台湾
地理 | |
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場所 | 太平洋 |
座標 | 東経121度0分北緯23.767度 東経121度 |
面積 | 36,193 km2 ({{rnd/b構文エラー: 予期しない演算子 < です。|構文エラー: 予期しない演算子 < です。|(構文エラー: 予期しない演算子 < です。)|構文エラー: 予期しない演算子 < です。 }} sq mi) |
面積順位 | 136位 |
最高標高 | 3,952 m (12,966 ft) |
最高峰 | 玉山 |
行政 | |
首都 | 台北市 |
最大都市 | 新北市(人口3,967,571) |
台湾(タイワン、中: 臺灣 / 台灣、台: Tâi-oân)は、東アジアの島である。
1945年に当時中国大陸を本拠地とした中華民国の統治下に入り、1949年に中華民国政府が台湾に移転した。1955年以降、中華民国は台湾本島以外にも澎湖諸島、金門島、馬祖島、東沙諸島、南沙諸島の太平島を実効支配しているが、全体の面積に占める台湾(本島)の割合は99%以上になる。そのため、中華民国の通称として「台湾」と表記される(詳細は定義参照)。近隣諸国としては、東及び北東に日本、南にフィリピンがある。事実上の首都は台北市である。台北県が直轄市となったことにより成立した新北市は、台北市及びその外港である基隆市を囲む大都市圏を包含し、2018年時点では同島で人口最多の都市である。
Contents
概要
かつては「フォルモサ」 (ポルトガル語: Formosa, 「麗しの島」) として知られた台湾島は、漢民族が同島に移住し始めた17世紀における大航海時代のオランダ及びスペインの植民まで、台湾原住民が主に居住していた。1662年、明寄りの支持者である鄭成功はオランダを追放し、同島初の政治的実体である東寧王国を設立した。清は後に同王国を破り、台湾を併合した。1895年に日清戦争の結果下関条約にて台湾が日本に割譲されるまでは、台湾の居住者の大多数は台湾原住民であった。現在のDNAの調査によれば、8割が南方アジア系である。
1912年、中華民国が中国に設立された。1945年における日本の降伏後、中華民国は台湾の統治を引き継いだ。国共内戦後、中国共産党は中国大陸を完全に支配し、1949年には中華人民共和国を設立した。中華民国は政府を台湾へと移転し、同国の法域は台湾及びその周囲の諸島に限定された。1971年、中華民国が当初占有していた国際連合での中国の議席を中華人民共和国が継承した。多くの国が中華人民共和国へと国際的承認を切り替えるにつれ、中華民国の承認は次第に失われてきた。現在国連加盟21箇国及び聖座のみが中華民国と公式の外交を有するが、他の多くの国家とは駐在員事務所経由で非公式な関係を有する。
憲法上、中国全土及びモンゴル国を含む定義における「中華民国」全てを主権国家として政府が主張するかどうかに関して論争が存在するが[1]、1992年以来、中華民国は中国大陸を取り戻すことを公式的に放棄とした[2]。しかし、政党の連立に大いに依存する中国との関係の政治姿勢を定義する政府の立場は責任を負っている。一方、中華人民共和国は自らを中国唯一の合法的な代表であると強く主張し、「主権国家としての中華民国の地位及び存在」を否定し、台湾を「中華人民共和国統治権下の台湾省」として主張する。
20世紀後半に台湾は急速な経済成長及び工業化を経験し、現在では先進国である。1980年代及び1990年代初頭、普通選挙で複数政党制民主主義に発達した。台湾はアジア四小龍の一角であり、WTO及びAPEC加盟地域である。世界第21位の経済規模を有し[3][4]、世界経済においてハイテク産業は重要な役割を担っている。台湾は言論の自由、報道の自由、医療[5]、公教育、経済的自由、男女平等、人間開発の観点から上位に順位付けされている[6]。世界で最も裕福な国トップ29では、台湾は世界で19番目に裕福な国である[7]。
世界で最も総合的な報告書のひとつである「Expat Insider 2017」によると[8]、外国人から最もクオリティ・オブ・ライフ(生活の質、英: quality of life、QOL)が高いと判断された国では、台湾が世界2位であった[9]。
国連(UN)と米コロンビア大学の「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」と同大学地球研究所が発表した最新の「世界幸福度報告書2018」で、台湾は世界156カ国中、世界26位に入り(昨年の世界33位から7つ順位上昇した)、アジアでは首位となった。報告書の幸福度ランキングは2012年に開始され、今回で6回目となる。156カ国を対象に、1人当たりの国内総生産(GDP)や健康寿命、困難時に信頼できる人がいるかどうか(社会的支援)、人生の選択の自由、寛容さ(寄付の広がり)、政府や企業における汚職からの自由度などを手掛かりに幸福度を調査[10]。
定義
- 島嶼としての台湾
- 台湾本島、または台湾島を中心として蘭嶼など77の付属島嶼からなる。総面積は36,193 km2 (13,974 sq mi)[11]。
- 地域としての台湾
- 1885年に清朝が新設した台湾省に属していた地域を指しており、具体的には台湾本島、付属島嶼、および澎湖諸島から範囲が構成されている。
- 政治実体としての台湾
- 中華民国の政府が実効支配している全地域を指しており、具体的には台湾本島、付属島嶼、澎湖諸島に中国大陸沿岸の馬祖列島、烏坵島と金門島、および南シナ海の東沙諸島と南沙諸島の一部(太平島、中洲島)を加えた範囲から構成されている。憲法上の公式な名称は「中華民国自由地区」。法令・公文書等では他に台湾地区、台澎金馬とも表記される。この範囲は、国民政府が1955年に浙江省・大陳列島の領有権を喪失したことで確定した。なお、福建省に属する島々を台湾省の台湾、澎湖と区別して金馬地区(きんまちく、金門島と馬祖列島の頭文字に由来)と呼称することもある。
- これは、国共内戦を経て1949年に社会主義陣営の中国共産党率いる中華人民共和国が成立した後に発生した地域概念である。本来、「中国を統治する唯一の合法(正統)な国家」は中華民国のみであったが、中華人民共和国が成立したことにより、「中国を統治する唯一の合法(正統)な国家」を自称する2つの政治的存在が並立し、それぞれ台湾に対する権利を主張する事態となった。
- その後、冷戦下における微妙な軍事・政治バランスの中、1971年に国際連合で中華人民共和国が「中国」の代表権を取得してからは多くの国が中華人民共和国を「正統な中国政府」として承認したが、それ以降も資本主義陣営の中華民国との非公式な関係維持を望むアメリカ合衆国や日本国などの多くの国では、中華民国が実効支配している地域を中華人民共和国の統治地域とは別個の「地域」と判断して、「台湾」という地域名称で呼称し始めた。
名称の由来
台湾の語源は不明確で、原住民の言語の「Tayouan(ダイオワン)」(来訪者の意)という言葉の音訳とも、また、「海に近い土地」という意味の「Tai-Vaong」や「牛皮の土地」という意味の「Tai-oan」などの言葉に由来するとも言われる。大員(現・台南)が ダイワンと呼ばれており、そこにオランダ人が最初に入植したためとも見られている。いずれにしても原住民の言葉が起源と見られ、漢語には由来していない。中国の文献に台湾が台湾と呼称されるようになったのは清朝が台湾を統治し始めてからのことである。
別称
台湾島には、フォルモサ (Formosa) という別称が存在し、欧米諸国を中心に今日も使用されることがある。これは「美しい」という意味のポルトガル語が原義であり、16世紀半ばに初めて台湾沖を通航したポルトガル船のオランダ人航海士が、その美しさに感動して「Ilha Formosa(イーリャ・フォルモーザ=美しい島)」と呼んだことに由来するといわれている。なお、フォルモサの中国語意訳である美麗(之)島や音訳である福爾摩沙を台湾の別称として用いることもある。
ちなみに、日本では高山国(こうざんこく)、もしくは高砂国(たかさごこく)と呼んだ。高山国や高砂国などは「タカサグン」からの転訛という。これは、商船の出入した西南岸の「打狗山」(現・高雄)がなまったものと思われる。正式の使節ではないが、タイオワン事件に関して、原住民が「高山国からの使節」として江戸幕府3代将軍徳川家光に拝謁したこともある。
中国による呼称の変遷
『漢書地理志』の中に「会稽海外有東鯷人、分為二十余国、以歳時来献見……」との記載があり、一部の学者は東鯷とは台湾を指す名称であると主張している。しかし漢代の中心地は中原と呼ばれる、長安および洛陽を中心とする地域であり、福建省や広東省の沿岸地帯(河洛)に至ることは非常に稀であった。ゆえにその東岸にある島嶼を正確に記録したとは考えにくく、東鯷とは海上の島嶼群を漠然と示した名称であると考えられ、台湾の呼称と即断することは困難である。
三国時代には、沈瑩著『臨海水土志』と陳寿著『三国志』呉志の孫権伝の部分に記述が見られる。 『臨海水土志』に、「夷州在浙江臨海郡的東南、離郡二千里、土地無霜雪、草木不枯、四面皆山、衆山夷所居。山頂有越王射的正白、乃是石也。」「部落間互不相属、各号為王、分割土地……」、および
夷洲在臨海東南、去郡二千里。土地無霜雪、草木不死。四面是山谿。人皆髠髮穿耳、女人不穿耳。土地饒沃、既生五穀。又多魚肉。有犬、尾短如麕尾状。此夷舅姑子婦臥息。共一大牀、略不相避。地有銅鐵、唯用鹿格爲矛以戰闘、摩礪青石以作(弓)矢鏃。取生魚肉雜貯大瓦器中、以鹽鹵之、歴月所日、乃啖食之、以爲上肴[12]
とあり、『孫権伝』には、
二年春正月,魏作合肥新城。詔立都講祭酒,以教學諸子。遣將軍衛温、諸葛直將甲士萬人,浮海求夷洲及亶洲。亶洲在海中,長老傳言:秦始皇帝遣方士徐福將童男童女數千人入海,求蓬萊神山及仙藥,止此洲不還。世相承有數萬家,其上人民。時有至會稽貨布,會稽東縣人海行,亦有遭風流移至亶洲者。所在絶遠,卒不可得至,但得夷洲數千人還[13]。
とある。これらの場合の夷州は台湾島の特徴に合致する。またこのような島嶼は中国南部の沿岸には台湾島以外に見当らないため、この時代には中国文明が台湾を認識していたと考えられている。
隋末から宋までの600年間、中国の文献の中で台湾の記事が出現しない空白期間を迎える。元代になると再び記録に台湾が出現するようになる。明代の記録である『東西洋考』、『閩書』、『世法録』では台湾を東蕃、と呼んでいる。周嬰在が表した『東蕃記』では台員、何喬遠が表した『閩書島夷誌』では大員、張燮の『東西洋考』では大円、何喬遠の『鏡山全集』では台湾、沈鉄的奏折の中では大湾のように様々な呼称が与えられている。また福建沿岸の民衆は台湾南部を毗舍耶、中原の漢族は台湾北部を小琉球と呼んでいる。
明王朝の太祖・朱元璋の時代になると、琉球という呼称は沖縄・台湾双方を指す語として使われ続けたため、両者の区別に混乱が生じ、沖縄を大琉球、台湾を小琉球と呼ばれるようになるが、その後名称に混乱が生じ、小東島、小琉球、雞籠、北港、東番のような名称が与えられていた(地理そのものが知られていなかったので、これらが台湾全島を含んだとは限らず、台湾を中心とした概念だったかもわからない)。明末に鄭成功が台湾に建てた鄭氏政権時代になると、鄭氏政権は台湾を「東都」、「東寧」などと呼ぶようになった。なお、「大員DaiUan/ダイワン」の呼称が用いられるようになると、いつしか台湾近くにある琉球嶼(屏東県琉球郷)を指して「小琉球」と呼ばれるようになり、台湾と琉球嶼との間で両者の区別に混乱が生じている例もある[14]。
このような名称の変遷を経て、清朝が台湾を統治し始めた後に、原住民の言語を語源とする台湾が使われるようになった。
歴史
- Zeelandia from Dutch.jpg
1635年頃に描かれた安平古堡の概観
- Tsou youth of Taiwan (pre-1945).jpg
ツォウ族の青年
- U.S. President Eisenhower visited TAIWAN 美國總統艾森豪於1960年6月訪問臺灣台北時與蔣中正總統-2.jpg
1960年6月、台北市にて蒋介石総統とともに民衆に手を振るドワイト・D・アイゼンハワー米大統領
地理
台湾は、台湾本土とその周辺諸島(澎湖諸島・蘭嶼など)、および金馬地区と東沙諸島・南沙諸島から構成されており、面積は35,980 km2 (13,892 sq mi)と日本の九州と同程度(日本の約10分の1)の大きさである。
台湾北東部は日本の琉球諸島の西方海上に位置しており、最も近い与那国島との距離は110km以下である。また、台湾地域西端の金馬地区は台湾海峡を隔てて中国と接しており、最南端の岬である鵝鑾鼻(がらんび)は、バシー海峡を隔ててフィリピンと接している。
台湾最大の島である台湾島は、南北の最長距離が約394km、東西の最長距離が約144kmで木の葉のような形をしている。島の西部は平野、中央と東部は山地に大別されるが、島をほぼ南北に縦走する5つの山脈(中央山脈、玉山山脈、雪山山脈、阿里山山脈、海岸山脈)が島の総面積の半分近くを占めており、耕作可能地は島の約30%にすぎない。台湾最高峰の山は玉山山脈の玉山(旧日本名:新高山、海抜3,952m)であり、富士山よりも高く、同様に雪山など標高3,000mを超える高山が多数連なっている。また、このほかの重要な地勢としては丘陵、台地、高台、盆地などが挙げられる。
なお、台湾はフィリピン海プレートとユーラシアプレートの交差部に位置するため、日本と同様に地震活動が活発な地域である。また日本と同じ火山帯に属し、温泉も豊富にある。
台湾の公立公園
気候
台湾はほぼ中央部(嘉義県付近)を北回帰線が通っており、北部が亜熱帯、南部が熱帯に属している。そのため、北部は夏季を除けば比較的気温が低いのに対し、南部は冬季を除けば気温が30度(摂氏)を超えることが多くなっている。台湾の夏はおおよそ5月から9月までで、通常は蒸し暑く、日中の気温は27度から35度まで上り、7月の平均気温は28度である。冬は12月から2月までと期間が短く、気温は総じて温暖であり、1月の平均気温は14度である。ただし、山岳部の高標高地帯では積雪が観測されることもある(玉山 (台湾)の山頂は寒帯のツンドラ気候に該当する)。
平均降雨量は年間およそ2,515mmであり、雨期に多く、また降雨量は季節、位置、標高によって大きく異なっている。台湾は台風の襲来が多く、毎年平均3 - 4個の台風に襲われている。台風で給水の大きな部分を賄っているが、同時に損壊、洪水、土砂流などの災害も発生している。1996年の台風9号や2009年の台風8号などは、豪雨をもたらした。また、台風以外にも、夏季には台湾語「サイパッホー (sāi-bak-hō)」と呼ばれる猛烈な夕立が多い。
政治
今日の台湾における重要な政治的問題としては、台湾問題が挙げられる。
台湾問題とは、台湾の最終的な政治的地位および主権帰属を巡る中華民国と中華人民共和国と台湾未定論の問題である。1945年9月2日調印のポツダム宣言(第二次世界大戦終結)に伴い、中華民国・南京国民政府は、連合国軍の委託を受けて駐台湾日本軍の武装解除を行うために台湾へ軍を進駐させ、1943年のカイロ宣言に従い(ただし、同会談後に報道関係者向けに配布されたニュース・リリースであり無効という説もある)、1945年10月25日に台北で日本側の安藤利吉台湾総督・第十方面軍司令官が降伏文書に署名し、中華民国は台湾の実効支配を開始した(台湾光復)。ただし、この時点では行政権を中華民国に移譲しただけであり、国際法上、台湾島地域は依然として日本国の領土であった。1949年10月1日に国共内戦で勝利した中国共産党が中華人民共和国を樹立し、中華民国政府が国共内戦下で一旦崩壊した上で「台湾国民政府」として再始動してからは、両党間で「中国を代表する正統な政府」としての権利を巡る対立が生じるようになり(→中華民国の歴史)それと同時に台湾の政治的地位と主権帰属も対立の一要因となっていった。なお、日本国政府は、1951年のサンフランシスコ講和条約および1952年の日華平和条約において台湾島地域に対する権原を含める一切の権利を放棄したが、それらの帰属先が明言されていないため、台湾島地域の国際法上の領有権は現在でも未確定であるという見方(台湾地位未定論)もある[15]。
21世紀初頭では、国際政治上の駆け引きの結果から「中国を代表する正統な国家」として中華人民共和国を承認する国が大勢を占めている。ただし、ほとんどの国は、中華人民共和国を「承認」しながら、半官半民の組織を介して中華民国と実務関係を維持している。現在も中華民国憲法は、大陸統治時代に制定された条文を維持し、中華民国が中華国家であることの象徴としている。その一方で憲法追加修正条項の制定以後、中華民国が台湾地域のみを統治するとの前提により民主化が進められてきた。しかし、中華民国の反独立派や中華人民共和国政府は、こうした動きを法理独立と非難してきた。その一方で、台湾独立運動(台独運動、または台独)の一部は、中華民国体制が長年に渡り台湾住民の国政参加を拒み、差別と弾圧を行ってきた歴史(二・二八事件と呼ばれる台湾人大虐殺と、中国国民党による長期間の高圧独裁)を忘れるべきではなく、中華民国支配からの解放と異なる新しい国家を自ら建設すべきであると主張している。このように、現在も台湾問題に関する様々な意見が存在し、第三者による理解を困難にしている。
しかし、台湾世論の大勢は、台湾が中華人民共和国の主権に帰属するものではなく、中華民国という国家であるという点で一致している。その上で中華民国の立法府たる立法院の議員などの政治家は今なお、「台湾も中華人民共和国も同じ中華民族の国家である」とみなす泛藍連盟派と、「台湾と中国は別々の国である」とする泛緑連盟派(台湾本土派および独立派)のいずれかに大別される。
ただし、世論調査では、早急な統一も独立も望んでおらず、実質的に中華人民共和国とは分離している現在の状態を維持することを望む声が多い。そのため、中華民国の世論は基本的には現状での安定志向にあると言え、各党も世論を配慮しながら政治活動を行なっている。2008年8月末には、中華民国からの独立デモが発生している。
調査 | 台湾人 | 中国人 | 台湾人かつ中国人 |
---|---|---|---|
国立政治大学(1992年) | 17.6% | 25.5% | 46.4% |
国立政治大学(1996年) | 24.1% | 17.6% | 49.3% |
国立政治大学(2000年) | 36.9% | 12.5% | 44.1% |
国立政治大学(2008年) | 48.4% | 4% | 43.1% |
国立政治大学(2016年) | 59.3% | 3% | 33.6% |
地方行政区分
かつての中華民国による行政区分は、台湾を2省(台湾省、福建省)、6直轄市(台北市、高雄市、台南市、台中市、新北市、桃園市)に区分し、更に省内を3省轄市(基隆市、新竹市、嘉義市)、16県に区分していた。だが、1996年に福建省が、1998年に台湾省がそれぞれ行政機能を「凍結」(事実上の廃止)された。その後市と県の合併や直轄市への昇格があり、現在では6直轄市(台北市、新北市、桃園市、台中市、台南市、高雄市)に区分し、3省轄市、11県に区分している。また、2015年現在省轄市と県が直轄市と並んで地方行政を担っているが、直轄市との間には地方交付税の配分や人事権限の格差が残されたままである。
階層 | 行政区分 | 合計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 直轄市 (6) | 省 (2) (合理化) | 22 | |||
2 | 市 (3) | 県 (13) | ||||
3 | 区 (170) | 県轄市 (13) | 鎮 (39) | 郷 (146) | 368 | |
4 | 里 | 村 | 7,835 | |||
5 | 隣 | 147,877 |
主要都市
台湾の中心都市は北部盆地に位置する台北市であり、1949年以降は中華民国の首都機能を果たしている。台北市は行政区分としては中心部の台北市(人口第四位)と郊外部の新北市(人口第一位)に分かれている。
遷台以前の中華民国の首都は南京市とされていたが(ただし中華民国憲法および法律などによって明文化はされていない)、遷台以降の台北市は「臨時首都」および「中央政府所在地」という扱いになっている。なお、台湾省の省都も当初は台北市であったが、1957年に台北市から台湾中部にある南投県南投市中興新村に移された。後に台湾省が凍結され、現在では省都として機能していない。
地方の主要都市としては、台北市の東北部に港湾都市である基隆市が、台湾本島南西部に工業・港湾都市である高雄市(人口第二位)がそれぞれあり、両都市の間に新竹市、台中市(人口第三位)、嘉義市、台南市(台湾の古都にして人口第五位)などの主要都市が集中している。これらの主要都市は全て台湾西部に位置しており、台湾東部の主要都市としては花蓮市と台東市がある。
主要都市の人口は、新北市は395万人、高雄市は277万人、台中市は270万人、台北市は268万人、台南市は188万人となっている。
経済
国際通貨基金の統計によると、2017年の台湾のGDPは5793.02億ドルであり[16]、台湾の経済規模は大阪府・兵庫県・滋賀県の府県内総生産の合計を超えており[17]、九州と四国の域内総生産の合計を上回っている[18]。台湾の一人当たりGDP(PPPベース, 購買力平価)は2007年に3万ドルを超え、2010年には、台湾が34,743ドルで世界22位となり、初めて日本を追い抜く[19]。2017年の台湾の一人当たりGDP(PPPベース)は50,294ドルであり[20]、世界第18位である。世界で最も裕福な国・地域トップ29では、台湾は世界で19番目に裕福な国である[21]。
台湾の一人当たり名目GDPは2011年に2万ドルを超え、人口2千万人以上の国の中では、台湾は世界で12番目に一人当たり名目GDPが2万ドルを超えた。現在、12カ国が達成している[22]。2017年は、台湾の一人当たり名目GDPが24,337ドルとなり、前年度より1,776ドル増、一人当たり名目GNI (一人当たり国民総所得)が24,936ドルとなり、前年度より1,678ドル増となった[23]。公益社団法人日本経済研究センター(JCER)が発表した「第3回アジア経済中期予測(2017-2030年)」では、台湾の一人当たり名目GDPは2022年には3万ドル、2029年には4万ドルに達すると予測している[24]。経済規模では、台湾のGDPは2022年には7500億ドル(近畿地方の域内総生産に匹敵)、2030年には1兆ドルに達すると予測している[25]。
日本統治時代には、日本の食糧補給基地としての役割を与えられていた台湾地域では、その食料を保管・加工する軽工業が芽生えていた。第二次世界大戦後の中央政府の台湾移転後、中華民国政府は台湾を「反攻大陸」(武力による大陸部の奪還)の基地とした。これにともない軍事最優先の政策がとられ経済政策は後回しにされたが、そのような中で政府は、軽工業を発展させ、次第に重工業化する政策をとる。経済特区や政府主導による経済プロジェクトが全国に展開され、特に日本とのコネクションを利用した日本の下請け的な工業が発達する。
蒋経国の代になり、十大建設をはじめとする本格的な各種インフラ整備が始まり、また、ベトナム戦争の際、アメリカは戦略物資を台湾から調達し、そのため台湾経済は飛躍的に発展し(台湾の奇跡)、この頃より主な輸出先は日本からアメリカにシフトしていった。また、中華民国政府は軽工業から重工業への転換を図り、積極的な産業政策を打ち出した。しかし、中国鋼鉄や台湾造船、台湾石油などの国営企業を主体としての重化学工業化であり、必ずしも強い国際競争力を伴ったわけではない。しかし、在米華僑(台湾系アメリカ人、中国系アメリカ人)の技術者の協力により行った半導体産業の育成は成功を収め、後の台湾積体電路製造(TSMC・台積電)や聯華電子 (UMC) を生み出す。
1980年代、電子工業の発展は民間中小企業にも波及し、パソコンのマザーボードのシェアでは世界一になった。中華民国はアジアNICsの一員に選ばれ、NIEsにも引き続き含まれた。さらに、外貨準備高世界上位に入るなど、経済発展は目覚しかった。さらに1990年代はIT景気に乗り、1997年-1998年のアジア経済危機も乗り越えた。そのため、中小企業が多い点が日本と似ていることや、政府主導の産業政策や財閥主体の韓国との違いなどが強調されたのである。
1980年代後半は、台湾の現在の自転車工業への転換点でもある。1986年のプラザ合意前までは日本が自転車の生産において大きなシェアを占めていたが、プラザ合意後は日本の自転車産業・特に完成車の輸出は大幅に減少して、台湾が自転車輸出大国に成長した。現在では世界最大の自転車メーカーとなったジャイアント・マニュファクチャリング等の現在の台湾自転車業界の主要企業は1970年代後半から欧米メーカーのOEM・ODMを引き受け、現在に繋がる設計・生産の基礎を築いた。この頃からOEM・ODMの受注だけでなく、台湾の自転車企業は自社ブランドの販売にも乗り出した。
しかし2000年代に入ると、製造業で中華人民共和国への投資による空洞化の進行が目立ち、2001年のITバブル崩壊の影響を受け、2002年には中華民国の台湾移転後初のマイナス成長を記録した。台湾の電子工業はOEM、ODMなど先進国企業からの委託生産に特化し、独自のブランドを持たなかった。そのため、先進国市場での知名度が低く、知名度の高い大企業も存在しない。中華民国政府は、自国企業による中華人民共和国への投資を未だ完全には開放していない。また、中華人民共和国市場での利益の自国回帰も呼び掛けているが、目立った効果は見られない。一方、陳水扁政権は新十大建設を打ち出し、新たなインフラの整備と次世代産業の育成を掲げた。政府はライフサイエンスも重要視しているが、ライフサイエンスがITほどの経済規模を見込めるのかどうか、疑う声も強い。
日本経済との強い関連下で発展してきた台湾経済は、日本経済と互換性のある面が強い。即ち技術力、工業生産力を利用し、世界市場で優位に立てる製品を開発提供することによって、外貨を獲得する加工貿易が基本である。しかし日本と異なる面も多い。それは漢民族の伝統やアメリカの影響によるものと考えられるが、代表的なものは起業指向であろう。台湾では有能な人ほど起業を志し、それが経済に活力と柔軟性を与えている。個人主義的なのであるが、反面、社会道徳の弱さという弱点も持つ。また、華僑ネットワークに支えられた、全世界ネットを駆使した世界戦略も中華民国独特の強みである。アメリカや日本で注文を取り、中華人民共和国やベトナムに製造させる仲介的戦略も、この華僑ネットを利用している。
2010年には台湾と中華人民共和国との間で両岸経済協力枠組協議 (ECFA) が締結された。
台湾は世界経済において重要な地位を占めている。世界の情報通信技術(ICT)産業ではトップの役割を果たすと同時に、コンシューマー向け商品の主要なサプライヤーでもある。世界貿易機関(WTO)によると2016年、台湾は世界第18位の輸出国で、モノの輸入においても世界第18位となった。科学技術での専門性を磨くための長年の官民による取り組みを経て、台湾のサイエンスパークはいまや、ICTやバイオテクノロジー、精密機械、ナノテクノロジーなどの分野での飛躍を追求する企業クラスタの本拠地となっている。世界経済フォーラムの「世界競争力ランキング2016-2017」では、調査対象の138カ国・地域のうち、台湾は「総合的なランキング」で14位、「技術的即応性」で30位、「イノベーション」で11位と格付けされた[26]。また、国際経営開発研究所(IMD)がまとめた「2016世界競争力年鑑」では、61の先進経済体の中で、技術インフラで12位、科学インフラで10位と評価された[27]。また、2017年度からは、IT分野に焦点を当てた競争力を測る2017年度「世界デジタル競争力ランキング(World Digital Competitiveness Ranking 2017)」も発表した。このランキングでは、政府の業務、ビジネスモデル、社会全体の変革につながるIT政策の指標で評価される。台湾は総合ランキングで世界12位と評価された[28]。
台湾は2025年までの脱原発へ向けて再生可能エネルギー産業育成を重点政策にしている[29][30]。2025年には電力供給に占める原発の比率をゼロにし、代替として再生可能エネルギーの割合を20%まで高める目標を掲げており、目標達成に向けて関連産業の育成や雇用創出、外資による投資誘致を図っている。台湾で重視されている再エネは、太陽光発電と風力発電である。台湾は亜熱帯に属し日射に恵まれていることと、太陽電池製造産業が盛んなことから、太陽光発電の設備容量20ギガワット(GW)増加のために1.2兆ニュー台湾ドルの投資を計画している。特に高効率太陽光発電(PV)モジュールを使用したPVプロジェクトは、6%のFITボーナスが付与される。また、台湾海峡は安定して風が吹き、風力発電機の故障の原因となる乱流が発生することが少ないことから、特に洋上風力が重視されている。「風力発電推進4カ年計画」の下、2020年には陸上風力発電で814メガワット(MW)、洋上風力発電で520メガワット(MW)設置することが目指されている。中長期計画としてはオフショア発電や深海発電なども視野に入れ、2025年までに累積設備容量は4.2ギガワット(GW)に達する見込み。この計画では、国内風力発電産業および海洋構造物製造産業の育成も狙いとしている[31]。
台湾は世界の人工知能(AI)開発競争の中、研究開発(R&D)拠点として急浮上している。米の世界大手のソフトウェアを開発・販売する会社マイクロソフト(Microsoft)は2018年1月10日、人工知能(AI)の研究開発センター(R&D Center)を台北市内に設置すると発表した[32]。また、GoogleはHTC(宏達国際電子)のPixel開発チーム買収により、台北をGoogleのアジア太平洋地域のエンジニアリングの最大拠点とするとしている[33]。さらに、IBMも2018年3月に台湾にR&D拠点を設け、人工知能(AI)やブロックチェーン、クラウドテクノロジーの開発を行うとアナウンスした[34][35]。NVIDIAと科学技術部(日本の文部科学省に相当)は2018年6月6日、人工知能における台湾の能力向上を目指すべく提携を行ったと発表した[36]。
米シンクタンク「ヘリテージ財団」が発表した最新の2017年版の「経済自由度指数」で、台湾は世界11位となった[37]。
世界有数の経済誌フォーブスが発表した2018年版「ビジネスに最適な国」ランキングで、台湾は世界16位となった[38]。
通貨
賃金・給与
行政院主計総処(日本の総務省統計局に相当)が発表した2017年の薪資與生産力統計(日本の厚生労働省所管の毎月勤労統計調査に相当)によると、台湾の常用労働者(一般労働者(フルタイム労働者)及び短時間労働者(パートタイム労働者)を含む。外国人労働者も含む。)の2017年の平均名目賃金(現金給与総額)は月額4万9989ニュー台湾ドルであり、前年に比べて2.46%増加している。これを男女別にみると、男性月額5万4066ニュー台湾ドル、女性月額4万5333ニュー台湾ドルで、前年に比べて、男性は2.35%の増加、女性は2.64%の増加となった。女性の賃金は過去最高となっており、男女間賃金格差(男性=100)は過去最小の83.85となっている。一方、物価変動の影響を除いた実質賃金は月額4万7271ニュー台湾ドルと前年より1.83%増加し、過去最高を更新した[39][40]。また、台湾人一般労働者(台湾自国民のフルタイム労働者。正社員・正職員以外(非正規)を含む。)の2016年の平均賃金(台湾人フルタイム勤務の月平均賃金)は月額5万1241ニュー台湾ドルであり、前年に比べて0.72%増加している[41]。
行政院主計総処が発表した2016年の雇用動向調査によると、2016年の台湾の被雇用者の年間平均給与(平均年収)は68.1万ニュー台湾ドルであり、前年に比べて0.8%増加している[42][43]。
PPPベース(購買力平価)での台湾常用労働者の2017年の平均賃金は月額3360.61国際ドルであり[44]、賃金の実質的な豊かさは西ヨーロッパ ・北ヨーロッパ諸国のレベルに達しており、世界上位の水準である(en:List of European countries by average wage)。経済協力開発機構(OECD)の統計基準によると、2015年の台湾の一般労働者(フルタイム労働者)の平均年収は5万1864ドルで、オーストラリア(5万1986ドル)とほぼ同じレベルであり、経済協力開発機構(OECD)では7位にランクされている[45][46][47]。
世帯の所得
行政院主計総処の家計調査では2016年の台湾の1世帯当たり平均所得金額は、全世帯が125.3万ニュー台湾ドルとなっている。所得金額階級別に世帯数の相対度数分布をみると、「70~79.9万ニュー台湾ドル未満」が6.2%、「80~89.9万ニュー台湾ドル未満」が6.7%で最頻値、「90~99.9万ニュー台湾ドル未満」が6.3%、「100~109.9万ニュー台湾ドル未満」が6.2%で中央値を含む、「110~119.9万ニュー台湾ドル未満」が6.0%、「120~129.9万ニュー台湾ドル未満」が5.6%で平均値を含む、「150~164.9万ニュー台湾ドル未満」が5.4%と多くなっている。世帯所得の中央値(所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値)は109万ニュー台湾ドルであり、平均所得金額(125.3万ニュー台湾ドル)以下の割合は59.4%となっている[48]。
台湾全世帯での1世帯当たり平均可処分所得金額は99.3万ニュー台湾ドルとなっており、1世帯当たり可処分所得の中央値は85.8万ニュー台湾ドルとなっている。世帯の可処分所得中央値が可処分所得平均値に占める割合は86.4%となっている。等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割って調整した所得である。世帯人員1人当たり経済厚生(効用水準)を算出する。)の平均金額(平均等価可処分所得)は59.5万ニュー台湾ドルとなっており、前年調査結果の57.6万ニュー台湾ドルから1.9万ニュー台湾ドル上昇している。また、2016年調査によると、台湾の世帯の年間収入のジニ係数は0.336であり、前年に比べて0.002ポイント改善している。全世帯における等価可処分所得のジニ係数は、2016年は0.268となり、前年調査結果の0.270から0.002ポイント改善している。台湾の世帯のエンゲル係数(世帯ごとの家計の消費支出に占める飲食費の割合)は、2016年は15.76%となり、前年より0.12ポイント低下している[49][50]。
2016年の台湾の相対的貧困率(貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)に満たない世帯員の割合)は6.62%で、前年より0.5ポイント改善している[51]。
台湾全世帯の2016年の1世帯当たり平均可処分所得や平均等価可処分所得は日本(全世帯の平均可処分所得は416.7万円、平均等価可処分所得は283.8万円。)の約9割であり、世帯所得の中央値は日本(全世帯は428万円)とほぼ同じ水準であるが、物価は日本の約半分程度であるため、台湾家庭の実質的な生活水準はより豊かである[52][53]。
台北市政府主計処の家計調査では2016年の台北市の1世帯当たり年間収入は、総世帯が168.8万ニュー台湾ドルとなっている[54]。台北市の世帯の年間収入は東京都(総世帯は600.4万円)と同じ水準である[55]。
金融・資産
ドイツの保険大手アリアンツが発表した最新の世界各国の富裕度に関する調査報告「アリアンツ・グローバル・ウェルス・レポート 2017」で、台湾は世界53カ国・地域中、世界5位に入り(昨年の世界8位から3つ順位上昇した)、アジアでは日本(世界3位、9万6890ユーロ)に次いで2番目に高い順位となった。台湾の一人当たりの純金融資産は9万2360ユーロだった[56][57]。
金融大手、クレディ・スイスが発表した世界の富に関する2015年度「グローバル・ウェルス・レポート 2015」で、台湾の成人一人当たりの保有資産が19万4701ドルとされた。台湾の成人平均保有資産はアジア太平洋地域の大部分の国・地域を大きく上回り、また西ヨーロッパ諸国の多くと肩を並べる水準[58]。報告書によると、台湾では、中流階級の成人人口は1100万人であり、成人人口全体の59.4%を超え、中流階級以上の成人であれば74.6%を超えている。台湾の成人個人資産10万ドル以上を有する成人の割合は40.1%に上り、世界平均の8%を大きく上回る。資産総額100万ドル超の億万長者の富裕層は41万4000人で、全成人人口の2.2%を占めている[59]。
日本との経済関係
台湾は旧日本領であり歴史的に関係が深く、地理的に近く自由主義陣営の国家であり、貿易を始めとした経済的交流が強い。
民間貿易以外に台北国際金融センタービルや台湾高速鉄道(台湾新幹線)の建設など、台湾の主要公共事業も日本企業によるものがあり、台湾経済における日本への依存は大きいものがある。また日本企業による台湾進出以外にも、古くは衣料業関連、現在では電子工業関連を中心に日本進出を果たす台湾企業もある。
台湾証券取引所における主要な上場企業
順位 | 企業名 | 2016年12月時点の時価総額(億台湾ドル)[60] |
---|---|---|
1 | 台湾積体電路製造(台積電) | 47,064 |
2 | 鴻海 | 13,690 |
3 | フォルモサペトロケミカル(台塑化) | 9,669 |
4 | 中華電信(中華電) | 8,300 |
5 | 台湾化学繊維(台化) | 5,574 |
6 | 国泰フィナンシャルホールディングス(國泰金) | 5,496 |
7 | 台湾プラスチックグループ(台塑) | 5,411 |
8 | 南亜 | 5,131 |
9 | 富邦フィナンシャルホールディングス(富邦金) | 4,956 |
10 | 大立光電 (大立光) | 4,554 |
11 | 台達電子工業(台達電) | 4,078 |
12 | 中国鋼鉄 | 3,864 |
13 | 台湾大哥大 | 3,609 |
14 | MediaTek (聯發科技) | 3,402 |
15 | 中国信託金融ホールディングス (中国信託) | 3,275 |
16 | 統一企業(統一) | 3,119 |
17 | メガ・フィナンシャル・ホールディングス(兆豐金融) | 3,114 |
18 | 日月光半導体(日月光) | 2,710 |
19 | 統一超商 | 2,495 |
20 | 遠伝電信(遠傳) | 2,340 |
台湾に本拠地を置く代表的な大企業
エレクトロニクス関連
- 鴻海精密工業 (Foxconn) グループ従業員数は台湾資本として最多の120万人。
- ASUS(華碩)パソコンメーカー。マザーボードを始めとするパソコンパーツ、周辺機器などの開発、販売。
- エイサー(宏碁・Acer)ゲートウェイブランドも持つ、パソコンメーカー。
- AOpen(エーオープン)マザーボード、ビデオカードメーカー。
- BenQ(明基・ベンキュー)2001年、エイサーグループから独立した。
- AU Optronics(友達・AUO)台湾最大の液晶パネルメーカー。会長がBenQの会長を兼務。
- Realtek(リアルテック)コンピューター用半導体メーカー。カニのマークでお馴染み。
- MediaTek(聯發科技)世界有数の移動体通信の通信技術および半導体の設計開発を行う企業。
- GIGABYTE(技嘉)パソコンメーカー。マザーボードを始めとするパソコンパーツ、周辺機器などの開発、販売。
- クアンタ・コンピュータ(広達)ノートパソコンの製造台数が世界で最も多い。
- ADATA(威鋼科技)メモリメーカー。DRAMモジュール市場の販売シェアは世界2位。
- HTC(宏達国際電子・High Tech Computer)世界的なスマートフォンメーカー。
- Micro-Star International(微星・MSI)パソコンメーカー。マザーボードを始めとするパソコンパーツ、周辺機器などの開発、販売。
- デルタ電子(台達電子工業・Delta Electronics)世界最大の電源装置メーカー。
- TSMC(台湾集成電路製造公司)世界最大の半導体製造ファウンドリ。
- UMC(聯華電子)世界3位の半導体製造ファウンドリ。富士通の半導体製造子会社三重富士通セミコンダクターをUMCに売却[61][62]。
- D-Link(友訊)ルーターなどインターネット関連製品における世界的企業。
- トランセンド (Transcend) DRAMメモリなど半導体製品の開発、販売。
- CyberLink(訊連科技)PowerDVDなどを開発するパソコンソフトメーカー。
- ASRock(華擎科技)パソコンメーカー。マザーボードを始めとするパソコンパーツ、周辺機器などの開発、販売。
交通・輸送関連
- ジャイアント・マニュファクチャリング(捷安特・GIANT)自転車メーカー。
- 中華汽車
- キムコ(光陽機車・KYMCO)スクーターで有名なメーカー。
- 三陽工業 (San Yang Industry) SYMブランドのスクーターで有名。
- 台湾金峰 (Taiwan Golden Bee) TGBブランドのスクーターで有名なメーカー。
- ハートフォード(哈特佛・HARTFORD)オートバイのメーカー。
- 摩特動力工業公司 (Motive Power Industry) PGOブランドのスクーターで有名。
- 捷穎実業 (CPI Motor) CPIブランドのスクーター、ATVのメーカー。
- ユナリ(優耐立・Unilli)ATVで有名。
- 宏佳騰動力科技有限公司(宏佳騰機車 AEON MOTOR) AEONブランドのスクーター、ATVのメーカー。
- 合騏工業 (Her Chee Industrial) アドリーブランドのATV・スクーターのメーカー
- 鼎力金属工業 (DINLI METAL INDUSTRIAL) ディンリブランドのATVメーカー
- 益通動能科技股份有限公司 (E-TON POWER TECH) イートンブランドのATV、スクーターのメーカー。
- 台湾山葉機車工業 ヤマハ発動機の子会社
- 裕隆汽車 大手自動車メーカー。
- MAXXIS Tire(正新橡膠)
- NANKANG タイヤメーカー。インチアップ用タイヤで有名。
- エバーグリーン・グループ
- チャイナエアライン(中華航空)
- パシフィック・サイクルズ社
その他
交通
台湾は道路、鉄道、航路ともに発達しており、日帰りで台湾を一周することも可能である。
道路
高速道路は基隆と高雄を結ぶ中山高速公路と、基隆と屏東を結ぶフォルモサ高速公路を中心に整備され、更に主要国道・省道が台湾全土にネットワークを構成している。これらの道路網を利用し、多くのバス会社が高速バスを運行し都市間輸送を担っている。都市間交通は台北や高雄という大都市以外に、地方都市間を連絡する路線も整備されており、鉄道輸送が整備されていない地区の主要交通手段である。
バス輸送はかつては国営の「台湾汽車客運」(中国語の汽車は自動車の意味)が高速バス事業を担っていたが、2001年の民営化に伴い「国光汽車客運」に再編された。それと同時に高速バス事業の自由化が進み、複数事業者による競合の結果、二列シート・軽食・飲物のサービス付き・カーテン・トイレ完備などの豪華なバスが大都市間で24時間運行されるようになっている。このために、民営バス会社は台湾における旅客輸送の重要な地位を占めているが、台北や中壢などでの慢性的、連休期間中の渋滞などによる遅延が発生している。
都市部では市内バス路線が整備されている。以前は旧型車両が多用され、慢性的な市内渋滞や乗客の乗降がスムーズでないなどの理由で利用頻度は高くなかったが、近年は台北市を中心に新型車両への更新、バス専用レーンの設置などで輸送能力に大幅な改善が見られ利用者も増加傾向にある。
これら交通網が整備されているが、特に市内交通での交通網が未完成であり利便性に問題があるため、タクシーや自家用車の利用が多く、簡便に移動可能なスクーターの利用が多いのも台湾の特徴である。これら各種車両が入り乱れる市内地域では激しい渋滞と、運転マナーに起因する交通事故が多発している。
国際運転免許証に関しては、中華民国がジュネーブ条約に加盟していないため、外国人が台湾で運転する場合(台湾人が外国で運転する場合も)には現地での運転免許取得が必要であったが、日台間に関しては、2007年9月19日より日本と中華民国両政府の間で短期旅行者に限定して免許証の相互承認が認められるようになり、短期旅行者がレンタカーなどを運転できるようになり、2008年10月1日からは、現地の免許への切り替えも出来るようになった。ちなみに、日本以外の多くの国では、二国間の取り決めにより、早くから国際運転免許証の相互承認や、現地免許への切り替えが行われていた。
2011年8月1日から小型車(車両総重量が3,500kg以下で乗車定員が9人以下の乗用車)において、運転席、助手席だけでなく後部座席もシートベルト着用が義務付けられた。違反すれば罰金を科せられる。タクシーにおいても例外ではなくなった。
台湾は2017年末、電気自動車(EV)や電動バイクの普及に向けた政策を発表。2030年までにバスと公用車を全面電動化し、2035年にはガソリンバイク、2040年にはガソリン・ディーゼル自動車を販売禁止とする目標を掲げている。
鉄道
台湾の鉄道は、国営の台湾鉄路管理局(略称は台鉄)の路線が台湾を一周しており、自強号(日本の特急に相当)、莒光号(日本の急行に相当)、復興号(日本の準急に相当)、普快車(日本の普通列車に相当)が各都市を繋いでいる。また、日本の中距離電車に相当する区間車、区間快車があり、それぞれ日本での普通列車や快速列車に相当する。一部の自強号と莒光号、復興号、普快車は機関車(電気・ディーゼル)が客車を牽引する編成であるが、それ以外は電車や気動車での運行である。これとは別に通勤電車と呼ばれる電車が大都市近郊を走っていたが、区間車へ発展的解消を遂げた。なお、台湾では列車のことを「汽車」ではなく「火車」と呼ぶ。
市内や近接地区を結ぶ鉄道交通ネットワークとしては日本の地下鉄や新交通システムに相当する捷運 (MRT) が運行されている。1996年に台北市政府による最初の捷運として台北文山線が、翌年には淡水線の一部区間が開業した。2008年3月には高雄市において高雄捷運が開業し、他の都市でも捷運路線の建設または計画がされている。
台湾を代表する台北・高雄を連絡する都市間鉄道として、2007年1月に両都市を最高速度300km/hで運行する台湾高速鉄道が開通した。日本の新幹線車両(700T型)を導入し、台湾初の大型BOTとして建設・運営が行なわれている(台鉄の路線ではない)。日本の新幹線技術の初めての海外輸出となったが、受注の混乱や、各国の技術が混在する折衷型システムにより開業までに様々な問題が発生した。開業後は既存の縦貫線で最速3時間59分であった所要時間を87分に大幅に短縮し、また料金も自強号と航空機の中間に設定するなど大きな競争力を有している(台鉄捷運化を参見)。
高速鉄道の整備計画のない台湾東部の東部幹線に関しては車両の高速化と高速化に対応した軌道改修を行なっている。車両に関しては2004年に日本から885系新型車両を原型とした車両を導入し、太魯閣号の運行が開始された。
またかつては34路線の軽便鉄道として糖業専用鉄道があったが、1980年代にそれらの旅客営業は全廃された。林業鉄道は1914年開業の阿里山森林鉄路が現在も運行されている。
海運
台湾本島と澎湖諸島、金門島などの離島との間は船便によっても結ばれており、航空路線が発達した今日でも利便性がある。台湾本島と澎湖諸島を結ぶ船便は高雄港(台華輪)・台南安平港(今日之星)・嘉義布袋港(満天星客輪)から毎日出ている。
尚、台湾本島と緑島・蘭嶼を結ぶ船便は台東富岡港から、台湾本島と金門島を結ぶ船便(金門快輪というフェリー)は高雄港から、台湾本島と馬祖列島を結ぶ船便(台馬輪および合富輪)は基隆から、それぞれ出航している。
日本からは沖縄・那覇新港から、宮古島、石垣島を経由し、基隆、高雄へ向かう航路が有村産業により運航されていたが、会社破産により運休(実質廃止)となっている。
空運
航空機は台湾本島と金門島などの各離島を結んでいる他、主要都市を結んだ高頻度運航サービスを提供しており、料金も割引チケットを使えば鉄道やバスと遜色ないので人気は高い。また日本各地や香港、フィリピンのマニラなどとの間には高密度な国際線が運航されている他、アジア圏内やヨーロッパ、アメリカなどとの間にも多くの国際線が運航されている。
台湾の航空会社としては、日本では成田空港や中部国際空港、福岡空港などに乗り入れているチャイナエアライン(中華航空)が有名であるが、最近では成田空港や関西国際空港、仙台空港などに乗り入れているエバー航空(長栄航空)も日本に浸透してきている。これらの航空会社以外にも、立栄航空やマンダリン航空(華信航空)、タイガーエア台湾(台湾虎航)、ファーイースタン航空(遠東航空)などがある。なお、立栄航空はエバー航空(長栄航空)の子会社、マンダリン航空やタイガーエア台湾はチャイナエアライン(中華航空)の子会社である。
国際空港としては、台湾桃園国際空港、高雄国際空港、台中空港(中部国際空港)があり、最近では、花蓮空港を国際空港に昇格させる計画もある。2017年の台湾桃園国際空港の総旅客数は前年比6.11%増の4487万8703人で、初めて4400万人を突破し、2年連続で最高記録を更新した[63]。
国際空港評議会(ACI)発表した2018年の世界の空港ランキングベスト100で、台湾桃園国際空港が世界15位に選出された(昨年の21位から6つ順位を上げた)。入国審査カウンターのサービスを評価する部門では世界1位に輝いた[64]。同団体発表した世界の1202の空港の2017年1~12月の乗降客数・貨物取扱量ランキングにおいて、台湾桃園国際空港は国際線旅客数世界10位、貨物取扱量世界9位、国際航空貨物取扱量世界6位でいずれも上位10位内にランクインしたほか、3部門全てで高い伸び率をマークした[65]。また、世界各国の国際線で就航数が最も多かったのは桃園-香港線で、2017年の統計では2万9494便が就航している[66][67]。
住民
台湾地域の住民は、混血民族と中国系に大別される。原住民族は平地に住んで漢民族と同化が進んだ「平埔族」(ケタガラン族、パゼッヘ族、バブザ族など)と高地や離れ島に住む「高山族」14民族(アミ族、タイヤル族、パイワン族、ブヌン族、プユマ族、ルカイ族、ツォウ族、サイシャット族、タオ族、サオ族、タロコ族、クバラン族、サキザヤ族、セデック族。クバラン族とサオ族は平埔族に分類されていたこともある。なお、「高砂族」は日本統治時代の呼び名)に分かれる。台湾の漢民族は、戦前(主に明末清初)から台湾に居住している本省人と、国共内戦で敗れた蒋介石率いる国民党軍と共に台湾に移住した外省人に分かれる。本省人が台湾で85%を占めており、本省人は福建(閩南)系と客家系に分かれる。外省人13%、原住民2%(タイヤル、サイシャット、ツォウ、ブヌン、アミなど14民族)。
台湾の人口が増えて2千3百万人を超えたため、人口密度は650.42人/km2(2017年1月末統計)であり、人口密度が1千万人以上の国では世界2位になった。
平均寿命は女性81歳、男性75歳で年々上昇の傾向にある。65歳以上の比率は10パーセントを記録するようになった[68]。内政部(日本の総務省に相当)の最新統計によると、2015年の台湾の平均寿命は前年より0.36歳上昇し、80.2歳だった。男性は77.01歳、女性は83.62歳で、いずれも過去最高となった[69]。
少子化が進んでおり、2009年の出生率は0.829を記録、合計特殊出生率は1と世界最低となった[70]。2010年の合計特殊出生率は干支の影響もあり0.895とさらに低下した[71]。2011年の台湾の合計特殊出生率は2010年の0.89から1.07に回復した[72]。
2005年(民国94年)現在、在台外国人は約51万人で、うち在台ベトナム人が約15万人と30%を占める(民国94年の台湾の内政部統計処調べ)。
内政部警政署(日本の警察庁に相当)「台閩地區居留外僑統計―按國籍及職業別九十九年 (2010)」によれば、2010 年現在、滞在日数180 日以上の長期ビザ取得者が申請できる「外僑居留証」を所持する日本人は、12,056 人(男性7,330 人、女性4,726人)である。その内訳は、商業人員(2,197 人)、15歳未満の者(1,853 人)、家事(1,687 人)、就学(1,003人)、エンジニア(678 人)、教師(640 人)、その他(3,472 人)となっている[73]。
台湾での総資産が500万ニュー台湾ドルを超えるか、あるいは仕事の技能や専業を例証すれば、台湾移民署[74]に永住を申請することができる。
言語
台湾の公用語は中国語(北京語)であり、国内では国語と呼ばれている。国語は中華人民共和国の公用語である普通話と基本的に同一言語であるが、現在では語彙などの細かい部分に多少の相違点が生じている。他にも日常生活では台湾語(ホーロー語、河洛話、福佬語)、場所によっては客家語、台湾原住民の諸言語が使用される。台湾語は伝統的区分では福建方言(閩語)の一種である閩南語に含まれるが、平埔族の言語や日本語の影響を受けており、その意味でも閩南語とは分化し台湾語、福佬語などと呼称される[75]。
また、台湾原住民の諸言語はオーストロネシア語族の言語であり、多くは台湾諸語に属する(タオ語のみマレー・ポリネシア語派に属する)。その数は、1622年にオランダ人入植者がやって来た時には少なくとも30はあった。その後、日本語の配属下を挟んで二度の中国語の配属下にあったことで、その数は10程度に減ってしまった。また、その話者も2000人以下ということから、土着語は絶滅する危険にさらされている[76]。
中華民国の実効支配地域の言語としては、金門島では閩南語(台湾語)が話されているが、日本語の影響をほとんど受けていないなど、台湾本島の台湾語とは相異がある。馬祖島では閩東語が話されている。烏坵島では本来は莆仙語が話されていたが、現在は閩南語(台湾語)が話されている。
音声言語の他、日本の手話と類似点の多い台湾手話を母語とする人たちがいる。
文字
国語は普通話と同様に漢字で表記されるが、中華人民共和国で使用されている簡体字ではなく、伝統的な繁体字(正字体)が用いられている。ただし、日常生活ではある程度略字の使用が行われている(「臺灣」を「台灣」と表記)。
また発音記号としては注音符号という発音記号を現在でも教育現場で使用しており、小学生向けの教科書にルビとして振られている他、鉄道貨車の形式を表したりするのに使われている。それ以外にもラテン文字系の通用ピンインや注音符号二式、ウェード式のような発音表記方式も存在している。
日本統治時代に教育を受けた世代ではひらがなやカタカナを利用している例もあるが、21世紀初頭では仮名文字を使用して台湾語を表記(台湾語仮名)している台湾人は極めて限定的となっている。
電子機器の文字入力
パソコン等の文字入力方法は、マイナーなものも含めれば十数種類の入力方法が存在しているが、習得が容易なことから日本のかな漢字変換に似た注音輸入法がもっとも一般的である。注音輸入法はパソコンだけでなく携帯電話での文字入力にも利用されている。また、習得が困難だが入力速度の速い倉頡輸入法、嘸蝦米などもプロ向けの入力方法として人気がある。
言語教育
高齢者や農村部では台湾語または客家語、日本語のみで北京語が話せない者がいる。民主化以降になって、国語以外の言語、即ち台湾語、客家語、原住民語の教育が義務付けられたが、日本統治時代は日本語で、中国国民党による戒厳令時代は北京語で教育することが定められていた。若い世代では基本的には「国語」と台湾語の両方とも話せるが、在中年世代以下では北京語のみで台湾語を「聞いて理解できるが話せない」という者も少なくない。外省人が人口に占める割合の多い都市部でその傾向は大きい。従って、同じ「台湾人」であるはずなのに世代間でコミュニケーションが成り立たないということも珍しくない。
この他、外国語の教育熱が高く、幼稚園時代から英語のみ使用する施設などに子供を預ける者も多い。アメリカやヨーロッパへの修士号への取得、学士号の取得を目標とする留学者も多い。
宗教
台湾では政教分離を基本とし、また中華民国憲法(第二章第十三条)により宗教信仰の自由が保障されているため、国内では各種宗教が自由に存在し、布教されている。
台湾における宗教は、道教・キリスト教・仏教が特に盛んであり、人々は今日でも宗教と深く結び付いている。道教は二大系統のうち、正一教(天師道)の系譜に連なる。キリスト教は、プロテスタントが多数派であり、なかでも台湾基督長老教会が最も信徒の多い教派である。仏教は、1980年代頃から信徒数が急増し、なかでも仏光山・慈済・法鼓山・中台禅寺・霊鷲山の台湾仏教五座山の諸派が盛んである。
宗教名 | 信徒数 | 宗教施設数 | 聖職者数 |
---|---|---|---|
道教 | 799,422 | 9,527 | - |
新教(プロテスタント) | 384,576 | 2,517 | 4,362 |
天主教(カトリック) | 177,641 | 710 | 1,785 |
仏教 | 148,715 | 2,345 | - |
一貫道 | 15,682 | 222 | - |
イスラム教 | 5,952 | 4 | 21 |
バハーイー教 | 2,265 | 2 | 12 |
天理教 | 1,659 | 23 | 80 |
サイエントロジー | 1,000 | 1 | 30 |
儒教 | 790 | 14 | - |
軒轅教 | 307 | 8 | - |
弥勒大道 | 318 | 4 | - |
天徳教 | 185 | 5 | - |
理教 | 148 | 6 | - |
真光教 | 100 | 1 | 1 |
黄中 | 39 | 1 | - |
天帝教 | 33 | 1 | - |
その他 | 957 | ≧ 6 | ≧ 15 |
政府統計で正式に分類されている主な宗教は、以下の通り。
- 道教
- 基督教(プロテスタント)
- 天主教(カトリック)
- 仏教
- 一貫道 - 清で創設された宗教で、明明上帝を主神とする。
- 回教(イスラム教)- 台湾にはマレーシア経由で日本統治以前に伝来した。のちに回族も国民政府とともに渡来した。
- 巴哈尹(バハイ)教 - 1961年に台湾に伝来した。台湾南部を中心に布教しており、1991年以前は大同教と呼ばれていた。
- 天理教 - 1896年に日本から伝来した。
- 理教 - 明で創設された宗教で、観音菩薩を本尊とする。
- 軒轅教 - 1951年に台湾で創設された道教系の宗教で、台北市に総本部がある。
教育
現在の台湾の教育制度は、中華民国憲法の規定(第二十一条、第百六十条)と各種の教育関連法に基づいて体系化されている。学制は6・3・3・4制が採用され、国民小学6年、国民中学3年、高等中学3年、大学4年となっている。ただし大学の教育、建築学部は5年、歯学部6年、医学部は7年となっている。普通学校と並行して特殊学校(盲学校、聾学校、養護学校など)と補習学校(専科学校や語学学校など)がある。義務教育(台湾語では国民敎育)は、当初は国民小学の6年のみであったが、今は国民中学3年も含めて9年制となる[77]。2001年より小中一貫教育が全国的に実施されるようになり、2006年、幼稚園の義務教育化が始まった[78]。 学年度は9月1日 - 8月31日まで、日本の4月1日 - 3月31日とは異なる。中華民国には20歳の男子国民に兵役の義務があるが、大学と専科学校の在学生は卒業まで徴兵延期が許されている。
台湾の義務教育の年限延長は、2014年から12年国民基本教育(略称:12年国教。小学校から高校まで12年間の義務教育)を実施した。2011年から5歳児の幼稚園・保育所の学費(入園料や保育料)は無償であり(5歳児の公立幼稚園・保育所の学費は無償、5歳児の私立幼稚園・保育所の学費補助金は幼児1人につき毎学年3万ニュー台湾ドルまで)、2014年から6-17歳の学齢児童の教育は無償である[79]。
一般に台湾人は教育に熱心であり、国語(中国語)識字率は98.29%(2012年度)に達する。しかし教育熱心な人が多いゆえに台湾は学歴社会となっており、就職では日本以上に学歴が重視される傾向にある。大学への進学率は70.07%(1997年度)。特に有名高等中学校・大学への入試は熾烈を極める。大学進学・卒業後に海外の大学・大学院へ留学する学生も多く、台湾には日本やアメリカの大学・大学院が出した学位・博士号を持つ者も多い。
大学には総合大学のほかに短期大学(2年制)、工科大学、文科大学、国立空中大学(日本の放送大学に相当)があり、2012年度時点で大学総数162校、学生総数は約136万人に及ぶ。このような大学増設の影響から、最近では大学合格率が100%を超える問題も生じている。
文科系進学者よりも理科系進学者が、優秀とみなされる。理科系における名門大学は、台北市の国立台湾大学(台北帝国大学,昭和3年)(1945年改編)、新竹市の国立清華大学(1955年復校)・国立交通大学(1958年復校)、台南市の国立成功大学(1961年創立)である。理科系に比べて落ちるものの、文科系では台湾大学のほか、台北市の国立台湾師範大学(台北高等学校 (旧制), 大正11年)(1946年改編)や台北市の国立政治大学(1954年復校)が、一流の進学先とみなされている。
国外には華僑子息・子女のための教育機関として、約3750校の華僑学校(日本での名称は中華学校)が設置されており、日本には横浜中華学院、東京中華学校、大阪中華学校の3校がある。日本の華僑学校は歴史が古く、1897年(明治30年)に孫文が設立した私塾に由来する。華僑学校は中国語教育および中華文化の普及を目的としている。教育対象の年齢は各学校によって異なる。
人材競争力
スイスのローザンヌに拠点を置くビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)が発表した最新の「2017年世界人材レポート」で、台湾は63カ国・地域中、23位だった。昨年と同じ順位を維持した。アジアの国・地域に限った場合、台湾は12位の香港、13位のシンガポールに続いて3位で、31位の日本や39位の韓国を上回った[80][81]。
婚姻
台湾は伝統的には夫婦別姓であるが、相手の姓に変更することも可能となっている。また、1985年民法において、冠姓が義務づけられていたが、当事者が別段の取り決めをした場合はその取り決めに従うとされていた[82]。その後1998年の改正で、原則として本姓をそのまま使用し、冠姓にすることもできると改められた。職場では以前から冠姓せず本姓を使用することが多かったという[83]。子供の姓は、原則的に父系の姓が適用されていた(入婿の場合は逆)が、1985年の改正で、母に兄弟がない場合は母の姓にすることもできるようになった。この結果、兄弟別姓が可能である[84]。これも男女平等原則の違反とされ、2008年の戸籍法改正で父の姓か母の姓か両親が子供の姓を合意し、両方の署名を入れ役所に提出することとなった。合意に至らない場合は役所が抽選で決める[85]。
同性結婚
2003年10月末に、行政院(台湾の内閣に相当)が「人権保障基本法」の中で同性結婚を認める草案を作成したが、閣僚と立法委員が反対し、採決は行われなかった[86][87]。2012年に同性愛者の権利擁護団体が同性結婚を法制化する草案を新たに提出したが、廃案となっている[88]。2015年台湾で最高司法機関の司法院がインターネットを通じて実施した世論調査では、同性婚の合法化を支持するという回答が71%に上り、それまでの調査よりもさらに増えた[89]。
2017年5月24日、台湾で最高司法機関の司法院大法官会議(憲法裁判所に相当)は、同性婚を認めていない現在の民法の規定は憲法に違反しているという判断を示し、実現すればアジアで初めてとなる同性婚の法制化を2年以内に行うよう言い渡しました。台湾で法改正がなされれば、アジア初の同性婚合法化となる[90]。
男女平等
男女間の格差を指数化した国連開発計画(UNDP)の「ジェンダー不平等指数(GII)」に則り台湾が独自に行った評価で、台湾の2014年のジェンダー不平等指数(GII)は世界で5番目に格差が少ないとの結果が出ている。台湾はジェンダー不平等指数(GII)が低く、男女平等の度合いが世界5位、アジアでは1位だった[91]。
男女間の給与格差は、2016年に女性の平均時給は264.6ニュー台湾ドルなのに対して男性のそれは307.7ニュー台湾ドルと14.0%の格差がある、男性を100とした賃金格差は過去最小の86.0だった[92]。
台湾内の営利企業の企業トップに占める女性の割合は2015年末現在、36.1%に上り、過去最高を更新した。国内の営利企業数は133万3000社。女性比率は過去最高ながらも、2010年と比較した上昇幅はわずか0.5ポイントに留まった[93]。
海外旅行
経済発展で所得が増え、2012年の台湾人海外旅行者数は1000万人を突破、台湾人海外旅行者の増加傾向が続いている[94]。交通部観光局(日本の国土交通省観光庁と日本政府観光局(JNTO)に相当)によると、2017年の台湾人出国者数は前年比7.30%増(前年比106万5656人増)の1565万4579人となった。人口比で見た2017年の台湾人海外出国率(国外旅行者/人口)は前年比4.43%増の66.41%(総人口の3分の2を占める程度)となった[95]。
台湾では日本観光はすでに相当な人気だ。訪日台湾人観光客は2017年で456万人で、台湾の人口約2355万人からすれば5人に1人が訪れた計算になる。訪日外客数の中では、中国(735万人)、韓国(714万人)に次いで多い[96]。
2017年の台湾寄港クルーズ船旅客数は114万人で、過去最高を更新した。台湾のクルーズ船市場規模は2016年に続きアジアの国・地域別で2位となった[97]。
週休二日制
労働部(日本の厚生労働省に相当)の2017年7月職類別薪資調査(2017年7月の職業別給与動向調査結果)によると、主な週休制の形態をみると、「何らかの週休二日制」を採用している企業割合は89.33%となっている。「完全週休二日制」を採用している企業割合は、87.51%となっている。これを産業別にみると、金融業,保険業が100%で最も高く、宿泊業,飲食サービス業が52.64%で最も低くなっている[98]。
同調査によると、週休制の形態別適用労働者割合をみると「何らかの週休二日制」が適用されている労働者割合は93.99%、「完全週休二日制」が適用されている労働者割合は92.96%となっている。これを産業別にみると、金融業,保険業が100%で最も高く、宿泊業,飲食サービス業が63.29%で最も低くなっている[99]。
少子化対策
台湾の出生率が極めて低いことの原因は多いが、中でも最も大きいのは、適齢期の若者で結婚する人の割合が低いこと、仕事と家庭の両立が難しいこと、そして経済的な原因の三つ。行政院(内閣に相当)は2030年までに合計特殊出生率を1.4に引き上げる目標を掲げる[100][101]。
少子化を改善するために今回打ち出した三大措置はまず、「公共化」された教育と保育サービスの拡大。具体的には行政が設け、民間が運営する託児施設、並びに公立の「幼児園」(幼稚園と託児所が統合した施設、日本の幼保連携型認定こども園に相当)と非営利の「幼児園」の増設(「公共化」された「幼児園」の増設)。そのうち0歳児から2歳児を対象とし、行政が設けて民間が運営する託児施設は2018年から2022年までに受け入れ許容量で5,280人分増やす。2歳児から5歳児を対象とした公立及び非営利の「幼児園」(「公共化」された「幼児園」)は2017年から2022年までに2,247クラス、6万人分あまり増やす。公立の「幼児園」に通う幼児は、「幼児園」の学費(入園料や保育料)の無償化が実施される。非営利の「幼児園」に通う幼児は、非営利の「幼児園」の料金と保護者の負担可能な金額との費用を政府が軽減する。「公共化」された「幼児園」に中低所得世帯と低所得世帯の幼児が通う場合は無料[102][103]。
第2に、私立の「幼児園」と私立の託児施設の「準公共化」。政府は規定を満たす保母、私立の託児施設、私立の「幼児園」と契約したり、補助金(保護者負担軽減補助金)を提供したりして保護者の託児・育児費用を一部負担する。研究によれば、保護者が毎月負担可能な託児・育児費用は可処分所得の約10%から15%で、8,000ニュー台湾ドルから1万2,000ニュー台湾ドル。将来的には私立の託児施設もしくは私立の「幼児園」の料金と保護者の負担可能な金額との差額を政府が補助する(保護者負担軽減補助金)。0歳から2歳までの幼児を、政府と契約して「準公共化」された保母、もしくは私立の託児施設に預ける場合、総合所得税率(世帯全体の所得税率)が20%以下の一般家庭(年間所得123万ニュー台湾ドル以下の世帯)ならば衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)が幼児1人につき毎月6,000ニュー台湾ドル(保護者負担軽減補助金)を補助する。また中低所得世帯の場合、衛生福利部の毎月の補助金(保護者負担軽減補助金)は1人あたり8,000ニュー台湾ドル、低所得世帯の場合は同1万ニュー台湾ドルに増額する。そして第3子から政府はさらに1,000ニュー台湾ドル上乗せし、保護者の毎月の負担を1,000ニュー台湾ドル軽減する。この措置は2018年8月から実施する予定。2歳から5歳までの幼児については、「幼児園」の料金基準と個々の家庭の収入に応じて、幼児1人あたり毎月3,500ニュー台湾ドルから1万ニュー台湾ドルの補助金(保護者負担軽減補助金)を業者に支給する。「準公共化」された「幼児園」に一般家庭の幼児が通う場合、「準公共化」された「幼児園」の料金は幼児1人につき毎月4,500ニュー台湾ドルを負担する。そして第3子から政府はさらに1,000ニュー台湾ドル上乗せし、保護者の毎月の負担を1,000ニュー台湾ドル軽減する(幼児1人につき毎月3,500ニュー台湾ドルを負担する)。「準公共化」された「幼児園」に中低所得世帯と低所得世帯の幼児が通う場合は無料。この措置は2018年8月から行政院(内閣)直轄市(6都市)を除く15の県と市で実施され、来年8月には全国に広げる[104][105]。
第3に、育児手当の拡大。政府は育児手当を支給する対象となる家庭の資格制限を緩和する。また、0歳から4歳までの幼児がみなこれを受け取れるようにする。総合所得税率(世帯全体の所得税率)20%以下の家庭(年間所得123万ニュー台湾ドル以下の世帯)であるか、育児休暇手当を受領しておらず「公共化」もしくは「準公共化」サービスも受けていないならば、0歳から4歳までの幼児がいた場合、幼児1人あたり毎月2,500ニュー台湾ドル、年間で3万ニュー台湾ドルが受け取れる。第3子以降はさらに1,000ニュー台湾ドルが支給される。また中低所得世帯の場合、育児手当は幼児1人あたり毎月4,000ニュー台湾ドル(年間で4.8万ニュー台湾ドル)、低所得世帯の場合は幼児1人あたり毎月5,000ニュー台湾ドル(年間で6万ニュー台湾ドル)を受け取れる。第3子以降はさらに1,000ニュー台湾ドルが支給される。0歳児から2歳児までの育児手当拡大方法は2018年8月に実施予定で、恩恵を受ける人はそれまでの14万3,000人から26万6,000万人に増える。2歳児から4歳児までが対象の部分は2019年の8月に実施する予定で、恩恵を受けるのは約40万人だという[106][107]。
外国人専門人員の就業促進対策
台湾の外国専業人材(外国人専門人員)の招聘雇用の促進および国際競争力の向上のために、2017年10月31日に「外国専業人才延攬及雇用法(外国籍専門人員募集及び雇用法)」を可決、2018年2月8日より施行。法案では外国専業人材(外国人専門人員)を一般外国専業人材(一般の外国籍専門人員、芸術家や塾講師を含む)、外国特定専業人材(外国籍で特定の専門人員)、外国高度専業人材(外国籍高度専門人員)に分類。外国特定専業人材(外国籍で特定の専門人員)は、所管機関が定めるテクノロジー(科学技術)、経済、教育、文化芸術、スポーツ、金融、法律、建築設計の8大分野における高い専門性や技術力を持つ人材と定義される。同法律は外国籍で特定の専門人員(外国特定専業人材)を台湾に招聘することが目的。就労ビザや居留規定(在留資格)の緩和、租税優遇、健康保険、定年退職、求職者への停留ビザの発給などによって外国人により優しい環境を整えることで、高い専門性や優れた技能を有する外国人の台湾での就労を促す。テクノロジー(科学技術)、経済、教育、文化芸術、スポーツ、金融、法律、建築設計の8大分野で特定の人材(高度の専門的な能力を有する人材)を台湾に招聘することを目指す。対象例は以下の通り[108][109]。
A:テクノロジー(科学技術)分野では、ナノテクノロジー、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、VR(バーチャルリアリティ)など先端技術の上で傑出した研究開発とデザイン、もしくはスタートアップの実績を持つ人員。 B:経済分野では、半導体、バイオ医療材料、グリーンエネルギー(再生可能エネルギー)などの企業で専門的、もしくは分野を超えた総合的な職務に就いていた人員。 C:金融分野では、フィンテック(FinTec)、デジタル経済などの産業が必要とする金融分野の専門人員[110][111]。
こうした専門人員を台湾に引き付けるための具体的な措置は以下の通り。
A:「外国特定専業人材(外国籍で特定の専門人員)」の在留期間を最長5年まで延長される(この期間は更新することができる)。 B:「外国特定専業人材(外国籍で特定の専門人員)」としての「就業金卡(就業ゴールドカード)」を発行する(有効期間は1~3年とし、期間満了後に再申請できる)。これは「工作許可(就労許可)」、「居留簽證(居留ビザ)」、「外僑居留証(外国人居留証)」、「重入国許可(再入国許可)」の四つの証明を一つにまとめたもので、これを取得した人は台湾における自由な求職活動と転職が可能になる。 C:初めて台湾に居留する「外国特定専業人材(外国籍で特定の専門人員)」には、最初の3年間、給与所得で年間300万ニュー台湾ドルを超えた部分に対する課税を半額とする租税優遇措置を提供する。 D:永久居留権(永住権)を取得した「外国専業人材(外国人専門人員)」はこれまで、永久居留証を取得した翌年以降、年間滞在日数が183日に満たない場合、永久居留証が取り消されるという規定があったが、この規定が廃止された。 E:全民健康保険(日本の国民健康保険に相当)加入に関する制限を緩和し(台湾滞在満6カ月の要件を廃止)、定年退職に関連した保障も強化する(永久居留権(永住権)を取得する「外国専業人材(外国人専門人員)」は、労働者定年退職金条例を適用する。国公立の学校に雇用される現職の専任教師については、台湾の国公立学校教員と同じ退職金制度が適用される。また、退職金を全額一度に受け取るか、月払いで受け取るかを選択することができる。)。さらに配偶者や子女の永久居留権(永住権)申請に関する規定も緩和(「外国専業人才(外国人専門人員)」が永久居留証(永住権)を取得した場合、その配偶者、未成年の子女、心身障害者であるため生活能力がない20歳以上の子女についても、一定の条件を満たせば永久居留証(永住権)を取得できる。)、成人した子女には就労許可などを与える。 これとは別に、「一般外国専業人材(一般の外国籍専門人員)」にも「求職ビザ」を発給し、台湾での職探しをしやすくする(台湾において「一般外国専業人材(一般の外国籍専門人員)」に該当する職業の就職活動を行う場合、在留期間最長6カ月の停留ビザを発行する)。また、フリーの芸術家(アーティスト)が台湾で自由に依頼を受けたり、創作活動を行うことを認める。さらに予備校や学習塾が専門知識や技術を有する外国籍教師を雇用することを認める[112][113]。
従来、外国人は外国語の教師でなければ予備校や学習塾で教えることはできなかったが、「外国籍専門人員募集及び雇用法」では専門知識や技術を持つ外国人が予備校や学習塾で授業を行うことを認める。経済部(日本の経済産業省に相当)ではすでに、例えばエレクトロニック・スポーツの選手など、コンピューターゲーム、CG動画、VR(バーチャルリアリティ)・AR(拡張現実)などの産業で雇用される外国人が予備校や学習塾で実際の技術を教えることを認めると予告している[114][115]。
また、経済部、科技部(日本の文部科学省に相当)、教育部(日本の文部科学省に相当)などの関係部署はさらに、「外国特定専業人才((外国籍で特定の専門人員))」として認められる外国人の資格要件も予告中。それによれば、給与は文化芸術及びスポーツ分野の人員を除いて、月額16万ニュー台湾ドル以上。さらに学歴や特殊な専門能力などの面でも条件が定められる[116][117]。
これら「外国特定専業人材(外国籍で特定の専門人員)」は「就業金卡(就業ゴールドカード、「工作許可(就労許可)」、「居留簽證(居留ビザ)」、「外僑居留証(外国人居留証)」、「重入国許可(再入国許可)」等4機能を含む)」を申請でき,自由に仕事を探し,転職することも可能。また,來台して3年間は年間收入が300万ニュー台湾ドルを超えた部分の課稅は半額となる[118][119]。
この「就業金卡(就業ゴールドカード)」を取得した外国人は、雇用者を通して就労許可を申請することなく、自由に求職活動や転職活動を行うことができるほか、台湾へやって来る家族についても最長1年間の停留が認められることになる(「外国特定専業人材(外国籍で特定の専門人員)」の直系尊属の訪問ビザの停留期間を1年までに延長する)。初めて台湾で生活する外国人の場合は、その課税年度の翌年から起算して3年間、年収300万ニュー台湾ドルを超える部分の半額を、総合所得税免除の対象とする優遇措置が適用される。「就業金卡(就業ゴールドカード)」の申請があれば、関連省庁が30日以内にあらゆる審査を行う。最も早ければ2週間程度でカードが発行されるという[120][121]。
工作許可(就労許可)の申請先では、台湾の雇用者が外国専業人材(外国人専門人員)を雇用する場合は、これまで通り労働部(日本の厚生労働省に相当)に申請する必要があるが、教育機関が外国人講師を雇用する場合の申請機関は教育部となる。「外国専業人才延攬及雇用法(外国籍専門人員募集及び雇用法)」は、香港、マカオ地域の住民も対象となる。
従来、外国人が働くために台湾にやって来るには、まず台湾に雇い主がいることが条件だったが、新たな法律では「求職ビザ」で台湾にやって来て仕事を探すことが出来るようになる(台湾において「一般外国専業人材(一般の外国籍専門人員)」に該当する職業の就職活動を行う場合、在留期間最長6カ月の停留ビザを発行する)。同ビザの発給対象は年間で2,000人が上限。外交部(日本の外務省に相当)はすでに申請条件を予告している。それによれば、条件は働いた経験があること、過去6カ月の平均給与が4万7,971ニュー台湾ドル以上であること。また、働いた経験が無い場合は、世界の大学ランキング上位500校を卒業していることが条件。また、フリーの芸術家(アーティスト)が雇用者を経ないまま、個人での労働許可を申請できるようにする。文化部(日本の文部科学省に相当)は関連の規定を予告中。映画や流行音楽、テレビ、ラジオ関連の事業に従事していて資格を満たす人は、台湾にやって来て働くことを申請できる[122][123]。
外国人専門人員の招聘に向けて、国として手続き上での環境を整備する。政府は国家レベルの人材誘致プラットホームとして「Contact Taiwan」と単一窓口も開設した。 A:ワンストップ型の申請プラットフォームを設置する。内政部(日本の総務省に相当)はすでに「外国専業人材申辦窓口平台(外国籍専門人員申請窓口プラットフォーム」)を設置し[124]、「外国特定専業人材(外国籍で特定の専門人員)」が「就業金卡(就業ゴールドカード)」をオンライン申請できるようにしており、台湾で手続きを行う上での利便性を大きく高めている。 B:「インターネットと実体の統合、世界とのリンク」というワンストップ型の人材募集メカニズムを確実に執行するため、関連の情報は国家レベルの人材招聘ポータルサイト、「Contact Taiwan」で公開する[125]。同時に、経済部の「招商投資服務中心(Invest Taiwan)」と連携し、専門スタッフによる人材募集とコンサルタントサービスを提供する[126]。外国の専門分野の人材はこれらのプラットホームを通じて台湾での就労を申請することができ、利便性が高まったほか、手続きも簡素化された。
なお、「一般外国専業人材(一般の外国籍専門人員)」、「外国特定専業人材(外国籍で特定の専門人員)」の他、「外国高級専業人材(外国籍高度専門人員)」という資格も存在する。これは、「出入国及び移民法」が定める、国内で必要とされる「高級専業人材(高度専門人員)」のこと。科学、研究、商工業面での特殊な専門能力を持つ人員、及び国際的なコンテストで賞を受けた人などが対象[127][128]。
経済移民政策
行政院は2018年5月15日、海外からの労働人口の流入増を図ることを目的とした「新経済移民法」の政府原案を発表した。少子高齢化の加速で労働人口が将来的に減少すると予測される中、外国人や海外で生まれそのまま居住する台湾人(僑外生)の人材誘致を進める。「新経済移民法」は(1)「外国専業人才(外国人専門人員、専門性や技術力を持つ外国人)」、(2)「中階外籍技術人力(中級技能を持つ外国人)」、(3)「投資移民」、(4)「海外国人及其後代(海外在住の台湾人及びその子女)」の永住権取得条件について定めるもの。香港及びマカオ住民も対象となる[129][130]。
行政院は記者会見で、「新経済移民法案」の狙いは2つの問題を解決することだと説明した。そのうちの1つは、産業発展に必要な人材及びマンパワー不足問題。もう一つは少子化に伴う人口危機問題。行政院によると、「新経済移民法案」のうち「中階外籍技術人力(中級技能を持つ外国人)」を対象にした部分では、台湾の雇用及び賃金水準に影響を与えないことを前提に、台湾に長年在住する華僑や外国人、台湾で長年働く外国人などに優先的に永住権を与えるとしている。「中階外籍技術人力(中級技能を持つ外国人)」の適用対象については(1)台湾の学校を卒業した元留学生、(2)台湾ですでに一定期間働く中級技能を持つ外国人、(3)海外から新たに招聘する中級技能を持つ外国人の3つに分類し、これらの人々が台湾で働くための条件などを定めている[131][132]。
また、台湾の賃金水準に衝撃を与えることを回避するため、「中階外籍技術人力(中級技能を持つ外国人)」は賃金分布の70パーセンタイルに相当する月額最低賃金を雇用の条件とする。つまり、産業部門における「技術員(技術スタッフ)、助理専業人員(アシスタント専門スタッフ)、機械操作、組装人員(組立スタッフ)」の賃金分布の70パーセンタイルは4万1,393ニュー台湾ドルとなり、社会福祉部門の「健康照顧人員(介護スタッフ)」の賃金分布の70パーセンタイルは、政府が推進する「長期介護2.0計画」における介護要員と同水準の3万2,000ニュー台湾ドルとなる。台湾人と外国人労働者の賃金のバランスを取ることで、台湾の労働市場に与える衝撃を最低限に抑えるのが狙い[133][134]。
この法律が適用されて台湾で雇用される「外国特定専業人材(外国籍で特定の専門人員)」は、給与が月額16万ニュー台湾ドル以上(文化芸術及びスポーツ分野の人員を除いて)、台湾在住期間が連続3年以上、年間の平均滞在日数が毎年183日以上であれば、永住権を申請することができる(外国人専門人員ポイント制による永住権取得条件の優遇措置が導入される)。また、同法律が適用されて台湾で雇用される「一般外国専業人材(一般の外国籍専門人員)」は、給与が月額5万2,842万ニュー台湾ドル以上、台湾在住期間が連続5年以上、年間の平均滞在日数が毎年183日以上であれば、永住権を申請することができる(外国人専門人員ポイント制による永住権取得条件の優遇措置が導入される)[135][136]。
行政院によると、「新経済移民法案」では「中階外籍技術人力(中級技能を持つ外国人)」のうち、(1)台湾の学校を卒業した元留学生、(2)台湾ですでに一定期間働く中級技能を持つ外国人を優先して台湾につなぎとめるほか、(3)海外から新たに招聘する中級技能を持つ外国人についても雇用の条件を定めているが、この部分については行政院が改めて施行日を定めることになっている[137][138]。
「中階外籍技術人力(中級技能を持つ外国人)」の台湾での就労には月額最低賃金が定められるほか、中国語能力や過去の就労経験などの条件を審査する。また、雇用人数については産業別に割り当て(クオーター)を設けるほか、総量規制を行う。詳細については別途定める。この法律が適用されて台湾で雇用される「中階外籍技術人力(中級技能を持つ外国人)」は、台湾在住期間が連続7年以上、年間の平均滞在日数が毎年183日以上であれば、永住権を申請することができる[139][140]。
「新経済移民法案」では「中階外籍技術人力(中級技能を持つ外国人)」について、「技術員、助理専業人員、技芸関連、機械設備操作人員」あるいは「主務官庁が人材不足と認定した技術人材」と定義している。また、適用対象は台湾で学ぶ外国人及び華僑留学生、海外青年技術訓練班及び新南向専班の学生、中級技能を有するその他の外国人となっている[141][142]。
このほか、この法案では「投資移民」による永住権申請の条件が緩和され、「営利事業に1,500万ニュー台湾ドル以上を投資し、且つ台湾人のための雇用機会を5件創出し、満3年以上経過した場合」及び「中央政府の公債及びその他の金融商品(国家建設や産業開発に資する国を指定するために政府が承認した投資ファンド、社債などの金融商品に投資する)に3,000万ニュー台湾ドル以上の額を投資して3年以上経過した場合」とされている[143][144]。
下水道整備
台湾は分流式下水道(下水道には「汚水」と「雨水」を別々の下水道管に流す)を採用し、2018年3月における台湾の汚水処理人口普及率(汚水処理区域内人口/総人口)は56.19%となっている。2018年3月における台湾の用戶接管普及率(汚水下水道接続率(公共汚水下水道已接管戶数/総戶数))は32.26%となっている[145]。また、2017年における台湾の雨水下水道(雨水を排除・処理する下水道)整備達成率は73.71%となっている[146]。
文化
台湾住民の大部分の文化的基盤は漢民族文化である。しかし、その内容は豊富であり、ホーロー系住民は福建南部系のホーロー文化に客家系は客家文化に、外省人は出身省それぞれの文化に属し、近年は通婚などにより相互影響や融合が深まっている。なお原住民族はマレー・インドネシア文化に属しているが、これも漢人文化の影響を受けている。
台湾におけるいずれの文化においても顕著な現象として、伝統的要素が色濃く残っている点が挙げられる。社会主義化に伴う文化表現の規制、弾圧により中国では廃れていった漢人の伝統民俗が今日まで数多く残存している他、ヤミ(タオ)族を始めとする各原住民でも民族独自の文化が保持・継承され続けている。
漢民族の間では、各出自の共通概念として家族が社会組織の重要な社会単位となっており、祖先崇拝などの伝統家庭行事が現在でも重要な役割を担っている。また二十四節気を基とした旧正月や、清明節(ただし客家人の一部などは祝わない)、中秋節などの季節行事も毎年盛大に行なわれている。この他にも出身地ごとの伝統文化が存在しており、例を挙げれば福建系の伝統文化としては布袋劇(人形劇)や歌仔戯(台湾オペラ、コアヒ)などがある。また、外省系移民が台湾に与えた文化としては、中華民国政府のイデオロギー的影響や中国各地の料理などが挙げられる。
中国以外の外来文化としては日本とアメリカの影響が大きい。日本に関しては過去に日本による統治を受けていたため温泉、演歌、日本酒、弁当、おでん、武士道などの伝統的な日本文化が残留する以外に、戦後の日台関係の中で新たに流入したカラオケ、J-POP、漫画、アニメ、テレビゲーム、ファッションも台湾で根付いており、1990年代後半には日本文化に傾倒する台湾青年層を哈日族と特に称すようになった。また古くから日本からのテレビ番組を多数放送しているため、日本人の芸能人の認知度が高い。これは台湾人が中国大陸に住む中国人よりも、日本人に顔が似ているため親しみやすい部分もある。実際、台湾・日本どちらにも台湾と日本のハーフの芸能人が多く、本人が発言しないとハーフですらわからないほどである。
食文化
元来の台湾郷土料理に、中国大陸の廈門に由来する福建料理が混ざったものが伝統的に作られており、一般にはこれらの様式の料理を指して「台湾料理(台菜)」と呼ぶ場合が多い。
また、福建省出身の開拓民と同時期に台湾に渡ってきた、中国大陸の広東省北部出身の客家や湖西地方出身者の料理も今日の台湾料理根底の一部をなしていること、さらには過去約50年間に及ぶ日本の台湾統治時代の日本文化の影響や、第二次世界大戦後の中華民国政府の台北遷都に伴い中国各地から来た人々からの影響を受けたことなどが、現在の多様性に富む台湾料理の形成につながっている点なども指摘されている。食材ではカラスミや新竹地方の米粉(ビーフン)、また料理では台南地方の担仔麺などが著名であり、台湾茶と総称される独自の茶文化も存在する。
また、これらの台湾料理を出す料理店は、本格的な店舗を構える高級料理店だけでなく、ナイトマーケットなどに出される屋台がポピュラーな存在として親しまれており、これらの屋台を目当てに各国から観光客が訪れるほどである。
文学
台湾の文学は、長期的な政治的、地理的な制約により中国文学の支流または辺陲文学として捉えられることが多く、その発展には大きな制約が存在した。また外部からの統治者による広義の植民地として一貫された書写系統が確立されることがなかった。その状況下で原住民の口承文学、中国古文、白話文、日本語、台湾語などによる多様な言語による台湾文学が成立することとなった。
このような多様な言語が生み出す意識形態、省籍矛盾、植民地文化などの衝突は台湾文学を根本で定義することが困難な情況を生み出している。
台湾の文学は日本統治時代の新文学、反共文学及び現代主義文学をその発祥とし、1970年代以降に懐郷、郷土、政治、女性文学が登場し、2000年代に更に新しい形態が登場し台湾文学の中の重要な地位を占めるに至っている。このほか励志文学やネット文学などが多元化の潮流に合わせ発展、相互競争を繰り返しながら新しいメディアで紹介され、新しい台湾文学の一面を形成している。現在映像メディアの脅威にさらされながらも、台湾の文学は旧来の様式を基礎に新たな様式を創造し発展を続けている。
ポルノの小説の出版は女子高生に読書の啓発を与えたというパブリッシャーもいたほどポルノ小説は台湾文学界で流行っていた[147]。ポルノ小説を読むよう指定するカトリック女子学校もあった[147]。
音楽
- 中国大陸で活躍する有名なアーティストで、特に女性アーティストは台湾出身者が多い。
- 日本の音楽も他国に比べると多く流通しているため、台湾でツアーを行う日本人アーティストも多い。また、台湾から日本に日本人アーティストのライブを観にくる人もいる。台湾人の多くが、日本語を理解している事も理由として挙げられる。
映画
世界遺産候補
世界遺産は、1972年のユネスコ (UNESCO) 総会で採択された通称「世界遺産条約」に基づいて、世界遺産リストに登録された普遍的な価値を持つ遺跡のことである。しかし、中華民国は1971年に国際連合における「中国の国家」としての代表権を喪失し、以来ユネスコへの加盟を認められていないことから、中華民国政府の統治下にある台湾地域では世界遺産が一つも登録されていない。
「世界遺産条約」成立以来、永らく中華民国は国内遺産の世界遺産登録に向けた行動を起こしてこなかった。しかし、2000年の台湾総統選挙で民主進歩党の陳水扁政権が発足すると、中華民国行政院・文化建設委員会(今・文化部)は「中華民国は世界遺産条約を締結はしていないが、地球村の構成員であり、遺産を継承・保護しなければならない」との方針を打ち出し、2003年に国内で世界遺産登録の候補地を募集した。その結果、世界遺産登録の基準を満たす可能性がある遺産として12か所の遺産が選定され、現在では、将来の世界遺産登録に向けた資料作成や住民向けの講座開設等の教育活動、考古学、地理、建築などの専門家で組織する世界遺産諮問委員会の設置等の活動、およびに国際的なPRを進めている。
なお、世界遺産登録候補の内訳は、自然遺産が6か所、文化遺産が11か所、複合遺産が1か所となっている[148]。
自然遺産候補
- 太魯閣国家公園(花蓮県)
- 棲蘭山ヒノキ林(宜蘭県)- 生きた化石ともいわれる貴重な植物で最大70メートルにも達する「タイワンヒノキ」と「ベニヒ」が生息している。東アジア最大面積の針葉樹林。最古の樹齢2540年で、「孔子神木」と名付けられている。
- 陽命山|大屯火山群(台北市)
- 澎湖玄武岩自然保護区(澎湖県)
- 玉山国家公園(南投県)
文化遺産候補
- 卑南遺跡及び都蘭山(台東県)
- 淡水紅毛城及び周辺の歴史建築群(新北市)
- 金瓜石集落(新北市)
- 楽生療養院(新北市)
- 桃園台地の陂塘(桃園県)
- 烏山頭ダム及び嘉南大用水路(台南市)
- 屏東排湾(パイワン)族の石板屋集落(屏東県)
- 澎湖石滬群(澎湖県)
- 金門の戦地文化(金門県)
- 馬祖の戦地文化(連江県)
- 阿里山森林鉄道(嘉義市、嘉義県)
- 台湾鉄道旧山線(台中市、苗栗県)
複合遺産候補
世界遺産以外の文化アピール
ユネスコが主導・支援する国際的な文化選定事業は世界遺産以外にも複数ある。世界遺産同様に運営団体へ加盟できず登録・認定が困難な場合と、NGO組織が窓口を務めることで参加が実現している例もある。
記憶遺産は歴史的事象を証明する記録の保存とデジタル公開化を促進するもので、世界遺産のような条約に基づくものではなく、国家のみならず自治体や個人での申請も可能な開かれた制度だが、台湾は2010年に甲骨文字コレクションを申請したものの受理されなかった。一方で、韓国が申請を目指している従軍慰安婦に関して台湾との連携を模索しており、台湾の代行申請も視野に入れている[149]。
記憶遺産と連動するのが、国際的電子図書館事業のワールド・デジタル・ライブラリーである。台湾からも国家図書館蔵書が協賛しているが、2009年の開幕式に出席した国家図書館長らが列席を拒否された[150]。
世界遺産ほど知名度はないが、ユネスコが推進する事業に創造都市ネットワークがある。創造産業による都市振興施策で、国家ではなく都市単位での申請になることから、台北が食文化部門での登録を目指している。
ユネスコが後援するNGO活動として世界で最も美しい湾クラブがあり、澎湖諸島の澎湖湾が2014年に加盟を認められた。
やはりユネスコが後援するNGO組織国際かんがい排水委員会には台湾も加盟しており、2014年からかんがい施設遺産の選定を始めた。100年以上経過した農業用水路が対象であることから、2030年に築100年を迎える烏山頭ダムと嘉南大圳の登録が期待される。詳しくは「灌漑#灌漑の顕彰と保全」を参照。
この他、2014年に世界大都市気候先導グループが推進する気候リーダーシップ賞に台北が選ばれるなど[151]、環境分野での国際的アピールも行われている。
世界でも有数の博物館として知られる国立故宮博物院は海外での展示を推進しており、2014年には日本で初となる大がかりな展覧会が催された。また台湾南部の嘉義県にアジア文化をテーマとした国立故宮博物院南部院区 - アジア芸術文化博物館(故宮南院)が設けられ、日本の伝統工芸品についても紹介される予定である。フランス・ルーブル美術館におけるランス別館のような収蔵品分散機能に加え、アジア芸術文化という従来にはない新機軸を打ち出している。1960年代から中国で吹き荒れた文化大革命による伝統文化や文化財の破壊から歴史遺産を守る役割を果たした台湾の故宮だが(台湾島それ自体が民俗・伝統の避難保護区として機能した)、世界に向けた文化発信基地として新たな段階を迎えている。
スポーツ
台湾で人気のあるスポーツとしては、プロリーグが存在する野球、準プロリーグが存在するバスケットボールが挙げられる。政治的な問題から、オリンピックなどの国際大会には通常チャイニーズ・タイペイとして出場する。台湾は、その経済水準の割にスポーツのレベルは高くなく、国際舞台で活躍する台湾人選手は目立たなかったが、2004年のアテネオリンピックではテコンドーで台湾に史上初の金メダルがもたらされた。
- 野球
- 野球は日本統治時代に日本から台湾へ伝えられた。かつて嘉義農林学校(現・国立嘉義大学)の野球チームが夏の甲子園で準優勝したこともあり、その活躍は『KANO』として映画化された。野球は事実上の国技として、台湾で最も盛んなスポーツの一つとなっており、国内の500圓紙幣の絵柄に少年野球チームが採用されているほどである[152]。
- 1990年には国内初のプロリーグ、中華職業棒球大聯盟が発足した。近年では米国や日本のチームに在籍する台湾人選手が増えている。2006年にMLBで19勝をあげて最多勝を獲得した王建民は台湾の英雄的存在である。日本球界では、かつては郭泰源、郭源治、大豊泰昭らが活躍し、現在はボルチモア・オリオールズのチェン(本名:陳偉殷)が有名である。また、中華民国籍である王貞治は台湾での知名度も高く、2002年には王が監督を務めるダイエー主催のNPB公式戦が台湾で開催された。ただし、昨今では日本で活躍している選手は少なく、日本で知名度が高いのは読売ジャイアンツの陽岱鋼である。2013年には、大量に台湾人の選手が解雇され、どの選手にも日本の球団は獲得意思を示さなかった。
- 一方で、台湾でのプロ野球人気は1990年代後半に起きた八百長問題をきっかけに低迷が続いている。2008年には八百長問題が再発し、2球団がリーグから除名され、4球団のみのリーグ構成となった。観客動員も平均2千人を切るまでに低迷し、有望選手の海外流出、経営難も相まってプロリーグは存続の危機に陥っている[153]。
- 野球チャイニーズタイペイ代表は1992年のバルセロナオリンピックでは銀メダルを獲得した実績を持つが、日本・韓国がプロ選手を五輪に派遣するようになってからは、メダルから遠ざかった。
- また、ワールド・ベースボール・クラシックの参加国の1つでもある。2009年の第2回大会では、辞退者が相次いだこともあり苦戦を余儀なくされ、1次ラウンドの初戦で韓国に大敗し、2戦目では格下と思われた中国にも敗れ、2連敗で姿を消した。2013年の第3回大会では、1次ラウンドを1位通過し、初めて2次ラウンドに進出した。2次ラウンドでは、日本に善戦したものの土壇場で勝利を逃し延長戦で敗れ、敗者復活戦でキューバに敗れたため、2次ラウンドで敗退した。2017年の第4回大会では、2009年の第2回大会のようにまた辞退者が相次ぎ、苦戦を余儀なくされた。1次ラウンドのオランダと韓国戦では接戦で負けたが、結果的にはイスラエルにも負けて3連敗で姿を消した。
- バスケットボール
- バスケットボールは野球に次いで盛んなスポーツである。2003年には準プロリーグの超級籃球聯賽が発足した。競技レベルは、世界的に見るとまだ発展途上ではあるが、アジアでは比較的上位に位置し、バスケットボールチャイニーズタイペイ代表は過去にオリンピックやバスケットボール世界選手権に出場した経験がある他、近年でも2009年バスケットボール男子アジア選手権で5位に入る健闘を見せた。両親が台湾出身のジェレミー・リンらNBAで活躍するアジア系選手の人気にも触発され、国内では特に若者の間で人気がある。日本とのかかわりとしては曾文鼎がbjリーグの大阪エヴェッサでプレーしたことがある。
- ソフトボール
- 男子の野球と同様に女子のソフトボールも台湾で盛んなスポーツのひとつである。1982年に世界選手権が自国開催され準優勝。オリンピックも4回中シドニーを除いた3度出場している国際大会の常連である。
- サッカー
- 歴史的に日本と米国の強い影響を受けてきたため、台湾におけるサッカー人気は他のアジア諸国と比べると見劣りするが、2007年に、競技力の向上と人気の拡大を図り、それまでの企業リーグから地域を重視する2部リーグ制のインターシティフットボールリーグへ移行するなど、中華民国足球協会の指導の下、国内リーグの改革が進められている。代表チームは、男子も女子も国際大会で苦戦が続いている。
- ソフトテニス
- 歴史的経緯により戦前より盛んに行われている。近年はテニスの人気におされているが現在でもシニア層を中心に全土に愛好者がいる。とくに南部では盛んである。アジア競技大会(1994年大会より正式競技)では8個金メダルを獲得、世界ソフトテニス選手権(1975スタート)においても6個の金メダルを獲得、日本、韓国と鼎立しているといえる。
- テニス
- テニスは台湾においても人気のあるスポーツの1つである。1990年代までは国際試合で活躍する選手には女子が多かったが、21世紀初頭には男子の強豪選手も現れ始め、盧彦勳と王宇佐がシングルスにおいて世界ランキング100位以内に入る活躍を見せている。
- バレーボール
- バレーボールも2004年に中華民国排球協会によって国内リーグが設立されるなど発展傾向を見せているが、競技レベルは他国に比べるとあまり高くはない。ただし、チャイニーズ・タイペイとして出場した2006年の女子世界選手権では、日本から初めて勝利を挙げた。第1セットは18-25で日本に先取されたが、その後25-18、25-19、25-23と3セット連取し、逆転勝利を収めている。また、アテネ五輪の世界最終予選に於いても、日本相手に1セットを奪う健闘を見せた。アジア大会では2006年に銅メダルを獲得。
- ボクシング
- 台湾ではボクシング=流血とみなされ、敬遠される傾向にあったが、そのイメージを払拭する目的もかねて、2011年より普及促進を目的として台北市カップ国際ボクシングトーナメントを創設した[154]。著名な選手としては日本に渡り世界タイトルにも挑戦した経験を持つロッキー・リンが挙げられる。
通信・メディア
台湾では新聞、テレビ、雑誌、インターネット等のメディアに対する政府検閲は存在せず、また諸外国メディアによる報道も原則的に自由に行われている。
テレビは台湾電視公司、中国電視公司、中華電視公司、民間全民電視公司や公共電視文化事業基金会などの全国ネット地上波局のほかに、ケーブルテレビ局も多数存在し、各種専門チャンネルによる放送が24時間行われている。
新聞は『聯合報』や『中国時報』、『自由時報』の三大紙のほかに、近年は香港資本による全面カラー『蘋果日報』や英字新聞の『Taipei Times』や『Taiwan News』などが発行され、各新聞ごとの独自論調を展開した読者獲得競争が行われている。近年ではインターネットの普及により新聞メディアの低調が目立つようになっているが、人口当たりの発行部数は世界有数のレベルを現在でも保持している。
政府系ニュースサイトとして、Taiwan Todayが存在する。
報道自由度
米人権団体「フリーダム・ハウス」が発表した最新の2017年の報道の自由度に関する報告書で、台湾は世界39位となったことがわかった(昨年より5位順位を上げた)[155]。
国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)が発表した2018年の世界報道自由ランキングで、台湾は180カ国・地域中42位に選ばれ(昨年の45位から3ランク上昇した)、アジア圏で首位となった[156][157]。同組織は、2017年に台北で初めてのアジア事務局を設立すると発表した。選定理由には、台湾の地理的位置やアジア随一の報道の自由度などが挙げられている[158]。
主権紛争
出典・脚注
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《臨海水土志》曰:夷州在臨海東南,去郡二千里。土地無雪霜,草木不死。四面是山,眾山夷所居。山頂有越王射的,正白,乃是石也。此夷各號為王,分畫土地,人民各自別異。人皆髠頭穿耳,女人不穿耳。作室居,種荊為蕃鄣。土地饒沃,既生五穀,又多魚肉。舅姑子歸男女,臥息共一大床。交會之時,各不相避。能作細布,亦作斑文布,刻畫其内,有文章,以為飾好也。其地亦出銅、鐵,惟用鹿矛以戰鬥耳。磨礪青石,以作矢鏃、刃斧,環貫珠璫。飲食不潔。取生魚肉,雜貯大器中,以鹵之,歴日月乃啖食之,以為上肴。呼民人為「彌麟」,如有所召,取大空材,材十余丈,以著中庭。又以大杵,旁舂之,聞四五里,如鼓,民人聞之,皆往馳赴會。飲食皆踞相對。鑿木作器,如狶槽狀,以魚肉腥臊安中,十十五五共食之。以粟為酒,木槽貯之,用大竹筒長七寸許飲之。歌似犬嗥,以相娯樂。得人頭,斫去腦,駁其面肉,留置骨,取大毛染之,以作鬢眉發編,具齒以作口,自臨戰鬥時用之,如假面状。此是夷王所服。戰得頭,著首。還,於中庭建一大材,高十余丈,以所得頭差次掛之。歴年不下,彰示其功。又甲家有女,乙家有男,仍委父母往就之居,與作夫妻,同牢而食。女以嫁,皆缺去前上一齒。
又曰:安家之民,悉依深山,架立屋舍於棧格上,似樓状。居處飲食,衣服被飾,與夷州民相似。父母死亡,殺犬祭之,作四方丞以盛尸。飲酒歌舞畢,仍懸著高山岩石之間,不埋土中作冢槨也。男女悉無履。今安陽羅江縣民,是其子孫也。皆好猴頭羹,以菜和中,以醒酒;雜五肉,霍不及之。其俗言:「寧自負人千石之粟,不願負人猴頭羹霍」。 - ↑ ウィキソース『wikisource:zh:三國志/卷47』
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参考文献
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- 松浦恆雄・垂水千恵・廖炳惠・黄英哲編 『越境するテクスト 東アジア文化・文学の新しい試み』2010年
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- 齋藤正憲 『土器づくりからみた3つのアジア—エジプト・台湾・バングラデシュ—』創成社 2012年 ISBN 978-4-7944-5050-0
- 松岡格 『台湾原住民社会の地方化——マイノリティの20世紀』研文出版、2012年 ISBN 978-4-87636-342-1
- 龍應台著、天野健太郎訳 『台湾海峡一九四九』白水社 2012年 ISBN 978-4-560-08216-4
- 川上桃子 『圧縮された産業発展 台湾ノートパソコン企業の成長メカニズム』名古屋大学出版会 2012年 ISBN 978-4-8158-0703-0
- 朝元照雄『台湾の経済発展:キャッチアップ型ハイテク産業の形成過程』勁草書房、2011年 ISBN 978-4-326-50354-4
- 朝元照雄『台湾の企業戦略:経済発展の担い手と多国籍企業化への道』勁草書房、2014年 ISBN 978-4-326-50399-5
- (この書籍には台湾積体電路製造(TSMC),聯発科技(メディアテック)、鴻海(ホンハイ)、群創光電(イノラックス)、華碩エイスース)の企業研究が掲載されている)
- 朝元照雄『台湾企業の発展戦略:ケーススタディと勝利の方程式』勁草書房、2016年
- (この書籍には中華電信、国泰FH、ジャイアント、エイサー、HTCの企業研究が掲載されている)
- 朝元照雄『開発経済学と台湾の経験:アジア経済の発展メカニズム』勁草書房、1996年 ISBN 978-4-326-50254-7
- 朝元照雄『現代台湾経済分析:開発経済学からのアプローチ』勁草書房、2011年 ISBN 4-326-50110-3
- 渡辺利夫・朝元照雄編『台湾経済読本』勁草書房、2010年 ISBN 978-4-326-50330-8
- 渡辺利夫・朝元照雄編『台湾経済入門』勁草書房、2007年 ISBN 978-4-326-50289-9
- 朝元照雄・劉文甫編『台湾の経済開発政策』勁草書房、2001年 ISBN 4-326-50201-0
- 劉進慶・朝元照雄編『台湾の産業政策』勁草書房、1999年 ISBN 4-326-50237-1
- 施昭雄・朝元照雄編『台湾経済論』勁草書房、2001年 ISBN 4-326-50164-2
- 黄登忠・朝元照雄『台湾農業経済論』税務経理協会 2008年 ISBN 4-419-04736-4
- 豊島与志雄 『台湾の姿態』未来社 1967年(昭和42年)11月10日
関連項目
外部リンク
政府
- 我的E政府 - 中華民国の政府総合サイト(中国語)(英語)
- 台湾総統府(中国語)(英語)
- 台北駐日経済文化代表処 - 実質的に大使館、領事館の機能を果たす(日本語)
- 台湾内政部移民署 - 中華民国への長期滞在や移民に関する事務(中国語)(英語)
日本政府
- 財団法人交流協会-実質的に台湾での日本大使館の機能を果たす(日本語)
- 日本外務省 - 台湾(日本語)
観光
- 台湾交通部観光局(日本語)