂津市)
- 浄水場
- 大庭浄水場(守口市) - 給水能力 600,000m3/日
- 三島浄水場(摂津市) - 給水能力 200,000m3/日
- 中継ポンプ場
- 八尾ポンプ場(八尾市)
- 枚岡加圧ポンプ場(東大阪市)
- 東除ポンプ場(大阪市)
- 泉大津ポンプ場(泉大津市)
議会
構成団体(大阪市を除く大阪府内の42市町村)の議会の議員から選ばれた議員で構成される独自の議会が設置されており、議員定数は33名。
広報活動
- 利き水会
- 水道水のおいしさや安全性を再認識してもらうことを目的とし、受水市町村が実施するイベントなどにおいて実際に水道水とミネラルウォーターとの飲み比べを行う「利き水会」を市町村と共同で実施している。2017年(平成29年)度には15市町で実施し、パンフレットや災害用備蓄水なども併せて配布している。
- 出かける浄水場
- 企業団(初期は大阪府水道部)職員による、府内の小学4年生を対象にした出前授業であり、水の大切さについての理解を深め、「大阪のおいしい水づくり」や「水の大切さ」について学んでもらうことを目的とし、2009年(平成21年)度から実施している。内容は、DVD視聴や水道に関するクイズを交えた講義、水づくりに関する実験(凝集実験、砂ろ過実験、粒状活性炭処理実験)、利き水で構成されており、2017年(平成29年)度には20校で約1,300人の児童を対象に実施した。
- マスコットキャラクター
- みずまる
- 府・市町村共同水道キャンペーンのロゴマークとして「めっちゃおいしいやん!おおさかの水」のキャッチフレーズとともに使用された。デザインと愛称は一般に公募して決定したものであり、現在も水道水のPR用として使用されている。
- Suiちゃん、Tekiくん
- 大阪府水道部時代のマスコットキャラクターで、水滴の形をした女の子と男の子。イベント用の着ぐるみも製作されたが、現在はほとんど使用されていない。