点線国道
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点線国道(てんせんこくどう)とは、国道の車両通行不能区間における国道指定された連絡路(海上国道を除く)のことである。国土地理院発行の地形図をはじめとする地図上で、点線で表される国道のことを指す[1][2]。道路幅員が1.5 m未満の通行困難な国道(または酷道)の最たるものであり[1]、大部分は峠周辺に存在するため、利用者はその区間は徒歩での通行(登山)を余儀なくされる[2]。
Contents
日本の点線国道一覧
ここでは、国土地理院発行の地形図で幅員1.5 m未満の道路として記載されている区間[3]を記述する。
路線番号 | 地点 | 場所 | 距離 | 備考 |
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国道152号 | 地蔵峠 | 長野県下伊那郡大鹿村・長野県飯田市 | 約2 km[4] | 蛇洞林道で迂回可能 |
青崩峠 | 長野県飯田市・静岡県浜松市 | 約2 km[4] | 兵越林道で迂回可能。青崩峠道路(国道474号三遠南信自動車道)を建設中[4]。 | |
国道256号 | 小川路峠 | 長野県飯田市 | 約10 km[5] | 小川路峠道路(国道474号三遠南信自動車道)を建設中[5]。 |
国道289号 | 鞍掛峠・木の根峠 | 新潟県三条市・同県魚沼市・福島県南会津郡只見町 | 約30 km[6] | 八十里越道路を建設中。 |
国道291号 | 清水峠 | 群馬県利根郡みなかみ町・新潟県南魚沼市 | 約12–15 km[7] | 関越自動車道(関越トンネル)および、国道17号(三国トンネル)で迂回可能[7]。新潟県側の点線部分は徒歩でも通行不可(迂回する登山道有り)。 |
国道339号 | 竜飛崎 | 青森県東津軽郡外ヶ浜町 | 約300 m[8] | 階段国道として有名[8][9]。外ヶ浜町道で迂回可能。 |
国道371号 | 高尾峠 | 和歌山県田辺市・和歌山県東牟婁郡古座川町 | 約3 km[10] | 本山谷平井林道(玉の川林道)で迂回可能。 |
点線国道以外の未開通区間・不通区間
上記のほか、未開通区間に国道指定されていない登山道が存在し、実質的に点線国道となっている箇所が多数ある。 また、都市部では道路自体が未開通であるなどして自動車の走行も徒歩での通行も不可能な区間もある[2]。以下のものがある。
号線 | 所在地・区間 | 備考 |
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193号 | 徳島県名西郡神山町 - 徳島県那賀郡那賀町 | ただし、徳島県道253号山川海南線が接続されているため、通行可能。 |
257号 | 岐阜県高山市清見町楢谷 - 高山市荘川町黒谷 | この区間を結ぶ三尾河バイパス(7.3 km)を建設中。この区間は主要地方道高山清見線、国道158号で迂回可能。 |
274号 | 北海道白糠郡白糠町 - 北海道釧路市 | |
274号 | 北海道釧路市 | |
352号 | 花立峠 - 萱峠(新潟県長岡市) | この区間を結ぶ萱峠バイパス(萱峠トンネル)は建設工事が最終段階に入っており、まもなく不通区間の一部が解消される見通しである。 |
353号 | 群馬県吾妻郡中之条町 - 新潟県南魚沼郡湯沢町 | |
357号 | 東京都江東区 - 東京都品川区 | 首都高速湾岸線が並行。江東区 - 品川区間の東京港トンネル区間は西行き(品川区方面)が開通済み。東行き(江東区方面)は2018年度中に供用開始の予定[11][12]。 |
東京都大田区 - 神奈川県川崎市川崎区 | ||
神奈川県川崎市川崎区 - 神奈川県横浜市鶴見区 | ||
神奈川県横浜市金沢区 - 神奈川県横須賀市 | ||
360号 | 岐阜県大野郡白川村 - 石川県白山市 | ただし、白山白川郷ホワイトロードが接続されているため、通行可能。 |
401号 | 沼山峠 - 三平峠(福島県南会津郡檜枝岐村 - 群馬県利根郡片品村) | 尾瀬を縦断する区間(七入 - 大清水小屋)が未開通区間となっている。このうち、沼山峠付近から大清水小屋までは国道指定されてはいないものの、群馬県道・福島県道1号沼田檜枝岐線がこの区間を結んでいる。ただし、群馬県道・福島県道1号沼田檜枝岐線のこの区間は全線が一般車両進入禁止、または登山路となっている。 |
403号 | 須川峠(新潟県上越市安塚区 - 長野県飯山市) | ただし、林道が接続されているため、通行可能。 |
405号 | 地蔵峠(群馬県吾妻郡中之条町 - 長野県下水内郡栄村) | |
416号 | 大日峠、または新又越(石川県小松市 - 福井県勝山市) | |
417号 | 冠山峠(福井県今立郡池田町 - 岐阜県揖斐郡揖斐川町) | 両県の端点を林道冠山線が結んでおり、実質的にこの国道の一部のような状況になっている。現在冠山峠直下に冠山トンネル(仮称)を貫通させて、冠山峠道路を完成させる見通しとなっている。 |
422号 | 庄司峠(三重県津市美杉町木地屋 - 同県松阪市飯高町荒滝不動) | |
野又峠(三重県多気郡大台町野又谷 - 同県北牟婁郡紀北町紀伊長島区下河内) | ||
452号 | 北海道芦別市幌内 - 同上川郡美瑛町五稜 | |
476号 | 段ヶ岳峠(福井県今立郡池田町 - 同県南条郡南越前町) | 木ノ芽峠の不通区間は解消されたが、こちらの分断区間は未だ工事が進行する予定は見られない。開かずの国道である。迂回路は福井県道203号池田南条線だが、こちらはダート県道である。無難な迂回路としては福井県道201号菅生武生線だが、かなりの遠回りになってしまう。 |
482号 | 小代峠(兵庫県美方郡香美町) | 桑ヶ仙林道により迂回可能。 |
このほか、海上を通り、自動車の走行が不可能な区間が存在する[13]。海上国道を参照。
解消された点線国道・未開通区間
道路整備により解消された点線国道や未開通区間もあり、以下のものがある。
- 国道17号・三国峠(群馬県利根郡みなかみ町 - 新潟県南魚沼郡湯沢町):1957年2月に三国トンネルの開通により解消(現在新三国トンネルを建設中)
- 国道46号・仙岩峠(岩手県岩手郡雫石町 - 秋田県仙北市):1964年に南八幡平パークライン開通により解消(ただし現在、該当区間は秋田県側で通行止めとなっており、仙岩道路経由となっている。)
- 国道121号・大峠(福島県喜多方市 - 山形県米沢市):元々は大峠経由の旧道を通して繋がっていたが、この旧道は1996年に災害により通行不能となった。加えて当時は大峠道路の一部区間が未開通だったため、事実上の分断状態となった。(なお当該区間は県道を利用して迂回可能だった。)その後、同道路は2010年9月11日に全線開通し、分断は解消。それに伴い、旧道は2012年に国道指定を外れ、事実上の廃道となった。
- 国道140号・雁坂峠(埼玉県秩父市 - 山梨県山梨市):かつては「開かずの国道」と呼ばれ、雁坂峠を経由する登山道を通り、便所の中を経由する区間もあったが、1998年4月に雁坂トンネル(西関東連絡道路)の開通により解消
- 国道162号(福井県三方上中郡若狭町食見 - 同小浜市田烏字須ノ浦):1992年4月の食見トンネル(981m)開通により解消
- 国道199号・洞海湾(福岡県北九州市戸畑区 - 同市若松区):若戸大橋開通により解消。2005年4月から2006年4月まで若戸大橋が市道に降格し(日本道路公団の解散による管理権の移転のため)、未開通区間扱いとなる。
- 国道231号・石狩川(北海道石狩市):1972年に石狩河口橋開通により解消
- 国道231号・雄冬岬付近(北海道石狩市 - 北海道増毛郡増毛町):道路開通により解消
- 国道236号(北海道広尾郡広尾町 - 北海道浦河郡浦河町):野塚トンネル開通により解消
- 国道252号・六十里越(新潟県魚沼市 - 福島県南会津郡只見町):1973年に六十里越トンネル開通により解消
- 国道254号・鳥屋峠(長野県上田市):道路開通により解消
- 国道254号(長野県上田市 - 長野県松本市):1976年10月31日に三才山トンネル有料道路開通により解消
- 国道274号(北海道勇払郡むかわ町 - 同沙流郡日高町):石勝樹海ロード開通により解消
- 国道289号・甲子峠(福島県南会津郡下郷町 - 同県西白河郡西郷村):かつては甲子峠を経由する登山道が国道指定されていたが、2008年9月21日に甲子道路の大部分が開通したことにより解消。なお、登山道内に国道標識も設置されていたが、現在は撤去されている。
- 国道292号(群馬県吾妻郡草津町 - 長野県下高井郡山ノ内町):1970年9月に志賀草津道路の開通により解消
- 国道295号・全区間(千葉県成田市):1978年4月1日の道路開通により解消
- 国道298号(千葉県松戸市 - 同県市川市):2018年6月2日の道路開通により解消
- 国道299号・十石峠付近(長野県南佐久郡佐久穂町 - 群馬県多野郡上野村):黒川林道を国道編入したことで解消
- 国道302号(愛知県春日井市):中央本線の高架をくぐる道路が開通したことで解消
- 国道302号(愛知県名古屋市天白区 - 同市緑区):名古屋環状2号線一般部全通により解消
- 国道305号(福井県南条郡南越前町):2013年11月のホノケ山トンネルの開通により解消
- 国道309号(奈良県吉野郡上北山村 - 同郡天川村):行者還林道を国道編入したことで解消
- 国道311号(三重県尾鷲市 - 同県熊野市):曽根梶賀バイパスの開通により解消
- 国道317号(愛媛県松山市 - 同県今治市):平成8年水ヶ峠トンネルの開通により解消
- 国道336号・十勝川(北海道中川郡豊頃町 - 北海道十勝郡浦幌町):十勝河口橋開通により解消
- 国道339号(青森県北津軽郡中泊町 - 同県東津軽郡外ヶ浜町):龍泊ライン開通により解消
- 国道353号・小岩峠(新潟県柏崎市):小岩トンネル開通により解消
- 国道361号・姥神峠(長野県木曽郡木曽町 - 同県塩尻市):姥神峠道路開通により解消
- 国道361号・権兵衛峠(長野県木曽郡木曽町 - 長野県伊那市):林道経ヶ岳線を暫定的に編入し、自動車通行が可能になった後、権兵衛峠道路開通により正式に解消
- 国道371号・笠塔峠(和歌山県田辺市):龍神工区(旧:龍神四BP)の開通により解消
- 国道385号・筑後川(佐賀県神埼市 - 福岡県久留米市):青木中津大橋開通により解消
- 国道393号(北海道余市郡赤井川村 - 北海道虻田郡倶知安町):赤井川道路開通により解消
- 国道400号(栃木県那須塩原市 - 栃木県日光市):尾頭トンネルの開通により解消
- 国道406号・須賀尾峠付近(群馬県吾妻郡東吾妻町 - 同郡長野原町):道路開通により解消
- 国道422号・八知山トンネル(三重県多気郡大台町):崩落の危険があるため、1998年2月20日より通行止めとなっていた[14](迂回は可能であった)。2015年3月より区間のすぐ傍で新八知山トンネルの建設工事が着工し[15][16]、2017年2月25日より供用開始[17]、19年振りに通行止めが解消。
- 国道438号・三頭峠(徳島県美馬市美馬町 - 香川県仲多度郡まんのう町):1997年3月に三頭トンネルの開通により解消
- 国道444号(長崎県大村市 - 佐賀県鹿島市):平谷黒木トンネルの開通により解消
- 国道476号・木ノ芽峠(福井県南条郡南越前町 - 福井県敦賀市):木ノ芽峠トンネル開通により解消
- 国道481号(大阪府泉佐野市):スカイゲートブリッジの国道昇格により解消
- 国道482号(京都府京丹後市 - 兵庫県豊岡市):たんたんトンネル開通により解消
- 国道482号(兵庫県豊岡市 - 兵庫県美方郡香美町):蘇武トンネル開通により解消
- 国道482号(鳥取県八頭郡八頭町 - 鳥取県鳥取市):まぢトンネル開通により解消
長期通行止め区間
一度道路開通をしたものの、災害やバイパスの開通などで通行止めとなり、その後再開されずに実質点線国道と化する区間もあり、以下のものがある。
- 国道325号・阿蘇大橋(熊本県阿蘇郡南阿蘇村):2016年4月16日の熊本地震による崩落により経路寸断。
- 国道418号・木曽川沿い(岐阜県加茂郡八百津町 - 岐阜県恵那市):丸山ダム - 笠置ダムの間が通行不能区間。この区間は、路肩が全線に渡って軟弱であること、一部に舗装されていない箇所があること、極めて道幅が狭い(1メートル前後の所がある)ことなどから、自動車の通行は不可能で、また全面通行止めとなっている。新丸山ダム完成後に現道は水没するため、北方の山中へ付け替え道路(バイパス道路)を建設中。八百津町から恵那市へは、「県道83号or県道358号 - 国道21号 - 国道19号」ないし「県道358号 - 県道366号 - 県道65号 - 県道394号」で迂回可能。
- 国道473号・原田橋(静岡県浜松市天竜区):2015年1月31日の橋梁崩落により、経路寸断。2月12日に近くの河川敷に仮設道路が開通したが、普通車のみ利用可で、歩行者や他の車輌は利用できない。また、ダム放流時や増水時は完全通行止になる。
福島第一原子力発電所事故による長期通行止め区間
以下の区間は、廃道の状況にあるとは限らないが、立ち入り禁止であり、歩行者や自転車も通行できない。公共一般に広く供されている公道としては機能不全の状態である。
点線都道府県道・点線市町村道
概要は点線国道と同じで、都道府県道または市町村道の車両通行不能区間における将来的に都道府県道または市町村道に指定されるであろう連絡路のことである。全国的に見られるが、点線国道ほど工事が積極的に行われておらず、全く手のつけられていない分断区間も見られる。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 松波成行 2008, p. 71.
- ↑ 2.0 2.1 2.2 浅井建爾 2015, p. 14.
- ↑ 松波成行『国道の謎』(祥伝社、2009年)374 - 375ページ。
- ↑ 4.0 4.1 4.2 松波成行 2008, p. 82.
- ↑ 5.0 5.1 松波成行 2008, p. 77.
- ↑ 松波成行 2008, p. 74.
- ↑ 7.0 7.1 松波成行 2008, p. 78.
- ↑ 8.0 8.1 松波成行 2008, p. 72.
- ↑ 浅井建爾 2015, pp. 14–15.
- ↑ 松波成行 2008, p. 81.
- ↑ “川崎国道事務所 - 国道357号について”. 川崎国道事務所. . 2018閲覧.
- ↑ “国道357号東京港トンネル、東行きが貫通”. 日経 xTECH(クロステック). . 2018閲覧.
- ↑ 浅井建爾 2015, p. 16.
- ↑ (PDF) 事業認定理由, 中部地方整備局, (2011-12-08) . 2016閲覧.
- ↑ (PDF) トンネル工事始まる!! - 領内出張所だより 第57号, 大台町, (2015-02-15) . 2016閲覧.
- ↑ (PDF) 一般国道422号(八知山拡幅)道路改良工事の概要と施工状況状況について(平成27年9月末現在), 三重県, (2015-10-02) . 2016閲覧.
- ↑ 一般国道422号(大台町滝谷地内)を供用開始します, 三重県, (2017-02-08) . 2017閲覧.
参考文献
- 浅井建爾 『日本の道路がわかる辞典』 日本実業出版社、2015-10-10、初版。ISBN 978-4-534-05318-3。
- 松波成行「酷道ファイル 点線国道編」、『酷道をゆく』、イカロス出版、2008年3月20日、 71-82頁、 ISBN 978-4-86320-025-8。