カタール航空
カタール航空(カタールこうくう、アラビア語: الخطوط الجوية القطرية; al-khuṭūṭ al-jawwīya al-qaṭarīya, 英語: Qatar Airways)は、カタールの国営航空会社でカタールのナショナル・フラッグ・キャリア。
Contents
概要
カタールの首都ドーハにあるハマド国際空港を本拠地としている。コードシェアも含め150都市以上の国際的な目的地へ繋がっている。ワンワールドメンバーでアラブ航空会社機構の一員でもある。
イギリスのスカイトラックス社による航空会社の格付けでは、「ザ・ワールド・ファイブ・スター・エアラインズ(The World's 5-Star Airlines)」の認定を得ている[1]。航空券の座席予約システム(CRS)は、アマデウスITグループが運営するアマデウスを利用している。 [2]
歴史
1993年11月22日に設立され、1994年1月20日にドーハ - アンマン線で運航を開始した。当社は元々王族の一族が所有者であったが、CEOのアクバル・アル=バーキル[注釈 1] (أكبر الباكر; ’akbar al-bāker, Akbar Al Baker) による新しい経営チームによって1997年4月に新しく設立された。資本はカタール政府(50%)及び民間投資家(50%)によって所有されている。ここ10年で、毎年35%の成長率でネットワークを広げている。
2007年に行われたドバイ航空ショーにおいて、カタール石油、シェル石油、エアバス、ロールス・ロイス、カタール・サイエンス&テクノロジー・パークの5社と提携し、天然ガス由来液体燃料を開発することを決定した[3]。これが実現すれば、カタール航空が世界で最初に天然ガス由来の燃料で飛行機を飛ばす航空会社になると示唆した。炭酸ガスの排出を大幅に削減し、地球温暖化の抑制を貢献できる利点があるとしている。
2007年、カタール航空は80機のA350や30機のボーイング787など、160億ドルにも及ぶ機材を発注した。また、今後数年で200機以上総額300億ドルに及ぶ機材発注を行う予定である。2008年、12月時点で平均機体年齢が3.2年と世界で最も新しい機材を使用している。
2010年4月25日、ドーハ - 東京/成田線就航。当初は関西国際空港経由で運航していたが、2012年10月28日より直行便化された[4]。
2012年10月8日、ワンワールドへ加盟するとの発表が出された。2013年9月9日、 ワンワールドへ10月30日から加盟を正式発表[5]。これを記念して、ワンワールド特別塗装をまとったB777-300ER(機体番号:A7-BAA)のお披露目も行なわれた[6]。
2014年5月27日の発着便から、ドーハの発着空港をドーハ国際空港からハマド国際空港に移転した[7][8][9]。
2014年6月18日、ドーハ - 東京/羽田線就航[10][11]。
2014年12月22日、エアバスA350の最初の1機がエアバスから引き渡され、2015年1月15日からドーハ - フランクフルト線で運航を開始した[12][13]。
2016年1月12日、ドーハ - 関西線を週7便から週5便に減便[14]、同年3月31日、ドーハ - 関西線を運休[15]。
2017年2月5日よりドーハ - オークランド線を就航[16]。17時間30分の世界最長フライトとなる。
2017年6月5日、一部のイスラム諸国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦・バーレーン・エジプト・イエメン・モルディブなど)がカタールと国交断絶を表明したこと(カタール外交危機)により、対象国との運航便は運航停止され運休扱いとなったほか、サウジアラビア・エジプト・バーレーンに関しては領空通過も禁止された。このため、北アフリカ向けの便については、イランやトルコ上空から地中海上空に、またサブサハラアフリカ向けの便については、オマーン上空からアデン湾上空に抜けるなど、アラビア半島を大きく迂回する形で飛行するようになっている。
保有機材
同社が発注したボーイング社製の航空機の顧客番号(カスタマーコード)はDZで、航空機の形式名はB777-2DZLR、B777-3DZERなどとなる。
※エグゼクティブ部門においてボンバルディア グローバル 5000型機やチャレンジャー605型機なども運用している。
運用機材
カタール航空の機材は以下の航空機で構成される。
機種 | 運用機数 | 発注機数 | 座席数 | 備考 |
---|---|---|---|---|
エアバスA319-100LR型機 | 2 | - | C40 | |
エアバスA320-200型機 | 39 | 2 | C12/Y132 C12/Y120 |
一部系列Al Maha Airways運用 |
エアバスA321-200型機 | 6 | - | C12/Y165 C12/Y170 Y196 |
A7-ADV(C12/Y165)、A7-ADK(Y196)以外182席仕様 |
エアバスA330-200型機 | 10 | - | F12/C24/Y192 F8/C24/Y200 C24/Y236 C24/Y248 |
|
エアバスA330-300型機 | 13 | - | F12/C24/Y223 C30/Y275 |
|
エアバスA340-600型機 | 4 | - | F8/C42/Y256 | |
エアバスA350-900型機 | 27 | C36/Y247 | うち2機はLATAM チリからのリース | |
エアバスA350-1000型機 | 2 | A350型を52機発注中 | ||
エアバスA380-800型機 | 10 | 3 | F8/C48/Y461 | |
ボーイング737 MAX 8型機 | - | 59 | ||
ボーイング777-200LR型機 | 9 | - | C42/Y217 | |
ボーイング777-300ER型機 | 46 | 4 | C42/Y316 C24/Y388 |
|
ボーイング787-8型機 | 30 | 30 | C22/Y232 | 発注機にはオプション含む |
エアバスA330-200F型機 | - | 8 | - | |
ボーイング747-8F型機 | 2 | - | - | |
ボーイング777F型機 | 13 | 8 | - |
- エアバスA350XWBのローンチカスタマーで900型、1000型を発注。2014年12月に最初の1機を受領し、2015年1月15日からドーハ - フランクフルト路線に就航させた[20]。
- ほかエアバスA320neo型機80機やボーイング777X型機100機を発注済み[21]。
就航都市
サービス
機内サービス
カタール航空の機内サービスの評価は国際的にも非常に高く、イギリスのスカイトラックス社による「5つ星航空会社」に認定されている9社のうちの1つに数えられる(2017年現在)。2007年にファーストクラス「世界第1位」の称号を受賞。中東地域におけるベストキャビンクルーの称号については6年連続獲得している(2008年現在)。また、保有機就航年数も平均約4年と世界の中で最も新しい飛行機を所有・運航しており、設立以来1度も重大事故を起こしていないことから安全性も高いと言える。
座席構成は、エアバスA380とエアバスA330(※-200、-300の一部)がファーストクラス・ビジネスクラス・エコノミークラスの3クラス、その他の機材はビジネスクラスとエコノミークラスの2クラスで運航されている。
機内食は豚肉を使わないムスリム食。日本路線においては、和食、ウエスタン、アラビア料理の3つのチョイスがある。事前予約が必要な特別食も充実している。また、エコノミークラスにおいてもビール、ワイン、ウイスキー、ウォッカ、ブランデーなど多様なスピリッツが無料で提供されている。
客室乗務員は世界100カ国以上出身の多国籍で構成されており、日本路線には日本語話者も常時2~3人程度乗務している。また、日本就航以前から日本人客室乗務員を採用しており、日本路線のみならず就航している全路線に乗務している。
地上サービス
ハマド国際空港にて、ビジネスクラス、ファーストクラスの乗客には、アル・ムルジャン ビジネスラウンジにて、食事やシャワーのサービスを提供している [63]。 乗り継ぎ時間が5時間から12時間ある乗客には、無料の市内観光ツアーが実施されている[64]。乗り継ぎ時間が8時間を超える乗客には、ホテルを提供している[65]。
ドーハ国際空港を利用していた当時は、世界初となる、ファースト・ビジネスクラス専用「プレミアム・ターミナル」を2006年にドーハ国際空港に開設していた。スパ、サウナ、ジャグジ、マッサージ、仮眠室や、最先端の会議室、ビジネス施設、保育所、ビデオゲームルーム、レストラン、デューティーフリー・ショップなども設けられている。また、ドーハ国際空港にてヨーロッパ路線に乗り継ぐファーストクラス利用者には「プレミアムターミナル」から搭乗機まで新BMWシリーズ7での送迎をしていた[66]。
マイレージサービス
カタール航空のマイレージサービス「プリヴィレッジクラブ」は、ワンワールド加盟航空会社でコードシェア便を運航している日本航空やアメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズなどのほか、以下の会社とも相互協定を結んでいる。
受賞歴
- 中東ベストキャビンクルー7年連続受賞(2009年時点)
- ファーストクラス世界第1位(2007年)
- 中東ベストエアライン(2009年)
- ベストエコノミークラス(2009年)
- Skytrax エアライン・オブ・ザ・イヤー[67](2015年)
その他、エアライン・オブ・ザ・イヤーにも毎年、上位にランクインしている。
アメリカのフライトスタッツ社の調べによると、定時到着率は68%[68]で低い。
その他
- 垂直尾翼に描かれている同社のシンボルマークは、アラビアオリックスである。機内誌は『oryx』。
- 2017年8月9日より、カタール国政府が査証無しで入国できる制度を開始した。この際に、最低6カ月間の有効期限のあるパスポートと帰路の航空券を提示すると、有効期限内なら何度でもカタールに入国できる複数回有効の査証が無料で発行される。なお本制度は国籍によって異なり、30日間滞在の場合は30日間有効となり、申請をするとさらに30日間の滞在延長ができる[69]。90日間滞在の場合は180日間有効となる[70][71]。
コードシェア
ワンワールド加盟航空会社
その他
スポンサーシップ
2012年11月、カタール航空はFCバルセロナのスポンサーになるとともに商業スポンサーとしては史上初のユニフォーム胸スポンサーとなり[72]、2016年シーズン末で契約満了となった。
テニスでは2014年に開催されたインターナショナルプレミアテニスリーグの共同スポンサーとしてコカ・コーラとともに支援していた。
2014年10月、サウジアラビアのサッカークラブ、アル・アハリ(Al-Ahli)は推定年間1600万ドル(約17億6000万円)の3年契約を締結していたが2017年6月に国交断絶が発表されたわずか数時間後に契約を打ち切ると表明した。2018-19シーズンよりイタリア・セリエAのローマとの胸スポンサー契約を交わした。
2017年から22年まで国際サッカー連盟(FIFA)パートナーおよびオフィシャルエアラインとなった。また2018年アジア競技大会でもオフィシャルエアラインを担当した。
注釈
- ↑ 日本のメディアでは「アクバル・アル・バクル」「アクバル・アル・ベイカー」などと表記される。
参考文献
- ↑ 5-Star Airline Rating SKYTRAX
- ↑ “日本発着路線をもつアルテア利用航空会社 (2015年6月現在)”. . 2015閲覧.
- ↑ http://www.qatarairways.com/global/en/newsroom/archive/press-release-14Nov07_b.html
- ↑ カタール航空、10月末から成田、関西/ドーハ線をそれぞれ直行便で運航 FlyTeam 2012年6月13日付
- ↑ カタール航空、ワンワールド正式加盟へ Aviation Wire 2013年9月9日付
- ↑ [1]
- ↑ Airline to officially operate out of state-of-the-art facility commencing May 27 Qatar Airways 11 May 2014
- ↑ Qatar Airways’ Passengers to Enjoy Five-Star Experience at New World-Class Airport All Qatar Airways Flights to Operate from HIA from 09:00 on 27 May 26 May 2014 Qatar Airways 27 May 2014
- ↑ カタール航空、拠点空港の完全移転を実施…ドーハ路線はハマド国際空港発着に Response 2014年5月27日付
- ↑ カタール航空、深夜早朝枠で羽田/ドーハ線就航 787で運航 FlyTeam 2014年3月6日付
- ↑ カタール航空、6月18日から羽田/ドーハ線に就航 FlyTeam 2014年6月18日付
- ↑ エアバス新型機A350、1号機をカタール航空に納入(CNN 2014年12月23日
- ↑ カタール航空 A350XWB(カタール航空公式サイト)
- ↑ カタール航空 関西-ドーハ線 運休のお知らせ。 - カタール航空公式 > お知らせ(更新日不明 / 2015年12月10日閲覧)
- ↑ カタール航空、関空線きょうで運休 就航から11年で traicy 2016年3月31日付
- ↑ カタール航空、ドーハ/オークランド線に就航 世界最長の直行便 FlyTeam 2017年2月6日付
- ↑ Qatar Airways Our fleet
- ↑ Qatar Airways Fleet Details and History - Planespotters.net
- ↑ http://www.qrcargo.com/ourfleet
- ↑ カタール航空 A350 XWB(カタール航空公式サイト)
- ↑ Qatar Airways Our fleet
- ↑ 22.0 22.1 22.2 22.3 カタール航空、サウジアラビア・UAE・バーレーン・エジプト線を運航停止
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- ↑ Enjoy a complimentary tour of Doha - カタール航空
- ↑ Transit accommodation - カタール航空
- ↑ http://www.his-j.com/kix/aircpn/qatar-air/qatar-index2.html
- ↑ MULTI AWARD-WINNING QATAR AIRWAYS WINS ‘AIRLINE OF THE YEAR’ HONOUR AT 2015 SKYTRAX AIRLINE AWARDS(カタール航空公式)
- ↑ http://www.flightstats.com/go/FlightRating/flightRatingByCarrier.do?airline=QR
- ↑ 日本もこの制度の対象となっている他、アメリカ、韓国、ベネズエラ、シンガポール、マレーシア、香港、カナダ、ブラジルなどの計47か国が当てはまる。
- ↑ [2]
- ↑ 該当国はオーストリア、フィンランドなどのヨーロッパ諸国を中心とした33か国。
- ↑ Qatar Airways becomes Barcelona's shirt sponsors, albawaba.com, November 17th, 2012
外部リンク
- カタール航空 公式ホームページ
- カタール航空 - 公式YouTubeチャンネル