成人式
成人式(せいじんしき)とは、成人式を行う年度内に満20歳となる人々を学齢ごとに各日本の地方公共団体ごとに1月第2月曜日(成人の日)に自主的に招き、激励・祝福する行事(イベント)である。講演会やパーティーを開いたり、記念品を贈ったりする。日本政府の主催ではなく、各地方自治体が自主的に行っているため、満20歳の学齢方式はどこも同じだが成人の日以外に主催する自治体も存在する[1]。
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由来
成人を祝う儀礼は古くからあり、男子には元服・褌祝、女子には裳着・結髪などがあった。文化人類学や民俗学では、こうしたものを通過儀礼(イニシエーション)の一つとして扱う。皇族の成年式は、後述のとおり1909年から1947年まで行われていた。
日本における今日の形態の成人式は、第二次世界大戦の敗戦間もない1946年(昭和21年)11月22日、埼玉県北足立郡蕨町(現:蕨市)において実施された「青年祭」がルーツとなっているのが定説である[2]。敗戦により虚脱の状態にあった当時、次代を担う青年達に明るい希望を持たせ励ますため[3]、当時の埼玉県蕨町青年団長高橋庄次郎(のち蕨市長)が主唱者となり青年祭を企画、会場となった蕨第一国民学校(現:蕨市立蕨北小学校)の校庭にテントを張り、青年祭のプログラムとして行われた。この「成年式」が全国に広まり現在の成人式となった。蕨市では現在も「成年式」と呼ばれており[3]、1979年(昭和54年)の成人の日には市制施行20周年、成人の日制定30周年を記念して同市内の蕨城址公園に「成年式発祥の地」の記念碑が同市によって建立された。
蕨町の「青年祭」に影響を受けた日本国政府は、1948年(昭和23年)に公布・施行された祝日法により、「おとなになったことを自覚し、みずから生きぬこうとする青年を祝いはげます」の趣旨のもと、翌1949年(昭和24年)から、1月15日を成人の日として制定した[3]。それ以降、ほとんどの地方で成人式はこの日に行われるようになった。その後、1998年(平成10年)の祝日法改正(ハッピーマンデー制度)に伴って、2000年(平成12年)より、成人の日は1月第2月曜日へ移動している。なお、2018年近くの調査によって名古屋市、また宮崎県東臼杵郡諸塚村も発祥の地を名乗っている[4]。
新成人の定義
成人式の参加対象となる成人は、前年の「成人の日」の翌日からその年の「成人の日」までに誕生日を迎える人を祝う日となっている。しかし、最近(特にハッピーマンデー制度導入以降)は前年の4月2日からその年の4月1日に成人する人を式典参加の対象にする、いわゆる学齢方式が定着するようになっている。ただし、 誕生日を迎えていない新成人は未成年者飲酒禁止法・未成年者喫煙禁止法によって酒を飲んだり、喫煙をしたりすることは禁止である。
年齢方式の場合、誕生日の遅い早生まれの人が他の参加者がほとんど見ず知らずの人になってしまったり、ハッピーマンデー制度によりその年の成人の日は19歳で翌年の成人の日は21歳というケースがある(1987年1月9日 ‐ 13日・1992年1月10日 ‐ 13日生まれの場合)ことにより学齢方式に変更された経緯がある。
他に北海道札幌市と広島県広島市では、この1年間に20歳の誕生日を迎える人[注釈 1]を成人式参加の対象者とする暦年方式が用いられていた。しかし、大学受験で一浪しただけで式典参加が困難になる場合が多いうえ、前年に他市町村で成人式の対象とならなかった人が翌年、進学や転勤で転入した場合、2年続けて参加できなくなるなど若者の不評が多かったことから、両市とも2000年以降は学齢方式に変更[注釈 2]されている。
1960年代までは、新成人は半数以上が既に社会に出ている勤労青少年だったが、1970年代以降、大学・専門学校進学者(率)の増加や中卒・高卒就職者の減少から、新成人全体に占める在学者の割合も年々増加しており、現在に至っている。
開催日
成人式の式典は、成人の日、またはその前日(常に日曜日になる)に開かれることが多いが、必ずしもそうでない地域もある。
成人の日以外での式典開催は、その年のゴールデンウィークやお盆(旧盆)、あるいは正月三が日から松の内に行う市区町村も多い。例えば2017年度の新潟県においては、本来の成人の日である1月8日に実施する事例は全くなく、前日の1月7日が2市(2会場)のみで、残りは3・4・5・8月のいずれかに行われている[6]。特に豪雪地では1月よりも温暖であり(雪で晴れ着が汚れる等の問題もある)、また就職や進学で地元を離れる人が多い地域においては実家に帰省する人が多い5月の大型連休や8月のお盆に実施する方が、参加しやすいためである。かつては1月に開催していた自治体も、5月(新潟県長岡市の5地域[6][注釈 3])や8月(新潟県長岡市の残りの6地域[6]、和歌山県東牟婁郡太地町[注釈 4]、石川県河北郡津幡町[注釈 5])に変更したところもある[8]。
開催場所
たいていの場合、その市区町村内で多くの参加者を収容できる多目的ホールや大型体育館が使用される[6]。政令指定都市や中核市のような大規模な市の場合は、全市まとめて1つの会場で行う市[注釈 6]、行政区またはそれに準ずる地域毎に会場を設ける市[注釈 7]、さらに細分化した地区毎に会場を設ける市[注釈 8]と様々である。また、平成の大合併などによって面積が拡大した自治体も、合併前の自治体単位など参加しやすい区域毎に会場を設ける場合がある[注釈 9]。
特徴的な開催場所としては地元のテーマパークで開催する自治体もある。例として1998年から2013年までの福岡県北九州市におけるスペースワールド(2018年1月1日午前2時で閉園)での成人式や[注釈 10]、2002年以降2018年現在も続けられている千葉県浦安市での東京ディズニーランドでの成人式[17]、愛知県安城市のデンパークでの成人式[18]などがある。浦安市の場合は報道メディアに取り上げられるが、批判もある。例えば、2006年1月10日朝日新聞夕刊1面「素粒子」は「浦安の新成人。遊園地のネズミ踊りに甘ったれた顔して喜んでるようじゃ、この先思いやられる」と書き、。
千葉県成田市では、例年成人式を開催していた会場施設が改修工事を行ったため、2015年1月は成田国際空港第2ターミナルビル前の屋外スペースで開催した。それ以降、2018年現在も続けられている[19]。
名古屋市16区のうち、東区・中区・昭和区・熱田区を除く12区では、小学校の学区毎に、主に学校施設を使用して成人式を行っている。2018年開催の市内の成人式会場は、174会場にものぼる[20][21]。
なお、成人式の参加に事前の申し込みが必要な自治体もある[注釈 11]。また、会費制としているところもある(例えば、愛知県犬山市[24])。
問題
趣旨再定義の立ち遅れ
2004年3月に横浜市教育委員会が行った市民意識調査[25]によると、元来の趣旨である「新成人が、大人になったことを自覚するための行事」がほとんどの世代で最も多いものの、参加対象層である未成年、新成人、20代においては「友達同士が再会する『同窓会』のような行事」が約2割から3割に及んでいる。ほかに、20代以下の女性においては「スーツや晴れ着を着て、新成人が一堂に会する行事」が2割台に及んでおり、開催側のイベントの趣旨設定が、参加対象者層のイベントへの期待と乖離しつつあることがうかがえる。
上記の調査においては、高校生・未成年層では成人式に「参加したい」という回答が82.7%、「参加したくない」が17.2%となった。高校生・未成年層の回答において「参加しない理由」は「内容に興味がないから」が36.8%で最も多くなっている。歌手などによるコンサートなどのアトラクションについては、高校生・未成年・新成人において「必要である」とした回答が50%を超えた一方、市長や政治家の来賓等の紹介については、「必要ない」という回答が全ての世代で過半数を超え、横浜市の提言書では「式典全体を冗長にし、内容を乏しくする一因となっている」と評している。
出席率の低下
もともと成人式は、法律の趣旨にもあるように、一定の年齢に達した青年を行政などが祝福・激励し、これに対して参加者が、責任ある自立した社会人としてより良い社会の創造に貢献していくことを決意し、それを広く社会に啓蒙するためのものだった。
しかし、1970年代に入ると受験戦争の激化による浪人の増加で、大学入試センター試験(旧大学共通第1次学力試験)と日時が重なる[注釈 12]。上記の横浜市教委の市民意識調査[25]では新成人では成人式に「参加した」という回答は74.6%、「参加しなかった」は25.4%で、20代では「参加した」が 69.9%、「参加しなかった」は30.1%となっている。新成人・20代の回答では参加した理由としては「一生に一度のことなので、とりあえず参加した」が45%前後で最も多く、参加しなかった理由としては「仕事や勉強などで時間がなかったから」が新成人18.8%、20代28.2%で最も多かった。
最近では自治体が工夫し、出席率が上昇しているところもある[26]。
都市部と郡部
都市化の進展で、郡部の成人式出席該当者が減少し、一方で都市部の該当者が顕著に増加した。
郡部では、高校卒業後に大学進学や就職などで都市部に出て行ってしまう者が多く、大学生は冬休みが終わっていたり、社会人も既に正月三が日に休みをとっていて1月15日の成人式のためだけに帰省するのは困難な状況であった。そのため、郡部ではお盆期間に成人式をする自治体が増加した。また、成人式の案内状は住民票などを基に送られる事も多く、故郷の成人式の案内状が来ないこともある。現住所と異なる市町村の成人式に出席したい場合は、自ら希望する市町村に申し出る必要がある。成人の日が第2月曜に移行した2000年ごとから地方部(中核市以下の市)ではその前日に行うケースも少なくない。またこの時期でも帰省が困難または帰省ができても物理的な負担が大きいなどとされお盆と異なり季節が同じに正月に行う例もある[27]。
モラルの低下
箱物行政と言われながら公共事業の予算が増加し続けた1990年後半までに、成人式の式典が充分開催できる施設が都市部でも拡充した。しかし、第二次ベビーブーム世代が成人式を迎えた1990年代前半が過ぎると、少子化の影響で成人となる者の数が減少の一途となっていった。1990年代末ともなると、都市部では式典会場の空席が目立つようになった。また、空席の増加により、従来会場内に入らなかったような層が会場内に入れるようになり、それまで会場外で行われていて問題とはならなかったようなことが顕在化してきた。例えば、私語が収まらない、会場内で携帯電話を使う、そして一部では、数人の新成人グループが会場で暴れ回って式を妨害するケースなども見受けられる。公務執行妨害を理由とした事件を中心に逮捕者が出るほどの騒ぎに発展した市町村もある(例、2001年における高松市)。また、成人の日が1月第2月曜日に移った2000年以降は、学齢方式を成人の対象とする自治体がほとんどになったことから、成人式が事実上中学や高校の同窓会的な意味合いで捉えられるようになってきた。
さらに、式に出席する若者が、外面的には着物で豪華に着飾っていても、会場では久し振りに会った友人との談笑などに熱中する余り、主催する自治体首長などの式辞・講演に関心を示さず式典が騒がしくなっている。その結果、本来一人前の大人としての決意をすべき場である成人式が、かえって若者のモラル低下を露見させる場となっている。このような現象のことを成人式での七五三現象と言う。21世紀に入っても、各地でこれまでに様々な問題が起きている。
お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳が2016年(平成28年)1月11日に、Twitterで成人式のモラルの低下について言及し、成人式のあり方についてアンケートを行った結果、翌日18時までに約6万900票が集まり、70%が成人式自体は必要との認識を示した一方、「今まで通り必要」は33%にとどまり、「形を変えて必要」が35%、「必要ない」が23%、「わからない」が9%と、廃止も含む何らかの現状変更が必要だとする回答者は半数を超えた[28]。
成人年齢の引き下げ
2016年(平成28年)に公職選挙の選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げる公職選挙法が改正され、2018年(平成30年)には成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案が閣議決定される[29]など、従前の「20歳成人」から「18歳成人」へ移行する動きが活発になっている。ただ、成人年齢が引き下げられた年の成人式は満20歳・満19歳・満18歳の3学年が対象になるため会場確保が難しくなる問題が生じる。また、18歳の多くが高校3年生にあたり、成人式の開催時期が大学受験や就職活動と重複するため、これから新成人を迎える世代から不安の声があがる[30]ほか、成人式参加者からの需要に支えられてきた呉服業界からも強い懸念が提示されている[31]。
成人式ビジネス
成人式では単価の高い和服・呉服(特に女性の振袖)を着用する新成人が多いため、和装業界にとって最大の稼ぎ時と見られている。近年、日本人の和服離れが進ん呉服店が減少の一途を辿る中で、若者に着物の良さをアピールする数少ない機会となっている。近年では男性が紋付袴などの着物で参加する姿も目立つ。和服は高価であるため、レンタルで済ませる人も多い。
また、新成人の着付け・化粧・ヘアメイクなどをする美容業界にとっても、成人式の日は稼ぎ時である。その他、成人式前には、本格的に化粧を始める新成人に対してメイク講習会を行ったりして、自社の化粧品の売り込みを行う化粧品業界の動きがあり、また、式当日に着付けが終わった新成人が記念写真を撮る写真館でも宣伝に力を入れたりと、関連ビジネスの新成人に対する顧客獲得競争は熱を帯びている。
2018年には横浜市などで振袖販売などを手掛ける企業「はれのひ」が同年の成人の日に当たる1月8日に突然事業を停止したため、同社から購入またはレンタルで着付けを予約していた新成人らが晴れ着を着ることができず、式への参加をとりやめる者が出るなどの事態が発生した[32]。同社には2年先の成人式に向けて予約金を払った客もおり、これについて和服業界の関係者は「少子化を背景に業者が顧客を先食いしている」と指摘している[2]。
振袖市場は年680億円市場で9割以上が成人式用。平均価格は購入で36万円、レンタルで15万円[33]。他方、百貨店で年2回程催される貸衣装大処分市では1万円程度で購入できる。「レンタル衣装が届かない」というニュースもあり、「レンタルは不安」と例年より売れ行きが良いとの報道もあった[34]。振袖業界の売る側は「早い者勝ち」とばかりに高校生の名簿を買って勧誘するが、こうした行為は個人情報保護法に抵触している[35]。
はれのひの被害相談は560件以上、契約ベースで1億8400万円に達した。はれのひに対しては、横浜南労働基準監督署が2017年8月〜12月に、従業員の賃金未払いで計5回是正勧告していた。被害相談は2018年の成人式だけでなく、2019年、2020年の成人式や大学卒業式に関するものも含む[36]。かつては不動産などの担保無しの融資は金融機関もしなかったが、企業成長に柔軟に対応する融資になり成人式に金が入るまで、ぎりぎり金融機関が待ったことが、企業を延命させ被害を拡大した面もある。20歳は成年なので、保護者の同意が不要なので親の契約取り消しできないことも被害拡大させた。2018年国会では18歳成人改正案が提出されると18歳以上の契約に親の同意は不要になるので、消費者教育がますます必要で、法的規制もありうるかもしれない[37]。東京商工リサーチによると、はれのひの負債総額は2016年9月時点で約6億1000万円で、約3億2000万円の債務超過であった[38]。
振袖は現在、女性にとって「成人式の制服」のような伝統となっているが[39]、これは「作られた幻想」であり、着物プロデューサーの石崎功によると、第二次世界大戦中に贅沢品が禁じられ、壊滅状態になった着物業界が、昭和30年代に復興策として成人式に着目し、上述の「元服」をヒントに、未婚女性の礼装である振袖を成人式に着てもらおうと、当時の百貨店が中心に動いたことがきっかけだという。現在では約2800億円とみられる和装市場のうち、成人式の振袖関連が700億円程度と重きをなしている。成人式の風習が広がり始めた当初から「女性は振袖」が定着していた訳ではなく、上述の「青年祭」の参加者の服装は、蕨市によると「男性は国民服、女性はもんぺ」だったという[40]。
さまざまな成人式
社内成人式
毎年、高等学校卒業者を多く採用する産業で、祝祭日が書き入れ時となる百貨店、スーパー、外食産業などの小売業や鉄道、観光バスなどの運輸事業、鉄鋼、化学、繊維、製紙、自動車などの製造業、電力・都市ガスなどでは、事業の性格上交代勤務やシフト勤務が多く、それ故に市町村が行う成人式に参加できない人も多くいる。
そのため、これらの業種では社内(職場内)で独自に成人式を実施する企業が多く見られた。代表的なものにはとバスや名鉄グループ、富士急行などがある。しかし1990年代以降は、不況や大学進学者の増加などで、高等学校卒業者を採用しない企業が増えたため、20歳を迎える従業員も減少し(就職氷河期も参照)、加えてリストラや経費削減も追い打ちをかけ、社内成人式を取り止めた企業が多い。逆に、トヨタ自動車のお膝元である豊田市(ほとんどの会場)や、愛知県内のその周辺の一部の市町村では、同社の業務日程(トヨタカレンダー)に合わせて成人式の開催日をずらしている。
自衛隊や海上保安庁では、基本的に全寮制で勤務日程が、故郷の成人式と重なって出席できない者もおり、各地の駐屯地や基地、海上保安大学校や防衛大学校などの教育施設において、個別に成人式を行っている。陸上自衛隊ではFH70(松山駐屯地)[41][42]や戦車と綱引きをする(北恵庭駐屯地)[43]など、駐屯地や部隊ごとに特色がある。海上自衛隊の隊員の中でしらせに乗船中だった場合は、南極で成人式を行うこともある[44][45]。
知的障害者更生施設など全寮制の施設においても、入所者の成人式を行っている。
芸能人も上記職業同様、祝祭日が書き入れ時となる場合も多いため、芸能事務所単位[注釈 13]や、特異な例としてはAKB48では、姉妹グループと合同で同様の成人式を開催している[47]。
各地の成人式
沖縄県石垣島の石垣市白保では「成人者が公民館に村人を集め、成人した事の喜びと村への感謝を踊りで表現する」といった行事が伝統的に行われ、各テレビ局のワイドショーでも「荒れ模様となっている沖縄の成人式の中で」と、これを取り上げている。地方によってはこういった形の成人式も多数存在する。
1/2成人式・立志式など
最近では、学校行事や総合的な学習の時間(総合学習)などで、20歳の半分の年齢である10歳(小学校4年生の時にほとんどの人は迎える)を対象に「1/2成人式」(にぶんのいちせいじんしき)、「十歳式」(じゅっさいしき)を開く小学校が全国的に増えている。1/2成人式に関連して、10歳を迎えた娘がいる家庭では、母娘で話して一緒にファーストブラを買うよう勧めているメーカーがある[48]。
また一部の中学校は中学2年または3年になると学校行事として「立志式」(りっししき)、「立春式」(りっしゅんしき)、「少年式」(しょうねんしき)、「元服式」(げんぷくしき)を行なうところがある。これは昔の成人式にあたる元服を迎える時期が現在の中学生の時期にあたるため、その風習を学ぶ意味合いも兼ねている。
第二成人式・三十路式など
- 参照: 第二成人式
さらに、被選挙権を得た25歳を祝う第二成人式(だいにせいじんしき)の開催も始まっている。第1回目は、2010年(平成22年)1月11日の『成人の日』に、東京都中野区の中野サンプラザで開催された。
また、新たに30歳を迎える人への激励・祝福を行うイベントとして、2012年(平成24年)に、三十路式(みそじしき)が、神奈川県川崎市で、30歳の成人式が京都府与謝郡与謝野町で開かれた。地元を離れて疎遠になった同級生との絆の確認や、地域社会のつながりの強化を狙ったもので、三十路式は、神奈川県平塚市や北海道、大阪府、新潟市、如水会館、明治記念館など、30歳の成人式は北九州市、横浜市、福島県いわき市、福岡市、宮城県塩竈市、ホテルの宴会場などでも開催の動きが広がっている。
千葉市では、熊谷俊人市長と山里亮太(南海キャンディーズ・花見川区出身)が発起人となって、『40歳のW(20歳×2)成人式』が2018年から行われるようになった。
日本の皇族
天皇、皇太子及び皇太孫の成人年齢は、皇室典範により18才とされている。
1909年の皇室成年式令から皇族のうちの天皇、皇太子及び皇太孫、親王、王については成年式が行われるようになったが、1947年の皇室令及附属法令廃止の件で廃止された[49]。皇族成年式は天皇および皇族が成年に達したときに行われる儀式であった。
皇室成年式令(明治42年2月11日皇室令第4号 日本国憲法施行に伴い全て廃止)によれば、天皇、皇太子および皇太孫は満18年、そのほかの皇族は満20年に達したときにおこなわれた。
天皇の場合、賢所の前で行なわれ(5条)、賢所、皇霊殿および神殿に奉告し、勅使に神宮、神武天皇山陵、先帝先后の山陵に奉幣させる(3条)。式がおわって皇霊殿および神殿に謁し、また太皇太后および皇太后に謁し、正殿に御して朝賀を受け、宮中で饗宴を賜う(5条以下)。
皇族の場合、賢所の前で行なわれ、おわって皇霊殿および神殿に謁し、天皇、皇后、太皇太后および皇太后に朝見する(9、11、12条)。
皇太子および皇太孫の場合、式日に賢所、皇霊殿および神殿に奉告し、式後、宮中で饗宴を賜う(10、12条)。
日本以外での事情
その他の国では日本のように成人年齢に達した事を全国一斉に祝うような祭典を行う国はほとんどないが、中華人民共和国などでは、成人となった時期(18歳)のイベントを成人式として表現することもある[50][注釈 14]。
成人となる年齢は各国で異なるが、成人年齢のデータがある187の国・地域のうち、141の国・地域で成人年齢が18歳(16歳・17歳も含む)である[51]。
(※世界各国の成年になる年齢については「世界における成人年齢一覧」を参照)
部族等の成年式
- かつて欧州諸国が進出したガンビアやセネガルのマンディンゴ族(マンディンカ)には、カンクラングという成年の儀式が存在する。口承によればコモ(komo)と呼ばれる秘密結社の儀式でもある[52]。
- ザンビアのルバレ族、チョクウェ族、ルチャジ族、ンブンダ族は、8〜12才の男児についてムカンダと呼ばれる成人式を行っている[53]。
脚注
注釈
- ↑ 例えば、1996年の場合は1976年1月1日から12月31日までに生まれた人が参加可能。大半が満19歳での式典参加となる。
- ↑ 広島市では、1996年1月開催の式典まで暦年による区分が用いられていた。翌1997年1月は1977年1月1日から1978年1月15日生まれを対象とし、移行期間最中の1998年には成人式は開催されなかった。翌1999年は1978年1月16日から1979年3月31日生まれが対象者となっていた。札幌市は、1998年1月開催まで対象者を暦年で区分し、1999年の式典は1979年1月1日から3月31日生まれの者を対象としていた。
- ↑ 1987年から。1月は豪雪があり、8月は暑すぎるため、5月が着物が着やすいと判断。
- ↑ 2017年から。軽装で参加してもらうため。
- ↑ 1969年から。家庭の負担軽減のため。しかし、2014年の調査では新成人の7割が「振袖・着物を着たい」等の理由で1月開催を希望したが、2017年度も8月であった[7]。
- ↑ 横浜市[9]や川崎市[9]をはじめ、政令指定都市の多くはこの方法をとっている。
- ↑ 政令指定都市では札幌市[10]・相模原市[9]・大阪市(公募制による全市行事もある)[11]・堺市[11]・名古屋市のうち4区[12]が主な市(2018年時点)。
- ↑ 浜松市[13]・名古屋市のうち12区[12]・宇都宮市[14]・松山市[15]など(2018年時点)。
- ↑ 例えば愛媛県では今治市・西条市・四国中央市・鬼北町が該当(2018年時点)[15]。
- ↑ 2014年以降2018年現在は北九州メディアドームで開催[16]。
- ↑ 静岡市[22]や京都市[23]など(2018年時点)。
- ↑ 実際、共通一次試験時代の1983年・1984年、およびセンター試験となってからの1994年・1995年は成人の日当日に試験が実施された。
- ↑ 例えば、ジャニーズ事務所では先輩タレントが立会人を務める中で、新成人タレントが明治神宮へ参拝するのが恒例だった。しかし2006年以降では、2008年に簡易な成人式を実施したのみ[46]。
- ↑ 少なくともアメリカ、イタリア、ドイツ、オーストラリア、タイ、には日本の成人式のような儀式は存在しないとみられている。アメリカやドイツは18歳(ハイスクール卒業)で選挙権が付与され、たとえ大学生であっても親からの自立・別居(なおかつ学費も自己負担)が原則となる。
出典
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- ↑ 「最近の新成人はまじめ? 式典出席率は上昇傾向-名古屋」 朝日新聞、2010年1月12日・愛知県内版
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- ↑ 2018年1月12日中日新聞朝刊16面
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- ↑ 2018年1月10日中日新聞朝刊23面
- ↑ 朝日新聞2018年1月16日朝刊1面の見出し「振り袖 成人式の制服ですか」
- ↑ 【ニュースQ3】成人式いつから振り袖?予約は2年前 簡素化の動きも『朝日新聞』朝刊2018年1月16日(社会面)
- ↑ 自衛隊宮城地方協力本部
- ↑ 愛媛)ミサイルや大砲と綱引き 陸自松山駐屯地で成人式:朝日新聞デジタル
- ↑ 北海道)新成人隊員、戦車と綱引き 陸自・北恵庭駐屯地:朝日新聞デジタル
- ↑ 自衛隊宮城地方協力本部
- ↑ 南極で3人「成人式」/1月10日 - 南極ニュース:nikkansports.com
- ↑ 「「誰のせい!?」恒例の『ジャニーズ成人式』は今年も開催せず」(2009.1) 日刊サイゾーの記事より
- ↑ AKB48史上最高の20人が成人式 高橋みなみ「時の流れを感じる」(2012.1 オリコン)
- ↑ 1/2成人式を迎えたら、母娘で話そう、いろんなこと。一緒に買おう、ファーストブラ。
- ↑ 内閣官報局。明治42年2月11日法律第4号皇室成年式令、NDLJP:2951035/9、昭和22年5月2日皇室令第12号室令及附属法令廃止の件、NDLJP:2962601/1。
- ↑ “「日本人だったら広島の慰霊碑でこんな格好はしない!」中国高校生の国辱成人式がネット炎上-香港紙”. Record China. (2013年10月21日) . 2013閲覧.
- ↑ 国連人権高等弁務官事務所サイト(同サイト掲載の成人年齢、国により調査年が異なる)及び在日各国大使館への聞き取り調査等
- ↑ 『カンクラング』、ユネスコ・アジア文化センター。
- ↑ 『マキシ仮装』、ユネスコ・アジア文化センター。
関連項目
外部リンク
- 新成人式研究会 - 「成人式大賞」選定機関、成人式の全国情報センター